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第二章

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『へぇ、リリア姫。意外と胸あるんだね。着痩せするタイプかい?』
『ちょっとリオ。品のない話はやめてくださいよ。たしかにリオの言う通りではありますが』
『私たちと違って姫様のお身体を見るのは初めてですもんね!最初は驚きますよね!』
『まさにナイスバディ!ってやつですよ~』

そうなのか。たしかに水着の時も……ってそうじゃない。全部こちらまで聞こえているんだが気づいていないのか?

「リズが困っていそうな話の内容だな。女性同士は意外とオープンなのか?」
「姫?なんでリリア様が姫って言われているんだ?」
「主だからそう呼んでいるだけですよ、団長」

団長……ああ、シモンは騎士団諜報部の副団長か。

『もうその話はやめてよ。隣に男性陣がいるし、こちらの会話がすべて筒抜けよ?』

さすがはリリア。やっぱり気づくか。だが俺もこれ以上は聞かない方が良いと思うし、一応俺の妻なので他の奴らに聞かせたくない。

『それはそうとリー。貴女、散々わたくしにアルとのことで色々言ってきていたけれど、リー自身はそういった話はないの?』

…これは聞かないでおく。リュードの心の平穏のために。大体言うことの予想はつくけど。

「俺はもう上がる」
「では俺も」

リュードとシモンとアルノルト、ジュリアスだけは先に上がって、影組はまだ残るようだ。着替えはいつものとは違い、夏祭りで着たのと似た浴衣だ。こちらの浴衣は女性用も柄以外は同じ。部屋に戻るとすぐに亭主がやってきた。

「失礼致します。お食事はいつお召し上がりになりますか?」
「ああ…では30分後に」
「かしこまりました」

リリアもそう遅くまで湯に浸かることはないはずだ。待ち時間は仕事でもするか。



「リュード様」
「リリア、上がったのか」
「はい。お待たせしました。温泉というのは初めてでしたけどとても良かったです」
「それは良かった」

スミス公爵領では東方の国の文化を多く取り入れている部分がある。理由はよく分からないがむかしからだそうだ。夏祭りに関しても同じく。

湯上りのリリアは髪を高いところで結んでいて(ポニーテールというらしい)普段は隠れているうなじがとても色っぽい。離れていても石鹸のいい香りがする。

「これは何という料理なのですか?」
「料理名までは分からないがまとめて和食というらしい。健康に良いらしいぞ」

普段の食事とはまた違った味がする。何度か食べたことがあるが落ち着いた味でとても美味しい。リリアも時折驚きながらも美味しそうに食べている。

「美味しいですね。今度お城の料理人に作ってもらおうかしら?」
「毎日は無理だが時々なら作ってくれると思うぞ」
「あら嬉しい」

そう言って微笑むリリアをじっと見ていると怪しまれた。顔に何かついていますか?と可愛らしく小首をかしげるので、

「可愛い目と鼻と口がついているな」
「…全体を見て言うのならまだしも、顔のパーツ一つずつが可愛いなんてことありますか?そのパーツだけでは判断がつかないでしょう」
「愛する人なら何でも良く見えるものだ」
「…はっきり言いますのね」

隠さないと宣言したのだから当たり前だ。愛などを囁くというのは恥ずかしいのではないかと思っていたが意外とそうでもない。本心なのだしずっと隠し続けるより全然いい。
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