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本編
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薄く光が顔に当たり、俺は目を覚ました。
目を開けて目の前にあったのは、整った少女の顔。
びっくりして飛び起きたが、ケツの……特に穴の痛さに顔を顰めた。
(そうか、昨日は俺から……)
俺を抱け、と彼女を胸の中に招き入れてから、αのフェロモンに酔って、それから……
(うわぁぁぁあああ!俺、かなり恥ずかしい格好とかセリフとか、いやだぁぁああ!!)
昨夜の痴態を思い出し、再びぼふん、と布団に倒れ込んだ。
項を触ると、少しピリッと痛みが走った。つがいの契約は済んだようだ。
心を落ち着かせようと、大きくため息をし、隣で眠る少女を見つめた。
(こいつが、俺のつがいか……)
頬にかかった髪を指で寄せると、絹のような触り心地だった。
(女子ってみんなこんなに柔らかいのか?それともつがいだから補正かかってんのか?)
ぷにぷにと頬をつついていると、彼女は眉間にシワをよせて、薄く目を開けた。
「おはよ」
声を掛けるとふにゃりと笑い、俺に濃厚なキスを仕掛けてきた。
「む、チュ、……ちょ、んぐっ……」
(朝から変な気分になるからやめろ!)
バリッと引き剥がすと、今度は俺の胸に顔を押し付けてきた。
「悠くん、おはようございます……愛してます、私のつがい……私の唯一……」
いつの間にか背中に回された腕でぎゅーっと締め付けられる。
「……俺も、あ、愛してる……」
そう言った瞬間、締め付けが更に強くなった。
「ぐえっ!……く、苦しい!離せ!」
ふっと緩み、また唇を重ねられた。
「嬉しいです、言葉にしてくださって」
ふふふ、と幸せそうに笑う彼女を見て、俺も心が満たされた。
「つがいとして……あと、恋人として、よろしくな」
「はいっ!よろしくお願いします」
それから10分ほど2人で布団の中で抱きしめ合ったりキスをしたりしていたが、止まらなくなる前にやめておこう、と布団を畳んだ。
温泉で汗を流したが、いつの間に清めてくれていたのか、身体はベタベタしていなかった。
着替えて朝食会場へ向かうと、「おめでとうございます」と昨日デザートを持ってきてくれた仲居さんにフルーツを頂いた。
声が聞こえていたのか?と恥ずかしくなったが、「Ω特有の匂いがしなくなっているので……違いましたか?」と小声で仲居さんに言われたので、判断基準は情事中の声ではないようだ。
ーーーーーしかし、防音が完全にされているとは限らない。
次からは場所と声の大きさに気をつけよう、と心に決めた。
朝食を食べ終わった俺たちは、部屋に戻って荷物をまとめた。
チェックアウトの9時までずっとくっついてテレビを観たり、喋ったり……とまぁ、イチャイチャしていた。付き合いたてホヤホヤのつがい同士だから許してほしい。
宿を出て土産を買い、駅に着いてもまだ10時だった。
「雅、途中の駅で降りて昼飯がてら散歩しないか」
「ええ、いいですね!」
自宅の最寄り駅の3つ前の駅で降り、駅のコインロッカーに荷物を入れた。
向かったのはこの地域で最大級の繁華街。その中の大きなショッピングモールに足を踏み入れ、パスタ専門店に入った。
雅は、旅館のテレビで知ったイ〇スタを早速実践しようと、料理の写真を撮った。もちろん、撮影の許可は取った(俺が)。
「悠くん!どうでしょう、これが“ばえ”というものですね!?」
撮った写真を見せられたが、ただ真上からアップで撮っただけのものだった。
「……お前、本当に写真部か?貸してみろ」
あいにくスマホに写真アプリは入れていないので、雅のスマホを奪い取った。
皿を窓側に寄せて採光し、斜め45度からシャッターを切った。
「ちょっとはましだろ」
「え、すごい……悠くん、実は写真部も兼部していますか?」
「してねーよ。センスだ、センス」
「なっ……私にセンスがないって言うのですか!」
「まだな。俺はずっと絵で食ってるんだから当たり前のことだ。お前も、たくさん撮ってたら慣れるさ」
雅は頬をぷくっとさせた。
怒ってるつもりなのかもしれないが、可愛いだけだ。
冷めるぞ、と俺がミネストローネを食べ始めたので、雅も大人しくスマホをしまってカルボナーラを食べ始めた。
目を開けて目の前にあったのは、整った少女の顔。
びっくりして飛び起きたが、ケツの……特に穴の痛さに顔を顰めた。
(そうか、昨日は俺から……)
俺を抱け、と彼女を胸の中に招き入れてから、αのフェロモンに酔って、それから……
(うわぁぁぁあああ!俺、かなり恥ずかしい格好とかセリフとか、いやだぁぁああ!!)
昨夜の痴態を思い出し、再びぼふん、と布団に倒れ込んだ。
項を触ると、少しピリッと痛みが走った。つがいの契約は済んだようだ。
心を落ち着かせようと、大きくため息をし、隣で眠る少女を見つめた。
(こいつが、俺のつがいか……)
頬にかかった髪を指で寄せると、絹のような触り心地だった。
(女子ってみんなこんなに柔らかいのか?それともつがいだから補正かかってんのか?)
ぷにぷにと頬をつついていると、彼女は眉間にシワをよせて、薄く目を開けた。
「おはよ」
声を掛けるとふにゃりと笑い、俺に濃厚なキスを仕掛けてきた。
「む、チュ、……ちょ、んぐっ……」
(朝から変な気分になるからやめろ!)
バリッと引き剥がすと、今度は俺の胸に顔を押し付けてきた。
「悠くん、おはようございます……愛してます、私のつがい……私の唯一……」
いつの間にか背中に回された腕でぎゅーっと締め付けられる。
「……俺も、あ、愛してる……」
そう言った瞬間、締め付けが更に強くなった。
「ぐえっ!……く、苦しい!離せ!」
ふっと緩み、また唇を重ねられた。
「嬉しいです、言葉にしてくださって」
ふふふ、と幸せそうに笑う彼女を見て、俺も心が満たされた。
「つがいとして……あと、恋人として、よろしくな」
「はいっ!よろしくお願いします」
それから10分ほど2人で布団の中で抱きしめ合ったりキスをしたりしていたが、止まらなくなる前にやめておこう、と布団を畳んだ。
温泉で汗を流したが、いつの間に清めてくれていたのか、身体はベタベタしていなかった。
着替えて朝食会場へ向かうと、「おめでとうございます」と昨日デザートを持ってきてくれた仲居さんにフルーツを頂いた。
声が聞こえていたのか?と恥ずかしくなったが、「Ω特有の匂いがしなくなっているので……違いましたか?」と小声で仲居さんに言われたので、判断基準は情事中の声ではないようだ。
ーーーーーしかし、防音が完全にされているとは限らない。
次からは場所と声の大きさに気をつけよう、と心に決めた。
朝食を食べ終わった俺たちは、部屋に戻って荷物をまとめた。
チェックアウトの9時までずっとくっついてテレビを観たり、喋ったり……とまぁ、イチャイチャしていた。付き合いたてホヤホヤのつがい同士だから許してほしい。
宿を出て土産を買い、駅に着いてもまだ10時だった。
「雅、途中の駅で降りて昼飯がてら散歩しないか」
「ええ、いいですね!」
自宅の最寄り駅の3つ前の駅で降り、駅のコインロッカーに荷物を入れた。
向かったのはこの地域で最大級の繁華街。その中の大きなショッピングモールに足を踏み入れ、パスタ専門店に入った。
雅は、旅館のテレビで知ったイ〇スタを早速実践しようと、料理の写真を撮った。もちろん、撮影の許可は取った(俺が)。
「悠くん!どうでしょう、これが“ばえ”というものですね!?」
撮った写真を見せられたが、ただ真上からアップで撮っただけのものだった。
「……お前、本当に写真部か?貸してみろ」
あいにくスマホに写真アプリは入れていないので、雅のスマホを奪い取った。
皿を窓側に寄せて採光し、斜め45度からシャッターを切った。
「ちょっとはましだろ」
「え、すごい……悠くん、実は写真部も兼部していますか?」
「してねーよ。センスだ、センス」
「なっ……私にセンスがないって言うのですか!」
「まだな。俺はずっと絵で食ってるんだから当たり前のことだ。お前も、たくさん撮ってたら慣れるさ」
雅は頬をぷくっとさせた。
怒ってるつもりなのかもしれないが、可愛いだけだ。
冷めるぞ、と俺がミネストローネを食べ始めたので、雅も大人しくスマホをしまってカルボナーラを食べ始めた。
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