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恋する気持ち⑦
しおりを挟むきっとお兄さんは、この間の女の人と新しい恋を始めるんだ。
もしかしたら始まっているのかも。
そうだったら、私みたいなお子ちゃまの相手なんかしている暇なんてないと思う。
寧ろ、私はお邪魔虫的存在になる。
だから私、切られちゃう………よね?
もうお兄さんに会えなくなっちゃうよね?
そんな風に思ったら、居ても立ってもいられず、勝手に体が動いてた。
「お兄さんっ!」
お兄さんの行く手に回り込み、彼の手元から包みを奪う。
「涼亜ちゃん……?」
突然の事に目を丸くするお兄さん。
彼が奪い返せないよう、卑怯にも包みを小さくしてYシャツの胸元に押し込んだ。
「やっぱり、これを今返すのやめる」
「え……」
「後悔したくない」
お兄さんを睨むように下から見上げる。
それから人一倍小さい体を少しでも大きく見せるよう、胸を張った。
深く息を吸い込み、勢いをつけて吐き出す。
「私、お兄さんの事、好きになっちゃいました」
突然の告白を受け、お兄さんは眉間に皺を寄せた。
明らかに迷惑そうな反応に傷付きながらも、言ってしまったらもう止まれない。
さっきまでの緊張は勢いに負けてどっかにいってしまった。
「自分でもどうして良いのか分かんないくらい好きなんです」
お兄さんは頭を抱える仕草を見せ、溜め息を吐いた。
それから少しの間を置いて重そうに口を開く。
「………ごめん。俺の態度が勘違いさせちゃったんだよね?キミの事は可愛いと思うよ。けど、はっきり言って歳が離れ過ぎているし、妹みたいにしか思えないんだ」
正直、そうだろうなって思ってた。
私なんかがお兄さんみたいな大人に相手にされないって分かってた。
この間の美人なお姉さんに比べたら全然チンチクリンだし、胸もお尻もぺったんこだし。
頭は馬鹿で空っぽでお子ちゃまだし。
お兄さんの中じゃ、精々妹ポジションだろうなって。
だからって、このまま振られて終わりたくない。
足掻けるなら、最後まで足掻きたい。
爪跡残したい。
「そんなの分かってる。だから」
真ん中3本の指を立てた右手を、お兄さんの顔面の真ん前に突き立てる。
「3年……3年でお兄さんに見合う良い女になってみせます」
ピンと反った3本の指に誓いを込める。
「お兄さんが絶対腰を抜かすような、すんごい良い女になって、借りたハンカチ返しに来ます」
「え………何言って…」
お兄さんの眉間の皺がより一層濃くなった。
こいつ何言ってんだ?と言いたげな表情に構わず続ける。
「3年後、お兄さんがこの間の美人なお姉さんと続いていたり結婚していたら潔く諦める。でも、もし独り者だったら………その時は私を彼女にしてください」
生まれて初めての告白は、自分的に120点。
馬鹿だけど狡い私なりに一生懸命考えた、今すぐには振られないであろう条件だ。
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