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終章 攻略! 虹色の魔王
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TDGをプレイしたことがあるだろうか。
自分の陣地を防衛するゲームで押し寄せる外敵を排することが目的だ。
ほぼエンドレスで敵が来るので防衛設備や対策をどんどん追加して守っていく。
工夫して強敵を排除することに面白みを覚えるゲームだ。
俺はこう考えた。
現状の未来予測の権能の立場はTDGだと。
俺という異分子によってお得意の予測は散々にかき回された。
先手が取れなければ後手に回るしかない。
確実なのは手元にある戦力だけとなる。
俺たちが迫って来ることはわかっているのだから効率的に迎撃する必要があるわけだ。
でも効率的に防衛できる個所は多くない。
範囲が広すぎると戦力が分散しすぎるからだ。
だから未来予測の権能は俺たちが必ず通る海峡に戦力を配置した。
きっと近隣の国の軍も派遣したのだろう。
だが人間の軍に関しては俺の探究者というちょっかいで無効化された。
結果、魔物のみの防衛となり、対魔物で過剰戦力を誇る俺たちの突破を許すことになった。
そして最終段階の基地への侵入で岩石竜を多数配置したのだろう。
1体1体でもジャンヌやソフィア嬢たちが苦労したという相手だ。
100を超える数で一斉に攻撃すれば分があると踏んだと思われる。
ところがこれも俺の入れ知恵で弱点を把握され無力化されてしまった。
ならば最後の防衛手段は施設内で迎え撃つことになるわけだ。
恐らく未来予測の権能の主戦力は魔物だ。
それも母体の力を使って無尽蔵に製造できる。
だが岩石竜をはじめとしたこれまでの魔物は主人公連中には無力に近い。
それ以外の魔物があまり出てこないところを見ると、おそらく製造のための型が決まっている。
何かしらのプログラムによって魔物を製造しているとみるほうが自然だ。
もしほかに有効なものを創造できないとしたら未来予測の権能は詰みだ。
俺が相手の立場ならばどうするだろうか?
少なくとも敵対者を目的のために排除したいはずだ。
侵攻を止めるだけでなく潰したい。
侵攻を止めるだけなら行かせなければ良い。
壁を配置して通れなくしたり、通過不可能な空間を作ったり。
あるいはそれ以上、中に入れないように障害を設置する。
そして潰すならばもっと簡単だ。
わざわざ強い相手に攻撃して殺す必要もない。
相手が生存できない状況を作り出してしまえばいい。
人間の殺害手段など星の数ほどもある。
空気を抜いて窒息させるでも、水に溺れさせるでも良い。
そこまで考えたところでヒヤリとした。
相手はどうして俺たちを即、殺しに来ないのだろうかと。
だってこんな施設みたいなところで相手を出迎えるのって、どう考えても防御側が有利だ。
それこそ毒ガスなどの罠で即死させる方法はいくらでもあるのだから。
わざわざこうして招き入れている時点で怪しいのだ。
何を企んでいるのか。
それが見えず、ただただ廊下の先に恐ろしい幻視を繰り返してしまいそうになった。
◇
電灯がなくとも薄暗くぼんやりと光る廊下。
アトランティスもこんな感じだった。
そうだよな、未来予測の権能は古代人の科学の結晶だ。
アトランティスに使われていた技術はこいつも持っているはずだ。
俺たちを殺す手段なんて何でもアリだろう。
俺の知らないレーザー兵器とか、局所的な核兵器とか、重力兵器とか。
或いは魔力を使って魔法での妨害だって有り得る。
そんな余計な想像で身震いしてしまう。
「ううっ・・・」
「大丈夫ですか? 顔色が悪いです」
「ありがと、平気だよ。ちょっと冷えただけ」
皆を不安にさせないよう余計なことは言わない。
でも考えないと駄目だ。
ただ進むだけでは危ないと感じる。
実際、罠らしい罠はほとんどなかった。
たまに見通しの良い吹き抜けみたいなものがあって落ちそうになるくらい。
普通に危ない通路というだけだった。
罠がないから、やばい罠が待ち構えている。
俺はその妄想がやたらと捗ってしまっていた。
「・・・そう考えるとアトランティスはどうして温かったんだろう」
「温い、とはどういう意味ですか?」
脈絡のない俺の独り言をさくらが拾った。
ぼそりと言ったつもりだったんだけど、よく聞いてたな。
「いやさ、アトランティスにあった罠は中世くらいの罠が多かったって話」
「落とし穴に槍が仕込んであったり、矢が飛び出たりするものですよね?」
「うん、よく考えれば本気で殺そうとしてないよね? あれは試すための罠だったんじゃないかと思うんだ」
答えはアトランティスを設置した守護者陣営の代弁者、アイギスだけが知っている。
そのへんは次の機会に聞くとして、あれは侵入者を生かすための罠だ。
現地では殺意が高いようにも思えたが、侵入者に好意的な実力を試す程度のものだと思う。
「だってさ、科学の発達した連中が作る施設だぜ? 侵入者対策だってもっと未来的だろ」
「え? 科学の発達した? アトランティスは過去の時代のものではないのですか?」
「うん。ほら見てよ、この壁なんて金属なのか陶器なのかわかんねえじゃん。継ぎ目もねえしさ」
「・・・ほんとうです、これは何で出来ているのでしょうね」
壁をまじまじと観察してさくらも納得してくれた。
「この壁、どこかで見たことがあるのですが・・・」と呟いている。
「技術的なことよりも相手の意図なんだ。どうして俺たちを招き入れてるのかな」
「素直に考えれば奥に来てくれたほうが都合がよいのでは?」
「ああ、なるほど。俺たちが立ち入ったほうが都合が良い・・・」
やっぱり俺たちを何かで利用するのは明白だ。
破壊される危険を冒してまでして俺たちを利用したい・・・。
俺が仮に利用するとしたらどうする?
するとしても素直に利用させてくれるわけがない。
抵抗されるかもしれないから、抵抗できないようにしたいだろう。
俺たちの戦力を削るなら・・・例えば具現化を封じるとか。
強い奴から俺や小鳥遊さんを切り離すという方法もあるな。
でもこれだけ警戒しているのだからその線は薄いと思う。
・・・何だろうか。
こう、むずむずと嫌な予感ばかりがするのだが判然としない。
「せ、先輩」
「どうした、小鳥遊さん」
「え、えと。手を繋いでいても良いですか?」
「ああ、うん。怖いよな。離れないようにして」
おずおずと俺の手を握る小鳥遊さん。
祝福は皆にかけている。でもあまりに強い感情は克服できない。
アトランティスは頑張れたけど、船で見せたように恐怖心が消えたわけじゃない。
こう緊張が続く状況だとやはり怖くなってしまうのだろう。
彼女は俺の手の感触を確かめるように両手で手を持った。
強張っていた顔が少し緩んだようだった。
「・・・あ、あの! 武さん、わたしも手を繋いでも良いですか」
「ん? ああ。 ・・・?」
それを見たさくらが俺の顔を覗くようにして尋ねてきた。
ついOKと返事をしてしまったが・・・。
「・・・ふふ」
手を繋ぐと言いながら腕に抱きつくように両手を絡めてくるさくら。
ぎゅっと押し当てられた胸の感触に意識が持っていかれる。
中学の頃と比べてすっかり立派になっちゃって。
・・・ってそうじゃなくて!
「そ、その・・・九条先輩、くっつきすぎでは?」
「わたしも怖いのですよ」
「わ、私もとても怖いです!」
「・・・!」
あの・・・さすがにこれは。
小鳥遊さんまで腕にしがみつくようにして押し付けてくる。
こんな場所で不謹慎というかなんというか。
敵地で両手に花。素直に喜べない。いろんな意味で。
でも小鳥遊さんが怖いのは確かだし。
彼女の手前、さくらだけ冷たくするわけにもいかない。
さくらが怖がっていないってことは誰も証明できないのだから。
ちらりと視線の合ったジャンヌが「ほどほどにしなさいよ」と半目で訴えていた。
俺はそれに苦笑いでしか応えられなかった。
変にドキドキするのは俺も怖いのだと思うことにした。
怖いんだよな、俺?
◇
それからしばらくは何事もなく進んで行く。
いくつかの十字路や丁字を小鳥遊さんの道案内で進み。
いよいよ奥深くまで来たなという気になって来た。
「・・・妙に暗くなって来たわね。皆、離れないようにして」
「いちど止まろう。全員いるか?」
まるで深海に潜り海面からの光が届かなくなっているかのようだった。
実際、今いる場所は深海なのだが。
少しずつ光が薄くなっているせいでそう感じた。
レオンの言葉に皆を確認する。
互いの姿が見え辛くなっていた。
先頭のジャンヌとレオンが振り返り皆を確認している。
俺も周囲を見るが、両隣の小鳥遊さんとさくら以外は薄っすらとしか視認できない。
なんでいきなり暗くなって来たんだ?
「道は間違ってねぇんだよな?」
「は、はい。この道で合ってます」
「これじゃお化け屋敷だよね~」
「はは、目の前に穴が空いてたら真っ逆さまだな。驚いて落ちねえように気を付けろよ」
リアム君の軽口に乗っかる俺。
呆れ顔になったジャンヌが釘を差してくる。
「馬鹿言ってないで。やたら壁を触ったりしないよう気をっっっ!!!」
「おわ!?」
「きゃあ!!」
こういうのをフラグというのだろう。
回収が早すぎる気もするが。
がこんという音が聞こえると同時に全員が宙に浮いていた。
俺たちがいる場所の床全体がぱかりと開いたのだ。
「あああ、あんたのせいよ、狙って言ったわね!!」
「ぎゃああぁぁ!! んなわけあるかあぁぁぁ!! 気をつけろって言ったろおおぃぃぃ!!」」
自由落下が加速する前に呑気に責任の所在を擦り付け合う俺とジャンヌ。
何も見えないので何がどうなるかの予測もつかない。
ジェットコースター顔負けの恐怖感だった。
「ひゃあぁぁぁぁせんぱいぃぃぃぃ!!」
「たたた、武さぁん・・・!!」
小鳥遊さんはともかくさくらも俺にしがみついている。
おい! これじゃ両腕が塞がってるじゃねえかよ!
受け身どころじゃねえって!!
「あはは、うわぁ~~~真っ暗だね~――」
「おい!! 着地でしっかり受け身を取――――!!!」
リアム君の楽しそうな声も、冷静なレオンの声も遠ざかっていく。
やばい、これ分断されてる!?
すぐに底があるのかと思ったが数秒で到達することもなく。
途中から壁に身体が押し付けられた。
ウォータースライダーような円筒形の空間を滑るように落ちていた。
「うおおおぉぉぉぉ!!!」
「せんぱいぃぃぃぃ、せんぱぃぃぃぃぃ!!」
「あはははは! 一緒、一緒ですよぉぉぉ!!」
風切り音でレオンたちの声も聞こえぬまま、両隣の悲鳴だけが耳に届く。
どうしてさくらは嬉しそうなの!?
ディスティニーランドのアトラクションじゃねえっての!!
このまま落ちたら勢いあり過ぎて絶対に怪我すんだろ!
全員でどうにかなるくらいなら、と俺はふたりの背中に何とか腕を回して抱え込んだ。
せめて少しでもショックから守れるように・・・!!
「おおおおぉぉぉ! 終わりだぁ! 掴まれぇ!!」
長いスライダーの角度が少しずつ緩くなり、遠い出口の明かりが見えて来る。
どうにか受け身が取れる方法、と考えて身体強化を思いついた。
だが慌てていると魔力操作がうまくいかない。
あと10秒もない、と察したところで慌てる頭が引っ張って来た呪文。
努力は嘘をつかない!
いちど息を吐き出して。
すう、くら、とん。
飽きるほど繰り返した呼吸法を用いて魔力錬成を完成させる。
そして身体全身の硬化を完成させたのと接地するのは同時だった。
「ひゃっっ!!」
「あはっっ!!」
小鳥遊さんとさくらの短い悲鳴が、背中に衝撃を感じた俺の上から聞こえた。
スライダーから飛び出した俺の身体は10メートルくらいを滑走して何とか止まった。
良かった、何とか着地できた・・・。
「ふたりとも怪我はねえか?」
身体強化はうまくいって痛みはない。
どっかぶつけたりしてないかを確認する。
「はっ、はっ、は、はい。何とか、平気、です・・・」
がたがたと震えながら返事をする小鳥遊さん。
そりゃ真っ暗な空間を自由落下さながらにスライダーさせられれば怖い。
恐怖でいろいろ出さなかっただけ偉いと思う。
こんな命綱もない落下、絶叫マシンどころじゃねえって。
「ああ、もう終わりですか・・・」
「・・・・・・」
と思ったら楽しんでた人がいた。
そいやさくらは絶叫マシン平気だったね。
残念そうな声を出すんじゃねぇ、と心で突っ込む。
俺は吃驚しすぎて腰から力が抜けちまったってのに!
つか、腰が抜けるなんて初めてだよ!!
「はっ、はっ、はっ・・・ご、ごめんなさい、もう少しだけ・・・」
呼吸の浅い小鳥遊さん。
まだまだ緊張が解けずうまく動けないようだった。
「ああ、しばらくこのままで良いぞ。落ち着くまで」
「「ありがとうございます」」
「・・・・・・」
いや、小鳥遊さんは震えてるからわかるんだけどさ。
さくらさん、あなた平気だよね?
ここぞとばかりに俺の胸にぐりぐりと押し付けるように顔を埋めてるよね?
でもやっぱりさくらだけ指摘することもできず放置。
そして俺自身、恐怖からの解放で動機が激しいまま。
女の子の手前、悲鳴やらを出さないよう頑張ってるだけ。
とにかく落ち着け俺!
女の子ふたりと密着するという役得を楽しむ余裕もない。
あの観覧車のときよりも危ないと頭で警鐘が鳴り響いているというのに。
だが不幸中の幸いか。
直ぐに敵が来るということもなかった。
俺自身の動悸が収まって身体に力が入るようになってくる。
小鳥遊さんも少し落ち着いて来たようだった。
「・・・ふたりとも、そろそろ良いか?」
「は、はい。すみません、まだちょっと・・・」
「もう少し、もう少しだけ・・・」
「いや(さくらは)もう大丈夫だろ」
「「え・・・!?」」
「あ、ごめん。そういう意味じゃなくて」
ついさくらに突っ込んでしまった俺。
俺の突き放すような発言に吃驚して泣きそうな顔をする小鳥遊さん。
違う、君に言ったんじゃない!
慌てて訂正する俺。
くそ、ふたりが半身を乗っけてる状態でちょっと重いけど仕方ねぇ。
「・・・もう少し落ち着くまでこうしてて良いから」
「「はい・・・!」」
嬉しそうな返事がふたつ。
俺は何も来ないことを祈りながらふたりが落ち着くのをもうしばらく待つことになった。
敵地でいちゃいちゃしたいわけじゃねぇんだけど・・・。
◇
何とか落ち着いて3人で状況を確認した。
落ちて来た先は四角い無機質な部屋。
継ぎ目のないのっぺりした壁にどうやって出るのかもわからない。
これでガスだとか物理的な責めをされたら一巻の終わりだ。
でも滑って来た穴以外の出入口もなく、敵がやってくる気配もない。
「どうしましょう、先輩。レオンさんたちを探しますか?」
「・・・それしかねぇな。今、敵が来たら危ねえだろ」
「わたし、少し不安です」
さくらが怖がっている?
さっきまで平気そうだったのに。
言われて状況を鑑みると俺もぞくりとして不安になる。
・・・あれ? どうしてこんなに怖いんだ?
祝福が効いていたはずなのに。
そう思って意識してみると祝福が切れていた。
あれ、時間が経ち過ぎたのか?
そう思って再度、祝福を発動するもうまく魔力が流れない。
「おかしい。具現化できねぇ。さくら、白魔弓は出せるか?」
「――白魔弓! ・・・え?」
さくらの周囲に集まった水色の魔力。
輝きを増して青白い弓となるはずのそれは、形作られることなく霧散していった。
「くそ、具現化できない何かが効いてるってことか」
「先輩・・・」
「武さん・・・」
ふたりがまた俺の手にしがみついてくる。
いや、これ。俺も怖い。マジで。
具現化なけりゃ、新人類と言えどもただの人だぞ。
これで会敵したらどうすんだよ。
「お、おお! 大丈夫だからな!」
敵に襲われることを想像するほどぞくぞくする。
でも俺が不安を増長させるわけにいかず、何とか気張った。
どうすれば良い?
考えを巡らせようとしたところで。
向かい合った正面の壁ががこん、と開いた。
「ひゃっ!?」
「きゃっ!」
「っっっ!!」
何とか悲鳴をあげなかった俺、偉い!
腕に掴まっていたふたりの力が痛いくらいに強くなる。
その痛みによって、ふたりを守らねばという使命感が強くなる。
おい、どうする!?
何か来る!?
現れたのはどこかへ続く通路。
その向こう側から、こつこつと足音が響いて来た。
分断された挙句、具現化なしで敵!
無力な俺たちがどうにかして切り抜けるための手札は!?
ふたりだけでも守る方法は!?
俺は自分の頭の中を必死に検索していた。
自分の陣地を防衛するゲームで押し寄せる外敵を排することが目的だ。
ほぼエンドレスで敵が来るので防衛設備や対策をどんどん追加して守っていく。
工夫して強敵を排除することに面白みを覚えるゲームだ。
俺はこう考えた。
現状の未来予測の権能の立場はTDGだと。
俺という異分子によってお得意の予測は散々にかき回された。
先手が取れなければ後手に回るしかない。
確実なのは手元にある戦力だけとなる。
俺たちが迫って来ることはわかっているのだから効率的に迎撃する必要があるわけだ。
でも効率的に防衛できる個所は多くない。
範囲が広すぎると戦力が分散しすぎるからだ。
だから未来予測の権能は俺たちが必ず通る海峡に戦力を配置した。
きっと近隣の国の軍も派遣したのだろう。
だが人間の軍に関しては俺の探究者というちょっかいで無効化された。
結果、魔物のみの防衛となり、対魔物で過剰戦力を誇る俺たちの突破を許すことになった。
そして最終段階の基地への侵入で岩石竜を多数配置したのだろう。
1体1体でもジャンヌやソフィア嬢たちが苦労したという相手だ。
100を超える数で一斉に攻撃すれば分があると踏んだと思われる。
ところがこれも俺の入れ知恵で弱点を把握され無力化されてしまった。
ならば最後の防衛手段は施設内で迎え撃つことになるわけだ。
恐らく未来予測の権能の主戦力は魔物だ。
それも母体の力を使って無尽蔵に製造できる。
だが岩石竜をはじめとしたこれまでの魔物は主人公連中には無力に近い。
それ以外の魔物があまり出てこないところを見ると、おそらく製造のための型が決まっている。
何かしらのプログラムによって魔物を製造しているとみるほうが自然だ。
もしほかに有効なものを創造できないとしたら未来予測の権能は詰みだ。
俺が相手の立場ならばどうするだろうか?
少なくとも敵対者を目的のために排除したいはずだ。
侵攻を止めるだけでなく潰したい。
侵攻を止めるだけなら行かせなければ良い。
壁を配置して通れなくしたり、通過不可能な空間を作ったり。
あるいはそれ以上、中に入れないように障害を設置する。
そして潰すならばもっと簡単だ。
わざわざ強い相手に攻撃して殺す必要もない。
相手が生存できない状況を作り出してしまえばいい。
人間の殺害手段など星の数ほどもある。
空気を抜いて窒息させるでも、水に溺れさせるでも良い。
そこまで考えたところでヒヤリとした。
相手はどうして俺たちを即、殺しに来ないのだろうかと。
だってこんな施設みたいなところで相手を出迎えるのって、どう考えても防御側が有利だ。
それこそ毒ガスなどの罠で即死させる方法はいくらでもあるのだから。
わざわざこうして招き入れている時点で怪しいのだ。
何を企んでいるのか。
それが見えず、ただただ廊下の先に恐ろしい幻視を繰り返してしまいそうになった。
◇
電灯がなくとも薄暗くぼんやりと光る廊下。
アトランティスもこんな感じだった。
そうだよな、未来予測の権能は古代人の科学の結晶だ。
アトランティスに使われていた技術はこいつも持っているはずだ。
俺たちを殺す手段なんて何でもアリだろう。
俺の知らないレーザー兵器とか、局所的な核兵器とか、重力兵器とか。
或いは魔力を使って魔法での妨害だって有り得る。
そんな余計な想像で身震いしてしまう。
「ううっ・・・」
「大丈夫ですか? 顔色が悪いです」
「ありがと、平気だよ。ちょっと冷えただけ」
皆を不安にさせないよう余計なことは言わない。
でも考えないと駄目だ。
ただ進むだけでは危ないと感じる。
実際、罠らしい罠はほとんどなかった。
たまに見通しの良い吹き抜けみたいなものがあって落ちそうになるくらい。
普通に危ない通路というだけだった。
罠がないから、やばい罠が待ち構えている。
俺はその妄想がやたらと捗ってしまっていた。
「・・・そう考えるとアトランティスはどうして温かったんだろう」
「温い、とはどういう意味ですか?」
脈絡のない俺の独り言をさくらが拾った。
ぼそりと言ったつもりだったんだけど、よく聞いてたな。
「いやさ、アトランティスにあった罠は中世くらいの罠が多かったって話」
「落とし穴に槍が仕込んであったり、矢が飛び出たりするものですよね?」
「うん、よく考えれば本気で殺そうとしてないよね? あれは試すための罠だったんじゃないかと思うんだ」
答えはアトランティスを設置した守護者陣営の代弁者、アイギスだけが知っている。
そのへんは次の機会に聞くとして、あれは侵入者を生かすための罠だ。
現地では殺意が高いようにも思えたが、侵入者に好意的な実力を試す程度のものだと思う。
「だってさ、科学の発達した連中が作る施設だぜ? 侵入者対策だってもっと未来的だろ」
「え? 科学の発達した? アトランティスは過去の時代のものではないのですか?」
「うん。ほら見てよ、この壁なんて金属なのか陶器なのかわかんねえじゃん。継ぎ目もねえしさ」
「・・・ほんとうです、これは何で出来ているのでしょうね」
壁をまじまじと観察してさくらも納得してくれた。
「この壁、どこかで見たことがあるのですが・・・」と呟いている。
「技術的なことよりも相手の意図なんだ。どうして俺たちを招き入れてるのかな」
「素直に考えれば奥に来てくれたほうが都合がよいのでは?」
「ああ、なるほど。俺たちが立ち入ったほうが都合が良い・・・」
やっぱり俺たちを何かで利用するのは明白だ。
破壊される危険を冒してまでして俺たちを利用したい・・・。
俺が仮に利用するとしたらどうする?
するとしても素直に利用させてくれるわけがない。
抵抗されるかもしれないから、抵抗できないようにしたいだろう。
俺たちの戦力を削るなら・・・例えば具現化を封じるとか。
強い奴から俺や小鳥遊さんを切り離すという方法もあるな。
でもこれだけ警戒しているのだからその線は薄いと思う。
・・・何だろうか。
こう、むずむずと嫌な予感ばかりがするのだが判然としない。
「せ、先輩」
「どうした、小鳥遊さん」
「え、えと。手を繋いでいても良いですか?」
「ああ、うん。怖いよな。離れないようにして」
おずおずと俺の手を握る小鳥遊さん。
祝福は皆にかけている。でもあまりに強い感情は克服できない。
アトランティスは頑張れたけど、船で見せたように恐怖心が消えたわけじゃない。
こう緊張が続く状況だとやはり怖くなってしまうのだろう。
彼女は俺の手の感触を確かめるように両手で手を持った。
強張っていた顔が少し緩んだようだった。
「・・・あ、あの! 武さん、わたしも手を繋いでも良いですか」
「ん? ああ。 ・・・?」
それを見たさくらが俺の顔を覗くようにして尋ねてきた。
ついOKと返事をしてしまったが・・・。
「・・・ふふ」
手を繋ぐと言いながら腕に抱きつくように両手を絡めてくるさくら。
ぎゅっと押し当てられた胸の感触に意識が持っていかれる。
中学の頃と比べてすっかり立派になっちゃって。
・・・ってそうじゃなくて!
「そ、その・・・九条先輩、くっつきすぎでは?」
「わたしも怖いのですよ」
「わ、私もとても怖いです!」
「・・・!」
あの・・・さすがにこれは。
小鳥遊さんまで腕にしがみつくようにして押し付けてくる。
こんな場所で不謹慎というかなんというか。
敵地で両手に花。素直に喜べない。いろんな意味で。
でも小鳥遊さんが怖いのは確かだし。
彼女の手前、さくらだけ冷たくするわけにもいかない。
さくらが怖がっていないってことは誰も証明できないのだから。
ちらりと視線の合ったジャンヌが「ほどほどにしなさいよ」と半目で訴えていた。
俺はそれに苦笑いでしか応えられなかった。
変にドキドキするのは俺も怖いのだと思うことにした。
怖いんだよな、俺?
◇
それからしばらくは何事もなく進んで行く。
いくつかの十字路や丁字を小鳥遊さんの道案内で進み。
いよいよ奥深くまで来たなという気になって来た。
「・・・妙に暗くなって来たわね。皆、離れないようにして」
「いちど止まろう。全員いるか?」
まるで深海に潜り海面からの光が届かなくなっているかのようだった。
実際、今いる場所は深海なのだが。
少しずつ光が薄くなっているせいでそう感じた。
レオンの言葉に皆を確認する。
互いの姿が見え辛くなっていた。
先頭のジャンヌとレオンが振り返り皆を確認している。
俺も周囲を見るが、両隣の小鳥遊さんとさくら以外は薄っすらとしか視認できない。
なんでいきなり暗くなって来たんだ?
「道は間違ってねぇんだよな?」
「は、はい。この道で合ってます」
「これじゃお化け屋敷だよね~」
「はは、目の前に穴が空いてたら真っ逆さまだな。驚いて落ちねえように気を付けろよ」
リアム君の軽口に乗っかる俺。
呆れ顔になったジャンヌが釘を差してくる。
「馬鹿言ってないで。やたら壁を触ったりしないよう気をっっっ!!!」
「おわ!?」
「きゃあ!!」
こういうのをフラグというのだろう。
回収が早すぎる気もするが。
がこんという音が聞こえると同時に全員が宙に浮いていた。
俺たちがいる場所の床全体がぱかりと開いたのだ。
「あああ、あんたのせいよ、狙って言ったわね!!」
「ぎゃああぁぁ!! んなわけあるかあぁぁぁ!! 気をつけろって言ったろおおぃぃぃ!!」」
自由落下が加速する前に呑気に責任の所在を擦り付け合う俺とジャンヌ。
何も見えないので何がどうなるかの予測もつかない。
ジェットコースター顔負けの恐怖感だった。
「ひゃあぁぁぁぁせんぱいぃぃぃぃ!!」
「たたた、武さぁん・・・!!」
小鳥遊さんはともかくさくらも俺にしがみついている。
おい! これじゃ両腕が塞がってるじゃねえかよ!
受け身どころじゃねえって!!
「あはは、うわぁ~~~真っ暗だね~――」
「おい!! 着地でしっかり受け身を取――――!!!」
リアム君の楽しそうな声も、冷静なレオンの声も遠ざかっていく。
やばい、これ分断されてる!?
すぐに底があるのかと思ったが数秒で到達することもなく。
途中から壁に身体が押し付けられた。
ウォータースライダーような円筒形の空間を滑るように落ちていた。
「うおおおぉぉぉぉ!!!」
「せんぱいぃぃぃぃ、せんぱぃぃぃぃぃ!!」
「あはははは! 一緒、一緒ですよぉぉぉ!!」
風切り音でレオンたちの声も聞こえぬまま、両隣の悲鳴だけが耳に届く。
どうしてさくらは嬉しそうなの!?
ディスティニーランドのアトラクションじゃねえっての!!
このまま落ちたら勢いあり過ぎて絶対に怪我すんだろ!
全員でどうにかなるくらいなら、と俺はふたりの背中に何とか腕を回して抱え込んだ。
せめて少しでもショックから守れるように・・・!!
「おおおおぉぉぉ! 終わりだぁ! 掴まれぇ!!」
長いスライダーの角度が少しずつ緩くなり、遠い出口の明かりが見えて来る。
どうにか受け身が取れる方法、と考えて身体強化を思いついた。
だが慌てていると魔力操作がうまくいかない。
あと10秒もない、と察したところで慌てる頭が引っ張って来た呪文。
努力は嘘をつかない!
いちど息を吐き出して。
すう、くら、とん。
飽きるほど繰り返した呼吸法を用いて魔力錬成を完成させる。
そして身体全身の硬化を完成させたのと接地するのは同時だった。
「ひゃっっ!!」
「あはっっ!!」
小鳥遊さんとさくらの短い悲鳴が、背中に衝撃を感じた俺の上から聞こえた。
スライダーから飛び出した俺の身体は10メートルくらいを滑走して何とか止まった。
良かった、何とか着地できた・・・。
「ふたりとも怪我はねえか?」
身体強化はうまくいって痛みはない。
どっかぶつけたりしてないかを確認する。
「はっ、はっ、は、はい。何とか、平気、です・・・」
がたがたと震えながら返事をする小鳥遊さん。
そりゃ真っ暗な空間を自由落下さながらにスライダーさせられれば怖い。
恐怖でいろいろ出さなかっただけ偉いと思う。
こんな命綱もない落下、絶叫マシンどころじゃねえって。
「ああ、もう終わりですか・・・」
「・・・・・・」
と思ったら楽しんでた人がいた。
そいやさくらは絶叫マシン平気だったね。
残念そうな声を出すんじゃねぇ、と心で突っ込む。
俺は吃驚しすぎて腰から力が抜けちまったってのに!
つか、腰が抜けるなんて初めてだよ!!
「はっ、はっ、はっ・・・ご、ごめんなさい、もう少しだけ・・・」
呼吸の浅い小鳥遊さん。
まだまだ緊張が解けずうまく動けないようだった。
「ああ、しばらくこのままで良いぞ。落ち着くまで」
「「ありがとうございます」」
「・・・・・・」
いや、小鳥遊さんは震えてるからわかるんだけどさ。
さくらさん、あなた平気だよね?
ここぞとばかりに俺の胸にぐりぐりと押し付けるように顔を埋めてるよね?
でもやっぱりさくらだけ指摘することもできず放置。
そして俺自身、恐怖からの解放で動機が激しいまま。
女の子の手前、悲鳴やらを出さないよう頑張ってるだけ。
とにかく落ち着け俺!
女の子ふたりと密着するという役得を楽しむ余裕もない。
あの観覧車のときよりも危ないと頭で警鐘が鳴り響いているというのに。
だが不幸中の幸いか。
直ぐに敵が来るということもなかった。
俺自身の動悸が収まって身体に力が入るようになってくる。
小鳥遊さんも少し落ち着いて来たようだった。
「・・・ふたりとも、そろそろ良いか?」
「は、はい。すみません、まだちょっと・・・」
「もう少し、もう少しだけ・・・」
「いや(さくらは)もう大丈夫だろ」
「「え・・・!?」」
「あ、ごめん。そういう意味じゃなくて」
ついさくらに突っ込んでしまった俺。
俺の突き放すような発言に吃驚して泣きそうな顔をする小鳥遊さん。
違う、君に言ったんじゃない!
慌てて訂正する俺。
くそ、ふたりが半身を乗っけてる状態でちょっと重いけど仕方ねぇ。
「・・・もう少し落ち着くまでこうしてて良いから」
「「はい・・・!」」
嬉しそうな返事がふたつ。
俺は何も来ないことを祈りながらふたりが落ち着くのをもうしばらく待つことになった。
敵地でいちゃいちゃしたいわけじゃねぇんだけど・・・。
◇
何とか落ち着いて3人で状況を確認した。
落ちて来た先は四角い無機質な部屋。
継ぎ目のないのっぺりした壁にどうやって出るのかもわからない。
これでガスだとか物理的な責めをされたら一巻の終わりだ。
でも滑って来た穴以外の出入口もなく、敵がやってくる気配もない。
「どうしましょう、先輩。レオンさんたちを探しますか?」
「・・・それしかねぇな。今、敵が来たら危ねえだろ」
「わたし、少し不安です」
さくらが怖がっている?
さっきまで平気そうだったのに。
言われて状況を鑑みると俺もぞくりとして不安になる。
・・・あれ? どうしてこんなに怖いんだ?
祝福が効いていたはずなのに。
そう思って意識してみると祝福が切れていた。
あれ、時間が経ち過ぎたのか?
そう思って再度、祝福を発動するもうまく魔力が流れない。
「おかしい。具現化できねぇ。さくら、白魔弓は出せるか?」
「――白魔弓! ・・・え?」
さくらの周囲に集まった水色の魔力。
輝きを増して青白い弓となるはずのそれは、形作られることなく霧散していった。
「くそ、具現化できない何かが効いてるってことか」
「先輩・・・」
「武さん・・・」
ふたりがまた俺の手にしがみついてくる。
いや、これ。俺も怖い。マジで。
具現化なけりゃ、新人類と言えどもただの人だぞ。
これで会敵したらどうすんだよ。
「お、おお! 大丈夫だからな!」
敵に襲われることを想像するほどぞくぞくする。
でも俺が不安を増長させるわけにいかず、何とか気張った。
どうすれば良い?
考えを巡らせようとしたところで。
向かい合った正面の壁ががこん、と開いた。
「ひゃっ!?」
「きゃっ!」
「っっっ!!」
何とか悲鳴をあげなかった俺、偉い!
腕に掴まっていたふたりの力が痛いくらいに強くなる。
その痛みによって、ふたりを守らねばという使命感が強くなる。
おい、どうする!?
何か来る!?
現れたのはどこかへ続く通路。
その向こう側から、こつこつと足音が響いて来た。
分断された挙句、具現化なしで敵!
無力な俺たちがどうにかして切り抜けるための手札は!?
ふたりだけでも守る方法は!?
俺は自分の頭の中を必死に検索していた。
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