10 / 57
【10】
しおりを挟む何をやっているんだろう?と覗き込むと、人の名前らしき文字と、数字等を含んだ文が箇条書きのような形式で書かれていた。
数字は身長と体重を表記しているっぽい。
「この桃瀬って人、筋肉質って割には体重少なくないっすか?」
パッと見えた部分で何となく疑問に思った事を口にした途端、黛先輩は高速でノートを畳んだ。
どうやら見てはいけなかったらしい。
「あー………何かすみません」
黛先輩は「や、別に……」とボソボソ呟く。
「………しょ、小説の簡単な人物設定というか……」
元が白いからか、顔が赤らんでいるのがよく分かる。
「て事は……架空の人物なんすね?リアルは求めない感じならその数字でもいいかもだけど、現実的に考えるのなら、180㎝で筋肉質な男は少なくともあと5㎏は重いっすよ」
先輩は小さく「なるほど」と呟いた後、閉じたノートを再度開いてペンを握る。
「勉強になる。ありがと」
すぐさま俺が指摘した通りに数字を修正している。
「先輩は小説家でも目指してるんですか?まぁ、文芸部に所属してるって事は、そうなんだろうけど」
俺が聞くと、先輩は首を左右に振った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる