その声は媚薬

江上蒼羽

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「ありがとうございました。良い思い出になりました」

「あ…………いえ……」


バスローブを羽織ってベッドから降りた。

部屋の隅に投げたままのバッグからスマホを取り出して時刻を確認すると、もう日付が変わっていた。


「…………録音しておけば良かったぁ……」


溜め息と共に吐き出すと、久世さんが「え……?」と反応する。


「………久世さんの声、やっぱり好き過ぎる。直に聞けて最高。最後の掠れ声とかもう……ヤバい。語彙力なくなる程ヤバい……」


ヤバいを連発する人って馬鹿っぽいと思っていたけれど、今の自分は正にそれ。

知能が低下したみたく、ヤバいしか言えない。


「普段の声も良いけど、最中の色気増し増しの声はもうっ…………あー毎日聞きたい。何で録音しとかなかったかなぁー……」


こんなの痴女の完全な独り言だから、久世さんには軽く聞き流して欲しかった。 


「魅惑の18禁ボイスもいいトコだよ…………はぁ……最高だったぁ……」


スマホを握り締めながら先程までの行為中の久世さんの声を反芻していると、不意に「伊原さん」と名を呼ばれる。


「何です…………んむっ……」   


振り返った瞬間にいつの間にか背後に居た久世さんに口を塞がれる。

突然の事に驚いてスマホを床に落としてしまった。

幸い柔らかい素材の床だった為、被害はなさそうだ。

事は終わった、十分楽しんで満足した………けれど、久世さんはまだ足りないのだろうか?と不思議に思っていると、唇を離した久世さんが言いにくそうに切り出す。


「………俺、このまま1回で終わりたくないです」


肩に置かれた手は微かに震えていた。

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