その声は媚薬.2

江上蒼羽

文字の大きさ
上 下
6 / 81

大ピンチ!!②

しおりを挟む


現時点で心臓はバクバク。

呼吸も苦しい。

のたうち回りたい衝動に駆られつつ、懸命に平静を装っていると、彼女が「…………けど」と声のトーンを変えた。


「ご存知ないようなので、久世さんはリュークとは無関係みたいですね。失礼しました、忘れて下さい」

「………はい」


探るような口振りから一転して、あっけらかんとした様子に拍子抜けさせられた。

同時に切り抜けられた事にホッと胸を撫で下ろす。

良かった……と、思ったのも束の間……


「でも本当に似ているんですよ。興味があったら聞いてみて下さい。後で島津さん………一緒に外観検査している子なんですけど、その子にも聞かせてみよ―――…」


瞬時に女性が俺を強請りにかかってると判断した。

やっぱり俺がリュークだとバレてる。

直ぐ様彼女に詰め寄った。


「…………今日の業務終了後、お時間ありますか?」

「え………?」


他の人間………ましてや仕事で関わりのある人に広められたら、どんなにしらばっくれてもバレる可能性が出てくる。

バレなくても変な噂が広まるかもしれない。

どちらにせよ、俺は会社にいられなくなる。

それを分かってて俺を脅そうなんて、可愛い顔してとんでもなく質の悪い女だ。

目的はやはり金?

金を出せば黙らせる事が出来るだろうか?

いくら出せば納得するか分からないけど、取り敢えずは交渉の場を設けてやろうじゃないか………等と、脳内で凄まじい速さで思考が巡る。

知恵熱が出そうなくらい煮えたぎった頭の中は、とにかくこの女性の口を塞く事ばかりを考えていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました

宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。 ーーそれではお幸せに。 以前書いていたお話です。 投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと… 十話完結で既に書き終えてます。

その声は媚薬

江上蒼羽
恋愛
27歳、彼氏ナシ。 仕事と家を往復するだけの退屈な日常を潤してくれるのは、低くて甘い癒しのボイス。 短編の予定。 途中15禁のような表現があるかもしれません。

両隣から喘ぎ声が聞こえてくるので僕らもヤろうということになった

ヘロディア
恋愛
妻と一緒に寝る主人公だったが、変な声を耳にして、目が覚めてしまう。 その声は、隣の家から薄い壁を伝って聞こえてくる喘ぎ声だった。 欲情が刺激された主人公は…

恋人の水着は想像以上に刺激的だった

ヘロディア
恋愛
プールにデートに行くことになった主人公と恋人。 恋人の水着が刺激的すぎた主人公は…

腹黒上司が実は激甘だった件について。

あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

処理中です...