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第一章
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そういうわけで、全ての加護が使えるわたくしには回ってくる仕事が多い。
今日の書類は許可の判を押すか不許可の判を押すかだけがほとんどで、全部の視察が終わる頃にはきっちり終わらせていた。
ちゃんとシモンの変わりに寄付品も届け、皇城に戻った。三日後の分まで前倒しにしているため、仕事が早いと驚かれたが、ただ楽な内容だっただけだ。当然、内容も確認している。視察の報告書を陛下に渡して書類を届けた後でウィーウェンに帰った。
予定より早く仕事が進んでいる。これなら明日はもう少し詰め込めそうだ。
「ルイ」
わたくし直属の影の一人を呼ぶ。ルイはわたくしの影兼侍女だ。ユースゼルクのわたくしの専属侍女はルイだけである。
「早く仕事が終わったから、もうマダムを呼んでくれる?」
「かしこまりました」
今呼んで貰ったマダムは皇室専属の洋裁師なので、大体こちらの都合に合わせてくれる。
皇族にとっては一分一秒が大事だとよく分かってくれていて、仕事も出来る。まさにプロの職人だ。
皇城にいる筈だから20分もあれば到着するだろう。
(今の内に訓練場に罠を仕掛けてきましょ)
外に出て少し歩き、城の奥の方にある訓練場へ行く。誰もいないことを確認して落とし穴やナイフが降ってくるような仕掛けを作り、透過の加護で隠す。
愛しの加護以外は全て「基本加護」というが、透過は基本加護の一つである。現在皇族で透過の加護持ちはいないが、透過は先程のように何かの存在を隠すことが出来る。生き物には使えないが、それ以外なら何でも可能だ。
影の暗殺訓練をする時に便利である。
「こんな感じでいいかしら?さあ、戻りましょう」
城内に入り、螺旋状になっている階段を上っていると、
「姫様!お覚悟~!」
いきなり攻撃された。ちゃんと避けたが武器は十字形の鉄板に刃がついた四刃ナイフと呼ばれるもの。
少しでも当たっていたら深い傷を負っていた筈だ。
「メイ、攻撃するなら声を出しては駄目よ?折角気配を消せてもバレちゃうわ」
「今回はわざとです!だって姫様すでに気付いていたでしょう」
「まあね。わたくしは結界を張れるし、五感が優れている分害を与えられることはほぼゼロと言って良いくらいだけれど、油断して怪我するわけにはいかないもの」
「やっぱり!でも姫様の結界ってあまり長い間張れないのですよね?他の加護が使いづらいのではなかったですか?」
「ええ、そうよ。まあ大丈夫だから」
メイの言う通り、結界はあまり長い間張れない。だが心配されるため、常に張っているとわたくしの影以外には嘘をついている。本当は嫌な気配を感じた時だけにしている。それでも十分だから。
ウィーウェンの影にはお互いの訓練も兼ねていつでもわたくしに攻撃して良いと言っている。
最初は遠慮がちだったが、段々本気になってきてくれて嬉しい限りだ。やらなければやられると分かっているのだろう。わたくしからの攻撃もある。
今日の書類は許可の判を押すか不許可の判を押すかだけがほとんどで、全部の視察が終わる頃にはきっちり終わらせていた。
ちゃんとシモンの変わりに寄付品も届け、皇城に戻った。三日後の分まで前倒しにしているため、仕事が早いと驚かれたが、ただ楽な内容だっただけだ。当然、内容も確認している。視察の報告書を陛下に渡して書類を届けた後でウィーウェンに帰った。
予定より早く仕事が進んでいる。これなら明日はもう少し詰め込めそうだ。
「ルイ」
わたくし直属の影の一人を呼ぶ。ルイはわたくしの影兼侍女だ。ユースゼルクのわたくしの専属侍女はルイだけである。
「早く仕事が終わったから、もうマダムを呼んでくれる?」
「かしこまりました」
今呼んで貰ったマダムは皇室専属の洋裁師なので、大体こちらの都合に合わせてくれる。
皇族にとっては一分一秒が大事だとよく分かってくれていて、仕事も出来る。まさにプロの職人だ。
皇城にいる筈だから20分もあれば到着するだろう。
(今の内に訓練場に罠を仕掛けてきましょ)
外に出て少し歩き、城の奥の方にある訓練場へ行く。誰もいないことを確認して落とし穴やナイフが降ってくるような仕掛けを作り、透過の加護で隠す。
愛しの加護以外は全て「基本加護」というが、透過は基本加護の一つである。現在皇族で透過の加護持ちはいないが、透過は先程のように何かの存在を隠すことが出来る。生き物には使えないが、それ以外なら何でも可能だ。
影の暗殺訓練をする時に便利である。
「こんな感じでいいかしら?さあ、戻りましょう」
城内に入り、螺旋状になっている階段を上っていると、
「姫様!お覚悟~!」
いきなり攻撃された。ちゃんと避けたが武器は十字形の鉄板に刃がついた四刃ナイフと呼ばれるもの。
少しでも当たっていたら深い傷を負っていた筈だ。
「メイ、攻撃するなら声を出しては駄目よ?折角気配を消せてもバレちゃうわ」
「今回はわざとです!だって姫様すでに気付いていたでしょう」
「まあね。わたくしは結界を張れるし、五感が優れている分害を与えられることはほぼゼロと言って良いくらいだけれど、油断して怪我するわけにはいかないもの」
「やっぱり!でも姫様の結界ってあまり長い間張れないのですよね?他の加護が使いづらいのではなかったですか?」
「ええ、そうよ。まあ大丈夫だから」
メイの言う通り、結界はあまり長い間張れない。だが心配されるため、常に張っているとわたくしの影以外には嘘をついている。本当は嫌な気配を感じた時だけにしている。それでも十分だから。
ウィーウェンの影にはお互いの訓練も兼ねていつでもわたくしに攻撃して良いと言っている。
最初は遠慮がちだったが、段々本気になってきてくれて嬉しい限りだ。やらなければやられると分かっているのだろう。わたくしからの攻撃もある。
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