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しおりを挟む「俺はただ、アイブロウ先輩が可哀想で……」
百田が大きく溜め息を吐く。
「黛に同情するのは勝手だがな、一方的な思いを押し付けられるのは迷惑だ」
車内は暖房が本当に入っているのかって程、冷えた空気が流れていて、胸の辺りがズーンと重くなる。
「迷惑って……そうかもしれないけどさ」
大通りを直進中の信号待ちで百田が静かに切り出す。
「俺は……ずっと教師になりたかったんだ」
真っ直ぐに正面を見つめる百田の眼鏡に信号の赤いランプが映り込んでいる。
「1年浪人してまでなりたかった教師という職に就いて5年……充実した生活の中に、生徒との色恋なんか必要ないんだよ」
信号が青になり、車がゆっくりと発進した。
「俺を慕ってくれる黛の事は可愛いと思う。だが、あくまでもそれは生徒としてだ。個人的な感情は一切ないし、今後も抱く事はない」
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