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第一章 政略結婚

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先程、マリナが屋敷を周り出したと報告を受けた。
使用人達と上手くいっていればいいが…

少し様子を見に行こうか。

「…あっ、マリ…」

「へぇ、セシルは凄いわね。私もそんなに植物に詳しくないわ!今度、また詳しく教えてちょうだいね!」

「はい!あ、奥様、仕入れて欲しい物などありましたら、お気軽にお声かけ下さいね!」

「ええ、ありがとう。それと一つだけお願いがあるのだけど、私が自分の商売で使いたい時があるから、庭園の一角を私に貸してくれないかしら?目立たない所で構わないから」

「もちろんです。準備が出来次第、お声かけしますので楽しみにしていて下さいね!」

「ありがとう、では失礼するわ」

「はい!」

なんと、もう使用人達と打ち解けているのか。
さすがだな。これなら、問題ないだろう。そろそろ戻るか?

「キース様、こんなところでどうなさいました?」

「っ!気付いていたのか」

「ええ、気配には敏感なので」

「そうか。いや、どんな感じかと少し様子を見にきていただけだ」

「そうでしたの」
「………」

「?どうかしましたか?」

「いや、セシルともう打ち解けていたんだな。他の使用人達とも仲が良さそうで良かった」

「ええ、とても良い方たちばかりですね」

「そうだな。では」

そろそろ屋敷の散策も終わりそうだ。これから何をするんだろうか。まあ、また様子を見に行けばいいか。





[使用人side~庭師長セシル~]

俺は、セシル。バートロム公爵家の庭師長だ。
今日は、先日公爵夫人となったマリナ様に庭園をご案内していた。

どんな方が、旦那様の奥様になったのかと思ったが、マリナ様はとても気さくでいい方だった。


普通の女性なら、花の名前くらいは知っていてもその程度だ。
だが奥様はとても植物に詳しく、育て方はもちろん交配等についても詳しかった。

おかげで、奥様と話が弾みとても楽しい時間になった。

お互いに今までよりも植物に詳しくなった。

奥様との話はとても勉強になる。俺ももっと奥様にお話出来ることを増やさなければ!


最後に、マリナ様に欲しいものなどないかと聞いたが、庭の一角を貸して欲しいと言われた。


それくらい、お安いご用だ。むしろ、これから奥様が育てる物などが見られるのなら、とても楽しみだ。

はやく、ご用意して差し上げなければ!


俺は、前公爵様達が引退されて、ずっと静かだった公爵家がどんどん明るくなっていく予感がした。
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