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【32】
しおりを挟む「アイブロウ先輩、帰りますよ」
まだしゃがみ込んだままの先輩の隣にカバンを置いた。
「あ、これ……私の?」
「そうですよ。机の上の物、テキトーに詰めたんで中グチャグチャですけど」
先輩は蚊の鳴くような声で「ありがと……」とだけ言った。
二人で並んで廊下を歩く。
心做しかいつもより先輩との距離が離れている気がする。
どうやら思いっ切り警戒されているらしい。
そして沈黙が長い。
いつもは他愛もない話を駄弁っているのに。
気まずさを感じていると、先輩の歩みが止まる。
「アイブロウ先輩?」
俺が振り返ると、先輩は俯いている。
「………何で……あんな事、したの……?」
俺を問い掛けてくる先輩の声は震えていて、思わず
「そんなに嫌だった?」
と、質問に質問を返してしまう。
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