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【24】
しおりを挟む自分でも何でだかよく分からないけど、胸の辺りがモヤつく。
「しっつれいしまーす」
楽しげに話をしている二人の邪魔をするようにわざと大きな声を出して本棚の間から顔を出してみせた。
ピタリと止む会話。
それにまた何となくムカついて、大袈裟に足音を響かせながらいつもの定位置へと向かう。
「清原……お前な、もうちょい静かに入って来い。場所を弁えろ」
「そうだよ。もう……前にも言ったじゃん、図書室では静かにって」
アイブロウ先輩と百田が其々小言を浴びせて来たけど無視して、椅子を引いた。
自分達だってデカい声で喋ってたじゃねーか、との嫌味は飲み込んで。
「どうだ?課題は終わりそうか?」
百田の質問に「まぁ……」と気のない返事をする。
「てか百田先生、課題のテーマ結構難しいと思うんですけど。彼が可哀想ですよ」
俺の代わりにアイブロウ先輩が百田に抗議するけど、それはまたどこか愉しげで、彼女が浮かれているのがよく分かる。
「そうかぁ?俺にしては優しいと思うが……」
スカした顔ですっとぼけた事を抜かす百田が、いつもながらムカつく。
けど、それ以上にアイブロウ先輩の百田だけに向ける、甘ったるい顔が無性にムカついた。
恋するオンナのコな顔が。
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