1 / 29
【1】
しおりを挟むその声を初めて聞いた時、脳天が痺れる程の激しい衝撃を受けた。
『こっちにおいで』
「………っ、」
耳に響く声は優しくて甘い。
声の主は、悪戯っぽく私を挑発するように囁く。
『何照れてんの?ねぇ、早く』
「………はぁぁ…」
深い深い溜め息を吐いた。
『あは、可愛い』
「……っ、ぐぅぅ………」
胸がキュンキュンと高鳴る。
『今日も良く頑張ったね、お疲れ様』
低く甘い声に蕩けそうになりながら、目を固く瞑った。
『ご褒美に良い事しようか?』
チュッ……と艶かしいリップ音がしたと同時に、声にならない声が出た。
耳を強く握るとイヤホンが奥に食い込む。
『………ヤバ……興奮してきた』
切羽詰まったような吐息混じりの声に対して呟く。
「その台詞、私が言いたい……」
穏やかで優しい低い声。
かといって低過ぎない、丁度良い高さ。
やや甘めで妙に色気を孕んだこの声は、私の好みのど真ん中で、ずっと聞いていたい位心地好い声だ。
『本当はもっといじめたいけど………明日も早いでしょ?』
名残惜しそうな声に「やっ……大丈夫!もっと…」と返してみるも、声の主に私の声は届かない。
『おやすみ、また明日ね』
「っ………」
音声が途絶え、スマホの画面には“高評価”、“チャンネル登録お願いします”の文字が並んだ。
「う………終わってしまった……」
スマホを握り締め、天井を見詰める。
「おやすみって………こんな声聞いたら余計眠れないよ」
少しくすんだ色の天井に向かって溜め息を吐いた。
「………もう一回聞こう」
興奮冷めやらぬ状態で、スマホの画面の真ん中に表示されている再生ボタンをタップした。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
放課後の生徒会室
志月さら
恋愛
春日知佳はある日の放課後、生徒会室で必死におしっこを我慢していた。幼馴染の三好司が書類の存在を忘れていて、生徒会長の楠木旭は殺気立っている。そんな状況でトイレに行きたいと言い出すことができない知佳は、ついに彼らの前でおもらしをしてしまい――。
※この作品はpixiv、カクヨムにも掲載しています。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?
ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。
しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。
しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる