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第一章

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「あぁ!今日もエリザベス様は素敵だわ!」

私、リリア·マリデールは花壇に隠れて公爵令嬢のエリザベス·マレー様を覗き見していた。

王宮の庭園にあるベンチに座り、時々小鳥と戯れながら読書をする彼女はとても神秘的だった。

私の父は宰相です。そのため王宮に出入りすることが可能なのですが、婚約者のいない私は王宮で優良物件の婚約者を探したり…しません!

私が王宮に出入りしているのは、王太子の婚約者で公爵令嬢、そして何より私の『推し』を一目でも拝むためです!

いまはもう学院を卒業していますが、学院に入学した今から四年前の日に私はエリザベス様に一目惚れしました。あ、もちろん恋愛的な意味ではありませんよ?

洗練された立ち居振舞い、神秘的な美しさ、中世的な声!全てが素敵なのです!

性格もおしとやかで優しくてまさに令嬢の鏡ですわ。ですが、私は緊張してあまり話したことがありません…

せめて、結婚するまでにお友達になりたいですわ。



「リリア」

「あらお父様。お仕事はもう宜しいので?」

「ああ。今日はもう終わりだよ。ところで…またエリザベス嬢を覗き見していたのかい?ストーカーだと疑われてしまうよ?」

「大丈夫ですわ。隠れるのには慣れていますからきっと見つかりません!」

なにせもう、四年以上見守り続けていますもの。

「自信満々に言うことではないだろう…そろそろ帰るよ」

「そうですか…では行きましょう」

もっと見ていたかったですわ!朝から見ていましたけれど、全然飽きません!あ、ずっとここにいた訳ではありませんよ?最初は図書館、次に噴水広場、そして最後にここに来ました。
エリザベス様が移動されていましたので!



ガタガタと揺れる馬車の中でも私は常に、エリザベス様のことを考えています。


「そういえばお父様。スミス公爵家から縁談がきているとお聞きしたのですが?」

「えっ!…よ、よく知っているね?実はそうなんだ。でも政略結婚だし、リリアには自分が好きになった人と結婚してもらいたいんだよ。だからお断りしてもいいよ?」

「いえお父様。私この縁談、お受け致しますわ!」

「ええ?どうしてだい?我が家は公爵家の権力がなくても全然大丈夫だよ?」

「それは存じ上げておりますわ。私にはお慕いしている方はおりませんし、貴族は政略結婚は普通です」

「…それで、本音は?」

そんなもの…

「決まっています!王家と公爵家しか参加出来ない夜会などがありますでしょう?私、今までエリザベス様の参加される夜会などは必ず参加しておりましたが、それだけはどうしても無理でしたから。今回の件、私にとってはとても魅力的な話なのです!」

「食いぎみに言わないでくれる?やっぱりそうだったか。公爵夫人という立場や公爵様ご本人より『推し』を優先させるところがとてもリリアらしいよ…」
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