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【26】
しおりを挟む図書室のドアが閉まる音がした後、アイブロウ先輩は少し悲しげに小さな溜め息を吐いた。
先輩が百田を好きなのは明らかだけど、そんな事は俺には関係ない。
なのに、どうしてこんなにも面白くないと感じるのか。
「前に週1で顧問が顔出すって言ってたけど、今日がその日なんすか?」
先輩はカバンからいつものノートを取り出して、ページを捲っている。
「そうだよ。普段は野球部だけど、木曜は文芸部の日。といっても毎回冒頭だけ顔出してすぐいなくなるけど」
「ふぅん……」
なるほどね、だから先輩は木曜日が好きなのか…と考えて、またイラッとしてしまう。
「百田先生ね、清原くんの事を凄く気に掛けてるよ。あんまり先生に負担掛けないであげたら?」
「………」
「頑張って早く課題終わらせて、先生をホッとさせてあげよ?ね!」
アイブロウ先輩は、俺を励ます為に言ってくれてるんだろうけど、俺には早く課題を終わらせて図書室から遠ざけようとしてるように思えてならない。
俺が居なきゃ百田と二人きりの時間を過ごせるだろうから。
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