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イケボと声フェチ①side:瑞希
しおりを挟む超絶私好みの声の持ち主、シチュエーションボイス動画配信者のリュークが派遣先の会社と繋がりがある企業の社員、久世 竜生さんである事が判明した。
甘々で微Sな雰囲気の自信家キャラ、リュークとは反対に、当の本人は至って真面目で控えめ。
どちらかというと、後ろ向きでウジウジタイプ。
そんな彼とは、私の不純な目的を達成する為に体の関係を持ったのだけれど、どういう訳かそのまま正式にお付き合いをする事となった。
『………て、事があってさ。その件に俺は直接関係ないんだけど、それでも同じ部署内で起こった事だから、知らん振りもどうかなって思うんだよね』
この声を聞くと、スマホを握る手に勝手に力が入る。
『上の人達もてんやわんやで……面倒事は本当勘弁して欲しい』
現在私は耳が幸せの真っ最中。
『話は変わるんだけど、この前会社の近くに新しいラーメン屋が出来て、上條さんと一緒に行ってきたんだけど……』
彼が話す内容は至って普通の世間話なのだけれど、私の脳内でそれら全てが18禁の内容に変換されている。
流石に電話越しに「はぁはぁ……」言いはしないものの、密かに1人で興奮している私がいる。
胸の高鳴りに悶え苦しまずにはいられない。
『ボリュームあるけど割りとあっさり系で女性でもペロリと………』
と、ここで電話の主の言葉が不自然に途切れた。
突然のサービスタイム終了を不思議に思いながら、一応受話音量の確認をしてみる。
興奮して気づかぬ内にうっかり音量調節ボタンに触れて音を小さくしてしまったのかもしれない。
サイドのボタンで音量を少し上げて、再度スマホを耳に当てたと同時に不満げな声が聞こえてくる。
『………瑞希、さっきから反応ないけど……聞いてる?』
「っ、」
音量を上げた所からの、ちょっぴり怒ったような低めの声は刺激が強過ぎた。
「き、聞いてる……ちゃんと聞いてる、うん……」
まるで今の私は夏場のキャラメル状態。
噛み応えのないふにゃふにゃ柔らかいキャラメルみたく、ベッドの上で溶けかかっている。
「あー………もう、ホント好き……」
思わず口走った言葉に、電話の主は声にならない声を出した。
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