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幕間
どこにでもある運命(の始まり)
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それは冬が過ぎ、もうすぐ春になろうとしていた頃だった。
冷たく静謐な空気の中、住宅街から少し外れたところにある小さな公園で、佐坂智也は赤いスーツの女と対峙していた。夜ということもあって、周囲には全く人影はない。
智也は女に声を掛けられた時のことを思い出す。
人通りの多い繁華街を歩いていると、智也はいきなり背後から声を掛けられた。
「あなたが佐坂智也くんかしら?」
「誰だ?」
振り向くとそこには赤いスーツの女が立っている。ニコニコとした笑顔はまるでうさんくさいセールスのようにも見える。
「私の名はポニアード。WWSの構成員といえばわかるかしら。死神の後継者さん」
嫌な相手にでもあったかのように眉をしかめると、智也は冷たく言い放つ。
「WWSが何の用だ?」
「連れないわねぇ。ちょっと用事があるの。付き合って」
ポニアードは苦笑する。
「断ったら?」
「そうね。ここにいる人たちを殺しましょうか」
智也は周囲を見渡した。
もう陽が落ちていたが、まだ夜が更けるには早い時刻である。ましてやここは繁華街、たくさんの人が歩いていた。
「何を言っているんだ?冗談にしては笑えないな」
智也は苦笑で答える。そんな智也にポニアードは口元を歪めた。
「ええ。本気だもの。それとも、あなたは冗談で人を殺すの?」
ちゃかすようなポニアードの言葉に智也は舌打ちする。そして、智也はポニアードに連れられるままに公園に来た。
人気のない公園の中でポニアードに向き合うと、智也は口を開く。
「何の用だ」
「あなたが組織にとって危険かどうか調べているの」
「前に別のやつが来て判断はついたと言っていたが」
「ああ、土筆ちゃんね。彼女は甘口だから」
「あれでか」
「ええ。甘すぎて反吐がでるくらい」
ポニアードはニコニコと笑顔を浮かべながら、吐き捨てるように言う。その反応に智也は眉を寄せるが、これ以上は追求はしなかった。代わりに疑問を口にする。
「調査ってどうするんだ?」
「そうねぇ。殺し合って生きていたら危険。死んだら無害ってのはどう?」
「無茶苦茶だな」
「でも、わかりやすいでしょう」
ちゃかすように言うポニアードに、智也は胡乱げに視線を返す。
「おまえらに手を出すつもりはない」
「そう。でも、そんな言葉だけじゃあ信じられないわね」
「じゃあ、どうしたら信じるんだ?」
「うーん、そうね。ここで大人しく殺されてくれたら信じてあげる」
本気なのかポニアードはうっとりとした視線送る。その提案に智也は舌打ちで返した。
「何言ってんだ? イカレてるのか」
その言葉にポニアードは一瞬、真顔になると突然笑い出した。
「あははは……面白いことを言うのね。いたってまともよ。それに正常か異常かなんて時と場合によって変わるでしょう」
言うが早いか、ポニアードは智也に襲いかかった、いつの間にかその手にはナイフが握られている。
速いと思うのと同時に智也はバックステップで距離を取った。しかし、ポニアードのナイフは智也の身体をかすめる。ナイフはコートを切った。
ポニアードは楽しそうに口元を歪めると、さらにナイフで追撃してきた。
智也はナイフを躱す。しかし、ポニアードはその行動を読んでいたのか、躱した直後に蹴りを放つ。
「ぐっ」
智也は腹部にもろに蹴りをくらった。その衝撃を受け止めきれず、後ろに吹っ飛ぶ。
まるで鉄で打ち付けられたような衝撃に智也は驚愕した。そのままうずくまって、血を吐く。
まずいと思うが早いか、吐血しながら、顔を上げ状況を確認する。
目の前にポニアードの足が来ていた。智也はそのまま顔面を蹴り飛ばされる。
「がはっ」
首が飛びそうな衝撃―智也はそれをとっさに首を後ろに下げて和らげた。そのまま後ろに転がって距離を取る。
「今ので首を折ったと思ったんだけど、上手く躱したわね」
ポニアードは余裕の笑みを浮かべて、パチパチと拍手した。智也はそんなポニアードをじっと見る。
こいつ強い。
身体は熱いのに、頭の中は冷静だった。脳裏にはいつかの先生との会話が浮かんでいた。
『自分より強い相手と戦う方法?』
それは幼心からでた些細な疑問だった。
『そもそも自分より強い相手と会ったらまず逃げるべきだ。無理して戦う必要はない』
生きていなければ何もできない。先生が常に智也に言い聞かせていたことだった。
先生の言葉通り、智也はまず逃げるため算段を組み立てる。
こいつから逃げ切れるかと智也は自問自答する。遮蔽物のない空間、隠れる場所もない。さっきのポニアードの身体能力を考えたら逃げ切れる可能性は低かった。そう判断すると智也はすぐに思考を切り替える。
『それでも戦わないといけない時は、まず状況を把握しろ』
周囲を見渡しながら、脳裏で状況を整理する。
ポニアードとの距離は五、いや四メートル。ポニアードの手にはナイフが一本。刃渡り二十センチ、間合いは約一、八メートル。こちらの間合いは相手よりある。でも、当たる気がしない。
『その上で、生き残ることを最優先で考えろ』
その言葉が脳裏に思い浮かぶと、智也は神経が研ぎ澄まされていくのを感じた。
ナイフを使った攻撃は突きと切りに大別される。縦と横、二つの動きを読み切らなければ攻撃を食らうことになる。しかも、ナイフの場合、防御しても切られるのがやっかいだった。
つまり、一瞬でも動きから目をそらさず躱すしかない。
ポニアードの動きを凝視する。ポニアードはすぐに飛びかかり智也との距離を詰めると右、左と切り払う。智也はバックステップで躱すが、ポニアードはさらに突きで追撃してきた。それを左によけて躱したところを、合わせて左に切り払われる。後ろへ飛んだおかげで右腕をわずかに切られただけだったが、智也の腕からは血が流れていた。
「いい動きね」
ポニアードは一息つくと、さらに追撃する。
突き、右切り、左切り、右切り、左切り、縦切り、突き。連続する攻撃を智也は前後左右に動きながら躱す。しかし、全てを躱せているわけではない。致命傷こそ裂けているが紙一重で智也の裂傷は増えていた。
「でも、躱しているだけじゃ何も変わらないわよ」
そう言いながらポニアードは攻撃の手をさっきよりも早めた。
まずい。
智也はその攻撃をなんとか紙一重で躱しながら、次の一手を考える。
『利用できるものは全て利用して、常に最善手を指せ』
どんな困難な状況でも最善手を指すことで道は常に開けると先生は言っていた。そのために利用できるものはすべて利用しろ。手段を選ぶなとも言われたことを智也は思い出す。
今使えるものを考えろ。そのうえで、どうやってこいつに当てるかか。
智也はポニアードの攻撃を躱し続けながら、どのように反撃するかを考える。
まず、攻撃の切れ目を見極めろ。
右、左、左、縦、下、突き、上と繰り出される攻撃を智也は躱し、バックステップで距離を取った。間ができる。
その瞬間、智也は口元を歪めた。智也はいつの間にか手に持っていた銃をポニアードに向け、引き金を引く。銃からは、ぱしゅん、ぱしゅんという消音された銃声が二発響いた。しかし、ポニアードは横に動き、銃弾を回避する。息つく暇なく、智也はポニアードへさらに二発撃つ。当たったと思った銃弾は、しかし、ポニアードにたやすく躱される。
まずい。
そのままポニアードは智也との距離を詰める。智也はその動きにまったく反応できなかった。
しまっ―。
智也はポニアードの動きに驚愕したのと同時に死を覚悟する。
―死ぬ。
そう思った次の瞬間、ポニアードは智也の目の前に立ち止まり、ナイフを首筋に当てた。
「これで終わりね」
笑顔を浮かべたままポニアードは宣言する。傷だらけの智也はそんなポニアードを冷静に見つめていた。
「なぜそのまま切らなかった? そうすれば俺は死んでいたのに」
「あら、情緒がないわね。今殺すのも後から殺すのも同じよ。大切なのはいかに過程を楽しむか。だから、余韻を楽しみながらじっくりとどめをささないともったいないわ」
「趣味が悪いな」
軽口を叩きながら智也は死を覚悟していた。
「お褒めに預かり光栄ね。でも、私は期待外れだったわ。死神の後継者ならもう少しやると思ったのになあ」
心底がっかりしたようにポニアードは嘆く。
「ところで、その死神の後継者ってのは、なんなんだ?」
「私たちの組織でのあなたの呼び名よ。世界に六人しかない『最悪の犯罪者(アーククリミナル)』の一人、『死神』という暗殺者にあなたは殺しの技術を仕込まれたんでしょう。だから、死神の後継者」
「『最悪の犯罪者(アーククリミナル)』?」
「私たちの組織が認定した質の悪い人間につける称号よ。死神はその名の通り、たくさんの人を殺してきたからね。私なんか足下にも及ばないくらい殺してたんじゃないかしら」
「黙れ」
急に智也の語気が強くなる。
「あら、知らなかったの? それとも図星をつかれてむきになっているのかしら」
智也は何も答えない。それが肯定を示していることは明白だった。
そんな智也をポニアードは笑顔を浮かべたまま見つめていた。
「それじゃあ、冥途の土産話もこれくらいにして、終わらせー」
ポニアードの言葉を遮り、智也は口を開く。
「―あきらめは悪いほうなんだ」
「へぇ、この状況から抜け出す方法があるのかしら」
ポニアードは不敵に笑った。次の瞬間、智也は手に持った銃をポニアードに投げつけていた。
「あら、あきらめが早いわね」
ポニアードは銃をナイフで切る。しかし、ナイフは空を切った。
「む?」
ポニアードが不審に思った瞬間、その額に固いものが当てられる。智也はいつの間にか手に持った銃をポニアードの額に突きつけていた。引き金には指がかかり、いつでも撃てるようしている。
一瞬にして形勢は逆転していた。
ポニアードは視線だけを動かして、地面を見て銃が落ちていないことを確かめる。捨てたはずの銃がなく、智也の手には投げたはずの銃がある。摩訶不思議としか言えない現象が起こっていた。
「へぇ。その銃、能力か」
ポニアードは嬉しそうに声を上げた。
この世界には不思議な能力を持つものがいる。能力には、独自の機能がついた当人にしか使えない道具を出したり、不思議な現象を起こしたりするなどさまざまタイプがあった。ポニアードの所属する組織にもそうした能力者はたくさんいた。
「ということは、ただの銃ではないわね。あなたの銃は何ができるかしら?」
「言うと思うか?」
「つれないわねえ」
ポニアードはふざけたように口を尖らせていたが、すぐににこっと笑って賛辞の声を上げた。
「でも、まさか能力を囮に使うとはね」
「卑怯だと?」
「いえ、賞賛するわ。さすがは死神の後継者。やるわねえ」
ポニアードは銃を突きつけられながら、「ほう」と感心したように息を吐いた。智也はポニアードの額に向けた銃の引き金にかけた指に力を込める。圧倒的優位に立っているのにその指は震えている。
「ねえ、引き金を引けば私を殺せるのになんで引かないの?」
「おまえを殺したら俺は組織に害のあるものになってしまうだろう」
「ああ、それなら大丈夫。あなたはもう無害って言われているから」
「何?」
「さっきのは嘘よ」
ポニアードはまるでイタズラがバレた子供のように舌を出す。
「私はあなたと殺し合いたかったから来たの。だから、これは任務じゃない。ただの遊び」
ポニアードはそんな智也をイタズラが上手くいった時の子どものように会心の笑みを浮かべた。しかし、すぐに怪訝な表情に変わる。
「でも、珍しいわね。あなたほどの要注意人物が無害って断定されるなんて。何か裏取引でもしたの?」
智也は無表情のまま何も答えない。
「まあ、いいわ。だから、遠慮無く殺していいわよ」
「死ぬのは怖くないのか」
「あら、人はいつか死ぬものでしょう。誰にだって平等に起こることに何を怯える必要があるの」
ポニアードは笑顔で答える。智也は銃を構えたままそんなポニアードを見ていた。
まずい。
ポニアードに気取られないように心の中で舌打ちする。
「撃たないの?」
ポニアードの口調は穏やかだった。その質問に智也は何も答えない。そんな智也を気にせずにポニアードは言葉を続けた。
「頭を撃てば死ぬから?」
智也は何も答えない。
「もしかして、殺す気はない?」
智也は何も答えない。
「その銃はただの飾り?」
智也は何も答えない。
「だったら、この状況って見た目よりもまずくはないんじゃないのかしら」
そう言ってポニアードはクスクスと笑う。それは異様な光景だった。銃を突きつけられているほうが笑い、突きつけている方が苦悶の表情を浮かべていた。
ポニアードの言った通り智也は迷っていた。
脳裏には先生の言葉が浮かぶ。木々がうっそうと生い茂る森の中、ログハウスの前で先生はこう言った。
『今まで君に伝えてきたことは、この世で最も質の悪い力だ。だから、いざこの力を使う時、君は迷うかも知れない』
その時はどういう意味だったかわからなかったが、今ならわかると智也は思った。
智也はその言葉通り、殺すことをためらっていた。
先生から教えてもらったことが、人を殺す技術だと気づいたのはいつだったか智也は覚えていない。それでも、飲み込みが早いと先生が褒めてくれたことが嬉しくて、智也は一つひとつの技術を吸収していった。だから、この力を使うことに何のためらいはないと思っていた。しかし、覚えることと使うことは違う。人を殺すという一線を越えるにはそれ相応の覚悟がいる。そんなどうしようもない事実に智也は直面していた。
『その時は迷ったらいい。その感覚は正しい。その正しさを忘れないでほしい。だから、この力を使うか、使わないかは君に任せるよ』
申し訳なさそうに語る先生の姿を見て言った言葉を思い出す。
『じゃあ、僕は誰かのためにこの力を使うよ。この世で最も質の悪い力でも、正しいことに使えば良いことになるだろ』
それは尊敬する人物に少しでも喜んでほしいという童心から出た些細な言葉だった。
その言葉を言った時、先生はどんな顔をしていたのか智也は思い出せなかった。
ここで撃つのは誰のためだ。
どれだけ考えても誰のためにもならなかった。しかし、大きなそれが間違いでもあったことに気づくのはもっとずっと後のこと。この時点で、智也にその判断が間違いだったと気づけるはずもなかった。
葛藤は沈黙となり、ただ時間だけが過ぎていく。
「やっぱり死神の後継者はとんだ期待外れね」
ポニアードはがっかりしたようにため息をついた。
「ねえ、あなたは楽しみにしていたオモチャがつまらなかったらどうする?」
智也は何のことかわからず押し黙る。
「捨てる? 壊す? それとも、もったいないからそのまま遊ぶ?」
ポニアードはかぶりを振った。
「私はそんなの嫌だわ。もったいないし、つまらないまま遊んで楽しくないもの。だから、面白くなるように工夫するの」
「工夫?」
「そう。楽しめるような工夫をするの。私、一度気に入ったものは大事にする方なの」
「ふざけているのか」
智也は吐き捨てるように言った。
「あら、失礼ね。本気よ」
ポニアードはおかしそうにクスクス笑っている。
「お前は人をオモチャみたいにして遊んでいるのか?」
「ええ。何か問題あるかしら?」
ポニアードは笑顔で尋ねる。その問いに智也は真顔で吐き捨てるように言葉を返した。
「イカレてる」
「この状況で殺せないあなたほどじゃないわ」
ポニアードは急に真顔になった。そして、突きつけられた銃を意に介さず、くるりときびすを返した。
「待て」
智也はこのまま行かせてはならないという危機意識からポニアードを引き留めていた。
しかし、ポニアードは気にせず歩き出す。智也は銃を下に向け、撃った。
銃弾はポニアードの足下に当たる。そこでポニアードは足を止め、振り向いた。
「まだ何かあるの?」
ポニアードは素っ気なく言った。智也は何も言えなかった。ここで引き留めても何ができるわけでもなかった。だから、口から出た言葉はずいぶんと間の抜けた言葉だった。
「……どこへ行く?」
「どこへだって良いでしょう」
呆れたようにポニアードは言葉を返す。そして、急に真顔になると智也をにらみつけた。
「それとも待ったら、私を殺せるの?」
そんなポニアードに気圧されるように智也は銃を向ける。そして、引き金に手をかける。しかし、その指は震えていた。
二人の間に静寂が流れる。引き金を引くチャンスは那由他にあった。しかし、どれだけ時間が経っても智也は引き金を引けなかった。
「時間の無駄ね」
吐き捨てるように言うとポニアードは歩き出す。そして、公園の出口まで来ると顔だけ智也の方へ振り向いて、口を開く。
「あっ、そうそう。私を殺さなかったことをせいぜい後悔しないようにね」
そう言うとポニアードは公園を出ていった。
公園に一人取り残された智也は力なく銃を下ろした。
彼女がどこへ向かったのか智也はわからなかった。知りたくもなかった。できるなら二度と関わりたくない。心の底からそう思っていた。
ふと僕はどうすれば良かったという疑問が脳裏に浮かぶ。
迷いは迷いのまま晴れることはない。
その答えが出るのはもっと後のこと。
先に来る後悔が無いように、悔いるのは常に全てが終わった後だった。
冷たく静謐な空気の中、住宅街から少し外れたところにある小さな公園で、佐坂智也は赤いスーツの女と対峙していた。夜ということもあって、周囲には全く人影はない。
智也は女に声を掛けられた時のことを思い出す。
人通りの多い繁華街を歩いていると、智也はいきなり背後から声を掛けられた。
「あなたが佐坂智也くんかしら?」
「誰だ?」
振り向くとそこには赤いスーツの女が立っている。ニコニコとした笑顔はまるでうさんくさいセールスのようにも見える。
「私の名はポニアード。WWSの構成員といえばわかるかしら。死神の後継者さん」
嫌な相手にでもあったかのように眉をしかめると、智也は冷たく言い放つ。
「WWSが何の用だ?」
「連れないわねぇ。ちょっと用事があるの。付き合って」
ポニアードは苦笑する。
「断ったら?」
「そうね。ここにいる人たちを殺しましょうか」
智也は周囲を見渡した。
もう陽が落ちていたが、まだ夜が更けるには早い時刻である。ましてやここは繁華街、たくさんの人が歩いていた。
「何を言っているんだ?冗談にしては笑えないな」
智也は苦笑で答える。そんな智也にポニアードは口元を歪めた。
「ええ。本気だもの。それとも、あなたは冗談で人を殺すの?」
ちゃかすようなポニアードの言葉に智也は舌打ちする。そして、智也はポニアードに連れられるままに公園に来た。
人気のない公園の中でポニアードに向き合うと、智也は口を開く。
「何の用だ」
「あなたが組織にとって危険かどうか調べているの」
「前に別のやつが来て判断はついたと言っていたが」
「ああ、土筆ちゃんね。彼女は甘口だから」
「あれでか」
「ええ。甘すぎて反吐がでるくらい」
ポニアードはニコニコと笑顔を浮かべながら、吐き捨てるように言う。その反応に智也は眉を寄せるが、これ以上は追求はしなかった。代わりに疑問を口にする。
「調査ってどうするんだ?」
「そうねぇ。殺し合って生きていたら危険。死んだら無害ってのはどう?」
「無茶苦茶だな」
「でも、わかりやすいでしょう」
ちゃかすように言うポニアードに、智也は胡乱げに視線を返す。
「おまえらに手を出すつもりはない」
「そう。でも、そんな言葉だけじゃあ信じられないわね」
「じゃあ、どうしたら信じるんだ?」
「うーん、そうね。ここで大人しく殺されてくれたら信じてあげる」
本気なのかポニアードはうっとりとした視線送る。その提案に智也は舌打ちで返した。
「何言ってんだ? イカレてるのか」
その言葉にポニアードは一瞬、真顔になると突然笑い出した。
「あははは……面白いことを言うのね。いたってまともよ。それに正常か異常かなんて時と場合によって変わるでしょう」
言うが早いか、ポニアードは智也に襲いかかった、いつの間にかその手にはナイフが握られている。
速いと思うのと同時に智也はバックステップで距離を取った。しかし、ポニアードのナイフは智也の身体をかすめる。ナイフはコートを切った。
ポニアードは楽しそうに口元を歪めると、さらにナイフで追撃してきた。
智也はナイフを躱す。しかし、ポニアードはその行動を読んでいたのか、躱した直後に蹴りを放つ。
「ぐっ」
智也は腹部にもろに蹴りをくらった。その衝撃を受け止めきれず、後ろに吹っ飛ぶ。
まるで鉄で打ち付けられたような衝撃に智也は驚愕した。そのままうずくまって、血を吐く。
まずいと思うが早いか、吐血しながら、顔を上げ状況を確認する。
目の前にポニアードの足が来ていた。智也はそのまま顔面を蹴り飛ばされる。
「がはっ」
首が飛びそうな衝撃―智也はそれをとっさに首を後ろに下げて和らげた。そのまま後ろに転がって距離を取る。
「今ので首を折ったと思ったんだけど、上手く躱したわね」
ポニアードは余裕の笑みを浮かべて、パチパチと拍手した。智也はそんなポニアードをじっと見る。
こいつ強い。
身体は熱いのに、頭の中は冷静だった。脳裏にはいつかの先生との会話が浮かんでいた。
『自分より強い相手と戦う方法?』
それは幼心からでた些細な疑問だった。
『そもそも自分より強い相手と会ったらまず逃げるべきだ。無理して戦う必要はない』
生きていなければ何もできない。先生が常に智也に言い聞かせていたことだった。
先生の言葉通り、智也はまず逃げるため算段を組み立てる。
こいつから逃げ切れるかと智也は自問自答する。遮蔽物のない空間、隠れる場所もない。さっきのポニアードの身体能力を考えたら逃げ切れる可能性は低かった。そう判断すると智也はすぐに思考を切り替える。
『それでも戦わないといけない時は、まず状況を把握しろ』
周囲を見渡しながら、脳裏で状況を整理する。
ポニアードとの距離は五、いや四メートル。ポニアードの手にはナイフが一本。刃渡り二十センチ、間合いは約一、八メートル。こちらの間合いは相手よりある。でも、当たる気がしない。
『その上で、生き残ることを最優先で考えろ』
その言葉が脳裏に思い浮かぶと、智也は神経が研ぎ澄まされていくのを感じた。
ナイフを使った攻撃は突きと切りに大別される。縦と横、二つの動きを読み切らなければ攻撃を食らうことになる。しかも、ナイフの場合、防御しても切られるのがやっかいだった。
つまり、一瞬でも動きから目をそらさず躱すしかない。
ポニアードの動きを凝視する。ポニアードはすぐに飛びかかり智也との距離を詰めると右、左と切り払う。智也はバックステップで躱すが、ポニアードはさらに突きで追撃してきた。それを左によけて躱したところを、合わせて左に切り払われる。後ろへ飛んだおかげで右腕をわずかに切られただけだったが、智也の腕からは血が流れていた。
「いい動きね」
ポニアードは一息つくと、さらに追撃する。
突き、右切り、左切り、右切り、左切り、縦切り、突き。連続する攻撃を智也は前後左右に動きながら躱す。しかし、全てを躱せているわけではない。致命傷こそ裂けているが紙一重で智也の裂傷は増えていた。
「でも、躱しているだけじゃ何も変わらないわよ」
そう言いながらポニアードは攻撃の手をさっきよりも早めた。
まずい。
智也はその攻撃をなんとか紙一重で躱しながら、次の一手を考える。
『利用できるものは全て利用して、常に最善手を指せ』
どんな困難な状況でも最善手を指すことで道は常に開けると先生は言っていた。そのために利用できるものはすべて利用しろ。手段を選ぶなとも言われたことを智也は思い出す。
今使えるものを考えろ。そのうえで、どうやってこいつに当てるかか。
智也はポニアードの攻撃を躱し続けながら、どのように反撃するかを考える。
まず、攻撃の切れ目を見極めろ。
右、左、左、縦、下、突き、上と繰り出される攻撃を智也は躱し、バックステップで距離を取った。間ができる。
その瞬間、智也は口元を歪めた。智也はいつの間にか手に持っていた銃をポニアードに向け、引き金を引く。銃からは、ぱしゅん、ぱしゅんという消音された銃声が二発響いた。しかし、ポニアードは横に動き、銃弾を回避する。息つく暇なく、智也はポニアードへさらに二発撃つ。当たったと思った銃弾は、しかし、ポニアードにたやすく躱される。
まずい。
そのままポニアードは智也との距離を詰める。智也はその動きにまったく反応できなかった。
しまっ―。
智也はポニアードの動きに驚愕したのと同時に死を覚悟する。
―死ぬ。
そう思った次の瞬間、ポニアードは智也の目の前に立ち止まり、ナイフを首筋に当てた。
「これで終わりね」
笑顔を浮かべたままポニアードは宣言する。傷だらけの智也はそんなポニアードを冷静に見つめていた。
「なぜそのまま切らなかった? そうすれば俺は死んでいたのに」
「あら、情緒がないわね。今殺すのも後から殺すのも同じよ。大切なのはいかに過程を楽しむか。だから、余韻を楽しみながらじっくりとどめをささないともったいないわ」
「趣味が悪いな」
軽口を叩きながら智也は死を覚悟していた。
「お褒めに預かり光栄ね。でも、私は期待外れだったわ。死神の後継者ならもう少しやると思ったのになあ」
心底がっかりしたようにポニアードは嘆く。
「ところで、その死神の後継者ってのは、なんなんだ?」
「私たちの組織でのあなたの呼び名よ。世界に六人しかない『最悪の犯罪者(アーククリミナル)』の一人、『死神』という暗殺者にあなたは殺しの技術を仕込まれたんでしょう。だから、死神の後継者」
「『最悪の犯罪者(アーククリミナル)』?」
「私たちの組織が認定した質の悪い人間につける称号よ。死神はその名の通り、たくさんの人を殺してきたからね。私なんか足下にも及ばないくらい殺してたんじゃないかしら」
「黙れ」
急に智也の語気が強くなる。
「あら、知らなかったの? それとも図星をつかれてむきになっているのかしら」
智也は何も答えない。それが肯定を示していることは明白だった。
そんな智也をポニアードは笑顔を浮かべたまま見つめていた。
「それじゃあ、冥途の土産話もこれくらいにして、終わらせー」
ポニアードの言葉を遮り、智也は口を開く。
「―あきらめは悪いほうなんだ」
「へぇ、この状況から抜け出す方法があるのかしら」
ポニアードは不敵に笑った。次の瞬間、智也は手に持った銃をポニアードに投げつけていた。
「あら、あきらめが早いわね」
ポニアードは銃をナイフで切る。しかし、ナイフは空を切った。
「む?」
ポニアードが不審に思った瞬間、その額に固いものが当てられる。智也はいつの間にか手に持った銃をポニアードの額に突きつけていた。引き金には指がかかり、いつでも撃てるようしている。
一瞬にして形勢は逆転していた。
ポニアードは視線だけを動かして、地面を見て銃が落ちていないことを確かめる。捨てたはずの銃がなく、智也の手には投げたはずの銃がある。摩訶不思議としか言えない現象が起こっていた。
「へぇ。その銃、能力か」
ポニアードは嬉しそうに声を上げた。
この世界には不思議な能力を持つものがいる。能力には、独自の機能がついた当人にしか使えない道具を出したり、不思議な現象を起こしたりするなどさまざまタイプがあった。ポニアードの所属する組織にもそうした能力者はたくさんいた。
「ということは、ただの銃ではないわね。あなたの銃は何ができるかしら?」
「言うと思うか?」
「つれないわねえ」
ポニアードはふざけたように口を尖らせていたが、すぐににこっと笑って賛辞の声を上げた。
「でも、まさか能力を囮に使うとはね」
「卑怯だと?」
「いえ、賞賛するわ。さすがは死神の後継者。やるわねえ」
ポニアードは銃を突きつけられながら、「ほう」と感心したように息を吐いた。智也はポニアードの額に向けた銃の引き金にかけた指に力を込める。圧倒的優位に立っているのにその指は震えている。
「ねえ、引き金を引けば私を殺せるのになんで引かないの?」
「おまえを殺したら俺は組織に害のあるものになってしまうだろう」
「ああ、それなら大丈夫。あなたはもう無害って言われているから」
「何?」
「さっきのは嘘よ」
ポニアードはまるでイタズラがバレた子供のように舌を出す。
「私はあなたと殺し合いたかったから来たの。だから、これは任務じゃない。ただの遊び」
ポニアードはそんな智也をイタズラが上手くいった時の子どものように会心の笑みを浮かべた。しかし、すぐに怪訝な表情に変わる。
「でも、珍しいわね。あなたほどの要注意人物が無害って断定されるなんて。何か裏取引でもしたの?」
智也は無表情のまま何も答えない。
「まあ、いいわ。だから、遠慮無く殺していいわよ」
「死ぬのは怖くないのか」
「あら、人はいつか死ぬものでしょう。誰にだって平等に起こることに何を怯える必要があるの」
ポニアードは笑顔で答える。智也は銃を構えたままそんなポニアードを見ていた。
まずい。
ポニアードに気取られないように心の中で舌打ちする。
「撃たないの?」
ポニアードの口調は穏やかだった。その質問に智也は何も答えない。そんな智也を気にせずにポニアードは言葉を続けた。
「頭を撃てば死ぬから?」
智也は何も答えない。
「もしかして、殺す気はない?」
智也は何も答えない。
「その銃はただの飾り?」
智也は何も答えない。
「だったら、この状況って見た目よりもまずくはないんじゃないのかしら」
そう言ってポニアードはクスクスと笑う。それは異様な光景だった。銃を突きつけられているほうが笑い、突きつけている方が苦悶の表情を浮かべていた。
ポニアードの言った通り智也は迷っていた。
脳裏には先生の言葉が浮かぶ。木々がうっそうと生い茂る森の中、ログハウスの前で先生はこう言った。
『今まで君に伝えてきたことは、この世で最も質の悪い力だ。だから、いざこの力を使う時、君は迷うかも知れない』
その時はどういう意味だったかわからなかったが、今ならわかると智也は思った。
智也はその言葉通り、殺すことをためらっていた。
先生から教えてもらったことが、人を殺す技術だと気づいたのはいつだったか智也は覚えていない。それでも、飲み込みが早いと先生が褒めてくれたことが嬉しくて、智也は一つひとつの技術を吸収していった。だから、この力を使うことに何のためらいはないと思っていた。しかし、覚えることと使うことは違う。人を殺すという一線を越えるにはそれ相応の覚悟がいる。そんなどうしようもない事実に智也は直面していた。
『その時は迷ったらいい。その感覚は正しい。その正しさを忘れないでほしい。だから、この力を使うか、使わないかは君に任せるよ』
申し訳なさそうに語る先生の姿を見て言った言葉を思い出す。
『じゃあ、僕は誰かのためにこの力を使うよ。この世で最も質の悪い力でも、正しいことに使えば良いことになるだろ』
それは尊敬する人物に少しでも喜んでほしいという童心から出た些細な言葉だった。
その言葉を言った時、先生はどんな顔をしていたのか智也は思い出せなかった。
ここで撃つのは誰のためだ。
どれだけ考えても誰のためにもならなかった。しかし、大きなそれが間違いでもあったことに気づくのはもっとずっと後のこと。この時点で、智也にその判断が間違いだったと気づけるはずもなかった。
葛藤は沈黙となり、ただ時間だけが過ぎていく。
「やっぱり死神の後継者はとんだ期待外れね」
ポニアードはがっかりしたようにため息をついた。
「ねえ、あなたは楽しみにしていたオモチャがつまらなかったらどうする?」
智也は何のことかわからず押し黙る。
「捨てる? 壊す? それとも、もったいないからそのまま遊ぶ?」
ポニアードはかぶりを振った。
「私はそんなの嫌だわ。もったいないし、つまらないまま遊んで楽しくないもの。だから、面白くなるように工夫するの」
「工夫?」
「そう。楽しめるような工夫をするの。私、一度気に入ったものは大事にする方なの」
「ふざけているのか」
智也は吐き捨てるように言った。
「あら、失礼ね。本気よ」
ポニアードはおかしそうにクスクス笑っている。
「お前は人をオモチャみたいにして遊んでいるのか?」
「ええ。何か問題あるかしら?」
ポニアードは笑顔で尋ねる。その問いに智也は真顔で吐き捨てるように言葉を返した。
「イカレてる」
「この状況で殺せないあなたほどじゃないわ」
ポニアードは急に真顔になった。そして、突きつけられた銃を意に介さず、くるりときびすを返した。
「待て」
智也はこのまま行かせてはならないという危機意識からポニアードを引き留めていた。
しかし、ポニアードは気にせず歩き出す。智也は銃を下に向け、撃った。
銃弾はポニアードの足下に当たる。そこでポニアードは足を止め、振り向いた。
「まだ何かあるの?」
ポニアードは素っ気なく言った。智也は何も言えなかった。ここで引き留めても何ができるわけでもなかった。だから、口から出た言葉はずいぶんと間の抜けた言葉だった。
「……どこへ行く?」
「どこへだって良いでしょう」
呆れたようにポニアードは言葉を返す。そして、急に真顔になると智也をにらみつけた。
「それとも待ったら、私を殺せるの?」
そんなポニアードに気圧されるように智也は銃を向ける。そして、引き金に手をかける。しかし、その指は震えていた。
二人の間に静寂が流れる。引き金を引くチャンスは那由他にあった。しかし、どれだけ時間が経っても智也は引き金を引けなかった。
「時間の無駄ね」
吐き捨てるように言うとポニアードは歩き出す。そして、公園の出口まで来ると顔だけ智也の方へ振り向いて、口を開く。
「あっ、そうそう。私を殺さなかったことをせいぜい後悔しないようにね」
そう言うとポニアードは公園を出ていった。
公園に一人取り残された智也は力なく銃を下ろした。
彼女がどこへ向かったのか智也はわからなかった。知りたくもなかった。できるなら二度と関わりたくない。心の底からそう思っていた。
ふと僕はどうすれば良かったという疑問が脳裏に浮かぶ。
迷いは迷いのまま晴れることはない。
その答えが出るのはもっと後のこと。
先に来る後悔が無いように、悔いるのは常に全てが終わった後だった。
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