39 / 57
【39】
しおりを挟むコンテストを理由に引退を先送りにしたのは、百田に振り向いて貰う為の時間稼ぎだったんじゃないだろうか。
アイブロウ先輩、いじらしいを通り越して、かなり重たいタイプかもしれない。
「部室で二人っきりになって、変な気持ちになったりしなかったんすか?」
俺の馬鹿げた質問に百田は鼻で笑いながら「まさか」と一蹴する。
「黛の事は一生徒としか見ていない」
これ、アイブロウ先輩が聞いたら即泣いちゃうだろうな……なんて思った。
「ホントに?可愛いーとか手ぇ出したいとか思ってんじゃないの?」
ふざけて言った俺の言葉で、車内の空気が一瞬にして冷える。
「………お前は俺を淫行教師にしたいのか?」
普段の低い声が、更に低い。
「別にそういうつもりじゃねっすけど」
「なら、どういうつもりなんだよ」
低い声で、尚且つ1音1音を丁寧に発するようなゆったりとした口調から、百田が静かにキレているのが分かる。
敢えて落ち着いた口調で話す事で、自分を抑え込んでるんだと思う。
「お前が今言ってる事は、俺に社会的に死ねと言ってるようなもんだぞ」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる