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大ピンチ!!②
しおりを挟む現時点で心臓はバクバク。
呼吸も苦しい。
のたうち回りたい衝動に駆られつつ、懸命に平静を装っていると、彼女が「…………けど」と声のトーンを変えた。
「ご存知ないようなので、久世さんはリュークとは無関係みたいですね。失礼しました、忘れて下さい」
「………はい」
探るような口振りから一転して、あっけらかんとした様子に拍子抜けさせられた。
同時に切り抜けられた事にホッと胸を撫で下ろす。
良かった……と、思ったのも束の間……
「でも本当に似ているんですよ。興味があったら聞いてみて下さい。後で島津さん………一緒に外観検査している子なんですけど、その子にも聞かせてみよ―――…」
瞬時に女性が俺を強請りにかかってると判断した。
やっぱり俺がリュークだとバレてる。
直ぐ様彼女に詰め寄った。
「…………今日の業務終了後、お時間ありますか?」
「え………?」
他の人間………ましてや仕事で関わりのある人に広められたら、どんなにしらばっくれてもバレる可能性が出てくる。
バレなくても変な噂が広まるかもしれない。
どちらにせよ、俺は会社にいられなくなる。
それを分かってて俺を脅そうなんて、可愛い顔してとんでもなく質の悪い女だ。
目的はやはり金?
金を出せば黙らせる事が出来るだろうか?
いくら出せば納得するか分からないけど、取り敢えずは交渉の場を設けてやろうじゃないか………等と、脳内で凄まじい速さで思考が巡る。
知恵熱が出そうなくらい煮えたぎった頭の中は、とにかくこの女性の口を塞く事ばかりを考えていた。
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