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未来の為に【裏】②
しおりを挟む上條さんにはあんな風に言ったけど、瑞希と付き合い始めた頃から、将来的に結婚出来たら……と考えていた。
多少変わった所はあるけど、瑞希は凄くいいコだし可愛いし、何より俺の秘密の副業について理解してくれてる。
俺なんかには勿体ないような女性で、瑞希以上の女性がこの先現れる気がしない。
彼女との間にそういった話題は皆無で、もし結婚したら……とか、子供は……みたいな仮定の話すらした事がないし、それ以前に付き合い始めてからまだ半年強。
昨今は芸能人の交際0日婚が話題になったりするから交際期間の長さは関係ないにしても、瑞希は結婚のけの字も意識していないだろう。
けど、この先もずっと一緒に居たいから結婚をまだ先の事と考えずに打診してみてもいいのかもしれない。
と、思ってはみたものの……
いきなり行動する勇気がないヘタレな俺は、取り敢えず身近な人間に相談を持ち掛けてみる事にした。
「………女性はやっぱり結婚に強い憧れを持っていたりするのかな?一般的な結婚観を教えて欲しい」
俺の切実な様が可笑しいのか、テーブルを挟んで向かい側に座る人物が「フッ…」と笑みを溢す。
「タツ………アンタさぁ、他に相談出来る女友達いないの?」
開口一番、溜め息混じりに俺を貶す、母方の従姉妹の愛実。
「ま、アンタにいるとは思えないけど」
昔から俺の事を軽く見下しているのか、若干当たりが強い。
彼女の言葉がグサグサと痛い所に突き刺さる。
「………その通りです」
陰キャの俺と根っからの陽キャな愛実の性格は真逆。
引っ込み思案のくせに密かに目立ちたい願望を抱える反面、うじうじと常に周りの目を気にしてしまう俺は、どんな時も自信に満ち溢れている彼女が正直苦手だ。
男女問わず友人が多く、華やかな人生を送っている愛実と違い、同じような陰キャとしかつるめず、異性の友達は皆無な俺。
同じ祖父母に育てられた姉妹から生まれたのに対照的過ぎる。
女心というものが分からないから恥を忍んで相談してみたはいいが、こうもキツい言葉を浴びせられるとは思ってもみなかった。
「私に聞かなくても手っ取り早くネットで調べりゃいいじゃないの。掲示板とか覗くのお得意でしょ?」
呆れたような口振りで言ってから、愛実は飲み物に口を付けた。
「そりゃあ、そうなんだけど………ネットだと偏った意見ばかりかなぁと思いまして……」
「あそ」
「リアルな声を聞きたいというか……」
愛実の冷たい目から視線を逸らし、テーブルの下でモジモジと手遊びをする。
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