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しおりを挟む“黛の事頼むな
お前には期待しているんだ。学校一のモテ男くん”
車中での会話を思い出しながら、百田が放った言葉の意味を考える。
考えに考えて、一つの仮説を立てた。
百田はアイブロウ先輩の好意を迷惑がっていた。
その想いを避ける為に、自分とアイブロウ先輩の間に俺を捩じ込んだ。
放課後の図書室で男女の生徒が二人きりとなれば、あわよくばそういう雰囲気になるかもしれない。
アイブロウ先輩の気持ちを自分から他の対象へとスライドさせたかったんじゃないだろうか。
自らが悪者にならないでいいように。
そう結論付けたら、頭が沸騰しそうなくらいに怒りが湧いた。
この俺を体良く利用した事にも、教師という立場を利用した汚い遣り口も、アイブロウ先輩の気持ちを蔑ろにした事全てにムカついた。
家に帰ってすぐ机に向かった。
いつもなら1行書くだけでも四苦八苦しているのに、今日はどういう訳か、言葉が次々に浮かんでくる。
不思議な感覚だった。
怒りという感情は、何かを成す原動力にもなる事をシャーペンを動かしながら感じた。
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