物語の始まりは…

江上蒼羽

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読み進めていく内に、ノートの中身が恋愛小説らしい事に気付く。

空想や読書が好きな女子高生が主人公で、担任教師に片思いをしているといった内容。

担任教師の名は桃瀬。

名前が少し似ているなと思ったけど……


「これ、まんま百田じゃん……」


眼鏡を掛けた20代後半の現国教師、野球部の顧問で生徒達からはももちゃん先生と呼ばれて慕われている桃瀬という登場人物は百田そのもので、きっとアイブロウ先輩は、主人公に自分を重ねているんだろう。




“私がどれだけ先生を想っても、先生が振り向いてくれることはない……”




この一文は、特にアイブロウ先輩の思いが反映されているんだと思った。

先輩の小説は、まだ途中で主人公が桃瀬という教師に想いを告げた所で止まっている。

そこから先は消しゴムをかけた跡が残っていて、何度も書いては消してを繰り返していたっぽい。

先輩がこの先の展開に悩んでいるんだろうなと感じた。

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