その声は媚薬

江上蒼羽

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身も心も幸福感で満たされた。

体に全然力が入らない。

これが腰が砕けるという事か。



「………伊原さん、いつまでもそうしてると風邪引きますよ」


ベッド上に横たわったままいつまでも起き上がらない私に久世さんがバスローブを掛ける。


「あの………何かすみません……」


何故か申し訳なさそうに謝る久世さん。

私は不思議に思いながら彼の方へと顔を向けた。


「あんまり上手くなくて……満足させられたでしょうか?」


恥ずかしそうに頬を赤らめ、顔を背ける久世さんはとても可愛らしい。


「………余韻に浸って動けないでいる私を見て察して下さい」

「じゃあ……良い方に受け取っておきますね」


ゆっくりと上体を起こし、乱れた髪を手櫛で整えた。

何だか、久世さんと目を合わせ辛い。

自分から迫っておきながら、事が済んでしまうと急激に恥ずかしさが押し寄せてくる。


「こちらこそすみませんでした。我が儘言いまして……」

「いえ………何か……気恥ずかしいもんですね」


久世さんも私と同じ思いらしく、先程まで激しく求め合っていたのが嘘みたいによそよそしい。


「……シャワー浴びます?」

「…………もう少ししたら」


ふと、目線を下げると胸元に赤い痕がいくつも付いているのに気付く。


「………彼女でもない女に普通こういうの付けます?」

「す、すみません……伊原さんが可愛いくてつい……調子に乗り過ぎました……」


責めたつもりはないのに、久世さんにはそう聞こえたらしい。

申し訳なさそうにしゅんとする彼の丸まった背中が愛らしく、思わず笑みが零れた。

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