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本編
16(胸糞注意)
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※胸糞注意です※
俺の母はΩで、αに見初められて結婚し、つがいになって俺を産んだ。
ーーーしかし、αの前に“運命のつがい”が現れた。
当時5歳だった俺にはトラウマになるほど衝撃的な出来事だった。
「嫌だっ!嫌だっ!!」
そう言って泣き叫ぶ母をうつ伏せに押さえ、項を噛む父だったα。
一般的に、つがいの契約をしたαとΩでは、αからしか契約を切る事ができない。そして、Ωは契約を切られても元つがいのαしか受け付けない身体のままなのに、発情の時のフェロモンは他人にも効くようになる。
しかしαは、契約を切っても他のΩと再びつがいの契約を結ぶ事ができる。
そうして父だったαは、涙を流してうつ伏せのままで呆然としている母を置き去りにし、他のΩと濃厚な口付けを交わしながら家から出ていった。
俺はドアの隙間から一部始終を見ていて、“運命のつがい”同士の2人が部屋から出て来た時、ドアと壁の間に隠れて、2人が玄関から出ていくのを待った。
バタン、と玄関の扉が閉まった時、この家は完全に閉じられたーーーそんな気がした。
「母さん!」
とりあえずタオルを2枚手に取り、片方を水で濡らして母に駆け寄った。
首筋には、血が滲むほどの噛み跡。
拭くね、と声をかけて優しく濡れたタオルで拭き取れる汚れを取った。
「悠……怪我はなかった?」
涙を流しながら無理やり微笑もうとする母を見て、視界がぼやけた。
「母さん、守れなくって、ごめんね」
部屋は母子の泣き声で満ちた。
それから、母は全く外に出ないようになり、貯金を元手に株や投資を始めた。
利益となって返ってきた金を使ってネットショッピングで物を取り寄せれば、家から1歩も出ることなく生活する事ができた。
どうしても外に出なければいけない時は、母は発情時でなくても抑制剤を飲んでいた。
母はαに捨てられた悲しみを全く見せず、惜しみない愛情を俺に注いでくれた。
その1つが絵画だった。
資金繰りが順調で貯金が多く貯まったころ、元々絵を描くのが好きだった俺に画材を買い与えてくれた。
俺は筆を取ってすぐに夢中になった。
俺の描いた絵を写真に撮ってネットに上げると、たちまち話題となった。
有難いことに、俺の絵を買いたいと言ってくれる人が出てきた。
最初の頃はキャンバスと絵の具の代金に少し上乗せした価格で販売していたが、何故か「天才少年画家」という異名が付き、どんどん注文が殺到した。
そこで母は「ビジネスにしよう」と俺に持ちかけ、公式サイトを設立し、通販の形を取るようになった。もちろん、販売価格はプロの絵師が売るものと同格の値段に設定した。
それから数年が経ち、以前ほどのブームはないものの、一定数ファン(?)が付き、未だに絵を買ってくれている。
公立小学校、公立中学校に通いながら、絵を描き続けた。
ーーー14歳になったとき、精通を迎えた。
男子は精通、女子は初経を迎えると発情が起こったり、“運命のつがい”を見つけられたりする。
母はすぐに俺を病院に連れていき、抑制剤を処方して貰った。
毎日カバンに入れて持って行きなさい、と母に口酸っぱく言われ、発情期以外でも学校に持っていったのだが、ある日事件は起こる。
「なあ、これ抑制剤だろ?」
クラスの中心にいる男子3人から校舎裏に呼び出され、いつの間にカバンから抜き取ったのか、真ん中の男子が薬を揺らしながら聞いてきた。
「そうだけど……返して」
「嫌だね。発情してるΩを放置してたらどうなるか、実験したら面白そうじゃね?」
3人はゲラゲラと下品に笑う。
発情は月に1回だが、次はいつだったかと考えた。
まだ1週間。ストレスなどで不順になったり興奮状態になったりしなければ、今のところ大丈夫だ。
「本当に困るから、返して」
イライラしながらも、出来るだけ彼らを刺激しないように乞うた。
「そういえばさ」
口を開いたのは右の男子。
「お前の母さんって、αに捨てられたんだろ?」
その瞬間、目の前が真っ赤に染まった感覚があった。
拳をつくり、手のひらに爪の後がつくまで握りしめた。
それから3人は「引きこもり」「未亡人(違うが)」「役立たず」と散々母を罵った。
すると、何も言い返さないのが気に食わなかったのか、真ん中の男子が俺の胸倉を掴んだ。
「おい何とか言えよ雌」
カッとなって真ん中の奴を殴ると、左右の2人に殴られ、蹴られた。
ーーー口の中は血の味がする。
殴られ、蹴られ続けてもう痛覚が無くなろうとしていた時、下腹部が熱くなってきた。
ーーーーー作者よりーーーーー
次回※ですが、胸糞続きます
読まなくても話が続くように作りますので、無理な方は飛ばしてください
俺の母はΩで、αに見初められて結婚し、つがいになって俺を産んだ。
ーーーしかし、αの前に“運命のつがい”が現れた。
当時5歳だった俺にはトラウマになるほど衝撃的な出来事だった。
「嫌だっ!嫌だっ!!」
そう言って泣き叫ぶ母をうつ伏せに押さえ、項を噛む父だったα。
一般的に、つがいの契約をしたαとΩでは、αからしか契約を切る事ができない。そして、Ωは契約を切られても元つがいのαしか受け付けない身体のままなのに、発情の時のフェロモンは他人にも効くようになる。
しかしαは、契約を切っても他のΩと再びつがいの契約を結ぶ事ができる。
そうして父だったαは、涙を流してうつ伏せのままで呆然としている母を置き去りにし、他のΩと濃厚な口付けを交わしながら家から出ていった。
俺はドアの隙間から一部始終を見ていて、“運命のつがい”同士の2人が部屋から出て来た時、ドアと壁の間に隠れて、2人が玄関から出ていくのを待った。
バタン、と玄関の扉が閉まった時、この家は完全に閉じられたーーーそんな気がした。
「母さん!」
とりあえずタオルを2枚手に取り、片方を水で濡らして母に駆け寄った。
首筋には、血が滲むほどの噛み跡。
拭くね、と声をかけて優しく濡れたタオルで拭き取れる汚れを取った。
「悠……怪我はなかった?」
涙を流しながら無理やり微笑もうとする母を見て、視界がぼやけた。
「母さん、守れなくって、ごめんね」
部屋は母子の泣き声で満ちた。
それから、母は全く外に出ないようになり、貯金を元手に株や投資を始めた。
利益となって返ってきた金を使ってネットショッピングで物を取り寄せれば、家から1歩も出ることなく生活する事ができた。
どうしても外に出なければいけない時は、母は発情時でなくても抑制剤を飲んでいた。
母はαに捨てられた悲しみを全く見せず、惜しみない愛情を俺に注いでくれた。
その1つが絵画だった。
資金繰りが順調で貯金が多く貯まったころ、元々絵を描くのが好きだった俺に画材を買い与えてくれた。
俺は筆を取ってすぐに夢中になった。
俺の描いた絵を写真に撮ってネットに上げると、たちまち話題となった。
有難いことに、俺の絵を買いたいと言ってくれる人が出てきた。
最初の頃はキャンバスと絵の具の代金に少し上乗せした価格で販売していたが、何故か「天才少年画家」という異名が付き、どんどん注文が殺到した。
そこで母は「ビジネスにしよう」と俺に持ちかけ、公式サイトを設立し、通販の形を取るようになった。もちろん、販売価格はプロの絵師が売るものと同格の値段に設定した。
それから数年が経ち、以前ほどのブームはないものの、一定数ファン(?)が付き、未だに絵を買ってくれている。
公立小学校、公立中学校に通いながら、絵を描き続けた。
ーーー14歳になったとき、精通を迎えた。
男子は精通、女子は初経を迎えると発情が起こったり、“運命のつがい”を見つけられたりする。
母はすぐに俺を病院に連れていき、抑制剤を処方して貰った。
毎日カバンに入れて持って行きなさい、と母に口酸っぱく言われ、発情期以外でも学校に持っていったのだが、ある日事件は起こる。
「なあ、これ抑制剤だろ?」
クラスの中心にいる男子3人から校舎裏に呼び出され、いつの間にカバンから抜き取ったのか、真ん中の男子が薬を揺らしながら聞いてきた。
「そうだけど……返して」
「嫌だね。発情してるΩを放置してたらどうなるか、実験したら面白そうじゃね?」
3人はゲラゲラと下品に笑う。
発情は月に1回だが、次はいつだったかと考えた。
まだ1週間。ストレスなどで不順になったり興奮状態になったりしなければ、今のところ大丈夫だ。
「本当に困るから、返して」
イライラしながらも、出来るだけ彼らを刺激しないように乞うた。
「そういえばさ」
口を開いたのは右の男子。
「お前の母さんって、αに捨てられたんだろ?」
その瞬間、目の前が真っ赤に染まった感覚があった。
拳をつくり、手のひらに爪の後がつくまで握りしめた。
それから3人は「引きこもり」「未亡人(違うが)」「役立たず」と散々母を罵った。
すると、何も言い返さないのが気に食わなかったのか、真ん中の男子が俺の胸倉を掴んだ。
「おい何とか言えよ雌」
カッとなって真ん中の奴を殴ると、左右の2人に殴られ、蹴られた。
ーーー口の中は血の味がする。
殴られ、蹴られ続けてもう痛覚が無くなろうとしていた時、下腹部が熱くなってきた。
ーーーーー作者よりーーーーー
次回※ですが、胸糞続きます
読まなくても話が続くように作りますので、無理な方は飛ばしてください
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