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第一章 青の街道
第十一話 旅の基本
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水の都までの道程は長い。ガルツから徒歩でひと月はかかる距離だ。今回のように大量の荷があると倍近くかかる。だからこそ街道が雪で埋まってしまう前に出立しなければならない。一行は季節に阻まれる前に出発することはできたわけだ。
最初に目指すのは中継地点となる北の都。ガルツの村から街道を南下して十日程度で到着する見込みだ。そこまではひたすら森のなかの街道を南へ歩くことになる。
「ずっと森が続くんだな」
出発して半日。風景が変わり映えしないことにジッツがぼやく。既に日は天頂を周り、木漏れ日が向きを変えていた。
「この辺りはあたしら冒険者には『青の森』って呼ばれてる。ここらに生えてる細い葉の木は年中、葉を落とさないからね」
「青の森か。海から見ると緑なんだよ」
「それは海がより青いからですね。昔から緑は青と表現するものなんです」
「なんか難しいな。なんで見えてるもんと違う言い方をするんだ?」
「感性の問題でしょうね。きっと昔は青い色が綺麗に見えたんでしょう。だから青と名付けるものは綺麗なもの、という意味があるのだと思います」
「へぇ、物知りだなお前」
「僕は本を読むのが好きなだけですよ」
トウサは照れながら手綱を持ち直した。脇を御者のように歩くのはクロエとジッツは、ペースを作るために先頭を歩いていた。ジェロムは荷車の後ろを歩き、ディアナは狭い空きスペースに座っている。ここまでは何事もなく進んで来られた。
「ところでお若いお二人さん? 旅をするなら気をつけなきゃならねぇことがいくつもある。最初に言った隊列の話もそうだ。順に教えていこうじゃないか」
「ありがとうクロエ。色々教えてよ」
「よしよし、素直になったな。良いことだ。一番大事な心構えはそいつだ。見栄を張らない、無理をしない。一番最後まで生き残るのはそういう奴なんだ」
あははと爽やかな笑顔を見せる赤毛の女傑は、冒険者という肩書きのわりに面倒見が良いことで有名だった。
「自分の実力を過信した時に無理をしちまうんだわ。男とか女とか関係なく、できねぇことはしない。ジェロム、お前みたいな子供から大人になりかけの奴が一番やっちまうんだ。よく覚えとけ?」
「ああ、わかったよ。逃げる時に逃げる」
「ジッツもだぜ?男だからって無茶すんなよ。命をかけるのは見通しがあるときだけだぜ」
「おお、オレは海に出るときはいつも命がけだ。もっともそれは海のことを知ってて、海のことなら何とかなるからだろうな。地上じゃよく分からんからクロエの言う通りするさ」
筋骨隆々の海の男という外観から思いもよらぬ言葉を聞いたとジェロムは思った。こういった虚勢を張らない態度は、常に強さや賢さを求め続けるべしという彼の心情に反していたからだ。もっともその立派な志は、自身の怠惰な性格で台無しになることも多かったわけだが。
「さって、一度休憩しようか。今日は青銅湖まで行ければいいから、そんなに急がなくて大丈夫だ」
立ち止まるクロエに馬車も止まった。ジッツが道端にあった倒木に腰掛ける。トウサが皆に水筒を渡し、各々が好きなだけ飲んだ。
「ああ、うまい。動いた後に飲むとうまいぜ」
「ここで旅の心得、休憩についてだ。先ず、喉が渇いたからといって水を一気に飲まないこと」
「ぶほっ! げほっ・・・何だよ?」
「あはは! 悪ぃ悪ぃ、そんなつもりは無かったんだけどな」
ジッツの肩をバンバン叩きながらクロエが続ける。
「水はさ、喉を潤す程度でいいんだ。汗が出た分だけ飲みたくなるが、それは本格的な休憩のときでいい。こういった軽い休憩の時に飲みすぎると、かえって身体が疲れるんだ」
「そうなんですね。いつも移動は馬車に乗りっぱなしだから、あまり気にしたことがないです」
「水が身体の疲れを全身に運んじまうからな。だから寝たりして疲れを取る時にしか飲まないほうがいいんだ。逆に食べ物は動いたぶんだけ食べたほうがいいぞ、頭が冴えて身体も軽くなる」
「食ったら眠くならねぇか?」
「そりゃ食い過ぎだ」
再度、してやられたという表情をするジッツに、皆が笑った。
「休憩は頻度も大事だ。旅慣れないうちは、最初は元気だからなかなか休まなくて、疲れると何度も休んじまうってパターンになりがちだけど、これはダメ。身体が疲れていない時は回復も早いから、疲れたと思う前に休むのが定石。逆に疲れちまったときに休んじまうと、さっきの水みたいに全身に疲れが回っちまうから動けなくなる。だから1日の最後は少し無理しても先へ進む感じがいい」
「さすがです。僕も本でそういった話を読んだことがあります」
「だろだろ? 冒険者は身体で覚えるからな、こういった情報に間違いはないぜ」
ふふん、と得意そうに胸を張る冒険者は、なるほど頼りになる知識が豊富だ。
「そんじゃ、水もほどほどにしといてくれ。軽く何か食べたら出るぞ」
午後の道中も相変わらずの光景が続いた。段々と空が夕闇に染まると、鬱蒼と茂った草木からひたひたと夜が迫ってきていた。いくら街道が進みやすいといっても、夜になると危なそうだ。そう思ったジェロムの眼前が突然開けた。暗かった空が幾分か明るくなり、隙間から見えていた夕闇が眼前に広がる。空に赤と青の美しいコントラストが広がっており、地面にも同じ色が広がっていた。
「ついたぜ、ここが青銅湖だ。今日はここで野営しよう」
言われて気付く。地面の色は湖が空を反射している色だった。湖面は穏やかで波立っておらず、周囲の光景を鮮やかに映し出していた。
「さて、今日は野宿・・・なんだが、地面にそのまま寝ると寒いだろ? 火を起こすためだけじゃなくて、寝袋の下に敷くために小枝を集めんだ。これが有るのと無いのじゃ、寝るときの心地よさが全然違う」
「どのくらい集めるんですか?」
「お、いいね、素直素直。寝っ転がったときに身体を押し返してくれる程度が理想だ。テントとか寝具があると一番いいんだけど・・・今回は馬車なのに持ってねぇからな。・・・あの村長、ケチなのか?」
「う~ん、そういうわけじゃないと思いますけど、ちょっとボケてたりしますね」
「あはは、自分とこの村長だろ! どうにかしてやれよ?」
「ずっとあの人だから、あれが普通だと思ってたぜ。そうか、ケチなのか」
「ここだけの話、報酬も値切られたらしいからな」
クロエは笑い飛ばしながらも、あっという間に枝を集めてきた。ジェロムとディアナも一緒に集めたが、集まったものを見ると小さすぎるものも混じっており、使える量でいうと半分以下であった。
「おっと二人とも。もう少し集めたほうがいいぜ」
「ハイ」
「行ってきます」
二人は少し奥まで足を伸ばして集めることにした。その間にクロエが火を起こし、ジッツが薪を集め、トウサが食事の器と食材を取り出す。戻ってきた頃にはすっかり野営の準備が終わっていた。
「みんな、ハヤイね」
「慣れだかんね、ちょっとずつ覚えてきな。野営の心得も幾つかあるんだけど、一番は早めの準備。日が暮れてからだと暗くて何もできねぇからな、準備が終わった頃に暗くなるのが理想的だ。今日は食料調達もしなくていいから楽だぜ」
なるほど、とジェロムは寝床の用意を進める。出立前にオルドスに習った野営の話は、雨風のしのぎ方、警戒のやり方、火の維持方法などの「どうやれば」という知識で、タイミングや心得は無かった。知識を肉付けするという意味を少しだけ実感する。一方、隣で作業をしているディアナはあまり喋らないことにしていた。表向きは言葉が拙いと伝えてあるのだが、オルドス曰く、魔術を不用意に信頼のない人間の前で使うなと言われていたからだ。翻訳術は微小の魔力で発動するが、古代魔語で話すわけにもいかない。言葉を覚える意味で自分用に常に起動しているだけで、うっかり話さないようにしていたというわけだ。
「今日は水がいくらでも使えるからな、鍋にしようぜ。道中、あと1回は川の側で野営できるけど、残りは水場が近くにないんだ。水の有り難みを十分に味わっておくといい」
「クロエさん、鍋ならこの干節を使ってください」
「お、いいね。出汁の出るもんがあるんだな。これに途中で採ったキノコを入れようか」
「あと芋もあります」
「えらい豪勢だな? 後で足りないとか言わないでくれよ」
「二人とも、料理すんの手伝え」
「はーい」
出汁の食欲をそそる匂いが皆を駆り立てたおかげで夕食はスムーズに完成した。
「こいつは美味ぇ! ガルツの干節はやっぱりいいな」
「はは、ありがとうございます。今回の商品に入れてありますから、良ければ買ってください」
「商売上手だねぇ。でもこれならあたしも欲しいな」
外は水が凍るほどの冷え込みだったので、鍋はよく身体を温めてくれた。その心地よさに疲れが出たのか、ジェロムは急に眠気を覚えた。思わず欠伸をした顔をクロエは見逃さなかった。
「お、疲れたんだな? そこの二人は早く寝るといい。今日は旅慣れたヤツのペースで進んだからよくついて来たよ。明日も同じペースだから先に身体を休めときな。予定より早く北の都に着けば長めに休めるからな」
「おう、今日はオレたち三人で番をしとくからよ。気にせず寝ちまいな」
「僕も馬車に乗りっぱなしでしたから大丈夫ですよ。ゆっくり休んでください」
「・・・わかった、ありがとう」
「ミンナ、ありがとネ」
「ははは、よしよし正直だね。いいぞ」
皆が揃って勧めるものだから二人は素直に従うことにした。もっとも、こう何度もクロエに素直と言われると、かえって子供扱いされているように思えてしまう。最初に強がってしまったことを少し後悔するジェロムだった。
最初に目指すのは中継地点となる北の都。ガルツの村から街道を南下して十日程度で到着する見込みだ。そこまではひたすら森のなかの街道を南へ歩くことになる。
「ずっと森が続くんだな」
出発して半日。風景が変わり映えしないことにジッツがぼやく。既に日は天頂を周り、木漏れ日が向きを変えていた。
「この辺りはあたしら冒険者には『青の森』って呼ばれてる。ここらに生えてる細い葉の木は年中、葉を落とさないからね」
「青の森か。海から見ると緑なんだよ」
「それは海がより青いからですね。昔から緑は青と表現するものなんです」
「なんか難しいな。なんで見えてるもんと違う言い方をするんだ?」
「感性の問題でしょうね。きっと昔は青い色が綺麗に見えたんでしょう。だから青と名付けるものは綺麗なもの、という意味があるのだと思います」
「へぇ、物知りだなお前」
「僕は本を読むのが好きなだけですよ」
トウサは照れながら手綱を持ち直した。脇を御者のように歩くのはクロエとジッツは、ペースを作るために先頭を歩いていた。ジェロムは荷車の後ろを歩き、ディアナは狭い空きスペースに座っている。ここまでは何事もなく進んで来られた。
「ところでお若いお二人さん? 旅をするなら気をつけなきゃならねぇことがいくつもある。最初に言った隊列の話もそうだ。順に教えていこうじゃないか」
「ありがとうクロエ。色々教えてよ」
「よしよし、素直になったな。良いことだ。一番大事な心構えはそいつだ。見栄を張らない、無理をしない。一番最後まで生き残るのはそういう奴なんだ」
あははと爽やかな笑顔を見せる赤毛の女傑は、冒険者という肩書きのわりに面倒見が良いことで有名だった。
「自分の実力を過信した時に無理をしちまうんだわ。男とか女とか関係なく、できねぇことはしない。ジェロム、お前みたいな子供から大人になりかけの奴が一番やっちまうんだ。よく覚えとけ?」
「ああ、わかったよ。逃げる時に逃げる」
「ジッツもだぜ?男だからって無茶すんなよ。命をかけるのは見通しがあるときだけだぜ」
「おお、オレは海に出るときはいつも命がけだ。もっともそれは海のことを知ってて、海のことなら何とかなるからだろうな。地上じゃよく分からんからクロエの言う通りするさ」
筋骨隆々の海の男という外観から思いもよらぬ言葉を聞いたとジェロムは思った。こういった虚勢を張らない態度は、常に強さや賢さを求め続けるべしという彼の心情に反していたからだ。もっともその立派な志は、自身の怠惰な性格で台無しになることも多かったわけだが。
「さって、一度休憩しようか。今日は青銅湖まで行ければいいから、そんなに急がなくて大丈夫だ」
立ち止まるクロエに馬車も止まった。ジッツが道端にあった倒木に腰掛ける。トウサが皆に水筒を渡し、各々が好きなだけ飲んだ。
「ああ、うまい。動いた後に飲むとうまいぜ」
「ここで旅の心得、休憩についてだ。先ず、喉が渇いたからといって水を一気に飲まないこと」
「ぶほっ! げほっ・・・何だよ?」
「あはは! 悪ぃ悪ぃ、そんなつもりは無かったんだけどな」
ジッツの肩をバンバン叩きながらクロエが続ける。
「水はさ、喉を潤す程度でいいんだ。汗が出た分だけ飲みたくなるが、それは本格的な休憩のときでいい。こういった軽い休憩の時に飲みすぎると、かえって身体が疲れるんだ」
「そうなんですね。いつも移動は馬車に乗りっぱなしだから、あまり気にしたことがないです」
「水が身体の疲れを全身に運んじまうからな。だから寝たりして疲れを取る時にしか飲まないほうがいいんだ。逆に食べ物は動いたぶんだけ食べたほうがいいぞ、頭が冴えて身体も軽くなる」
「食ったら眠くならねぇか?」
「そりゃ食い過ぎだ」
再度、してやられたという表情をするジッツに、皆が笑った。
「休憩は頻度も大事だ。旅慣れないうちは、最初は元気だからなかなか休まなくて、疲れると何度も休んじまうってパターンになりがちだけど、これはダメ。身体が疲れていない時は回復も早いから、疲れたと思う前に休むのが定石。逆に疲れちまったときに休んじまうと、さっきの水みたいに全身に疲れが回っちまうから動けなくなる。だから1日の最後は少し無理しても先へ進む感じがいい」
「さすがです。僕も本でそういった話を読んだことがあります」
「だろだろ? 冒険者は身体で覚えるからな、こういった情報に間違いはないぜ」
ふふん、と得意そうに胸を張る冒険者は、なるほど頼りになる知識が豊富だ。
「そんじゃ、水もほどほどにしといてくれ。軽く何か食べたら出るぞ」
午後の道中も相変わらずの光景が続いた。段々と空が夕闇に染まると、鬱蒼と茂った草木からひたひたと夜が迫ってきていた。いくら街道が進みやすいといっても、夜になると危なそうだ。そう思ったジェロムの眼前が突然開けた。暗かった空が幾分か明るくなり、隙間から見えていた夕闇が眼前に広がる。空に赤と青の美しいコントラストが広がっており、地面にも同じ色が広がっていた。
「ついたぜ、ここが青銅湖だ。今日はここで野営しよう」
言われて気付く。地面の色は湖が空を反射している色だった。湖面は穏やかで波立っておらず、周囲の光景を鮮やかに映し出していた。
「さて、今日は野宿・・・なんだが、地面にそのまま寝ると寒いだろ? 火を起こすためだけじゃなくて、寝袋の下に敷くために小枝を集めんだ。これが有るのと無いのじゃ、寝るときの心地よさが全然違う」
「どのくらい集めるんですか?」
「お、いいね、素直素直。寝っ転がったときに身体を押し返してくれる程度が理想だ。テントとか寝具があると一番いいんだけど・・・今回は馬車なのに持ってねぇからな。・・・あの村長、ケチなのか?」
「う~ん、そういうわけじゃないと思いますけど、ちょっとボケてたりしますね」
「あはは、自分とこの村長だろ! どうにかしてやれよ?」
「ずっとあの人だから、あれが普通だと思ってたぜ。そうか、ケチなのか」
「ここだけの話、報酬も値切られたらしいからな」
クロエは笑い飛ばしながらも、あっという間に枝を集めてきた。ジェロムとディアナも一緒に集めたが、集まったものを見ると小さすぎるものも混じっており、使える量でいうと半分以下であった。
「おっと二人とも。もう少し集めたほうがいいぜ」
「ハイ」
「行ってきます」
二人は少し奥まで足を伸ばして集めることにした。その間にクロエが火を起こし、ジッツが薪を集め、トウサが食事の器と食材を取り出す。戻ってきた頃にはすっかり野営の準備が終わっていた。
「みんな、ハヤイね」
「慣れだかんね、ちょっとずつ覚えてきな。野営の心得も幾つかあるんだけど、一番は早めの準備。日が暮れてからだと暗くて何もできねぇからな、準備が終わった頃に暗くなるのが理想的だ。今日は食料調達もしなくていいから楽だぜ」
なるほど、とジェロムは寝床の用意を進める。出立前にオルドスに習った野営の話は、雨風のしのぎ方、警戒のやり方、火の維持方法などの「どうやれば」という知識で、タイミングや心得は無かった。知識を肉付けするという意味を少しだけ実感する。一方、隣で作業をしているディアナはあまり喋らないことにしていた。表向きは言葉が拙いと伝えてあるのだが、オルドス曰く、魔術を不用意に信頼のない人間の前で使うなと言われていたからだ。翻訳術は微小の魔力で発動するが、古代魔語で話すわけにもいかない。言葉を覚える意味で自分用に常に起動しているだけで、うっかり話さないようにしていたというわけだ。
「今日は水がいくらでも使えるからな、鍋にしようぜ。道中、あと1回は川の側で野営できるけど、残りは水場が近くにないんだ。水の有り難みを十分に味わっておくといい」
「クロエさん、鍋ならこの干節を使ってください」
「お、いいね。出汁の出るもんがあるんだな。これに途中で採ったキノコを入れようか」
「あと芋もあります」
「えらい豪勢だな? 後で足りないとか言わないでくれよ」
「二人とも、料理すんの手伝え」
「はーい」
出汁の食欲をそそる匂いが皆を駆り立てたおかげで夕食はスムーズに完成した。
「こいつは美味ぇ! ガルツの干節はやっぱりいいな」
「はは、ありがとうございます。今回の商品に入れてありますから、良ければ買ってください」
「商売上手だねぇ。でもこれならあたしも欲しいな」
外は水が凍るほどの冷え込みだったので、鍋はよく身体を温めてくれた。その心地よさに疲れが出たのか、ジェロムは急に眠気を覚えた。思わず欠伸をした顔をクロエは見逃さなかった。
「お、疲れたんだな? そこの二人は早く寝るといい。今日は旅慣れたヤツのペースで進んだからよくついて来たよ。明日も同じペースだから先に身体を休めときな。予定より早く北の都に着けば長めに休めるからな」
「おう、今日はオレたち三人で番をしとくからよ。気にせず寝ちまいな」
「僕も馬車に乗りっぱなしでしたから大丈夫ですよ。ゆっくり休んでください」
「・・・わかった、ありがとう」
「ミンナ、ありがとネ」
「ははは、よしよし正直だね。いいぞ」
皆が揃って勧めるものだから二人は素直に従うことにした。もっとも、こう何度もクロエに素直と言われると、かえって子供扱いされているように思えてしまう。最初に強がってしまったことを少し後悔するジェロムだった。
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