【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜

文字の大きさ
上 下
227 / 241
第3章 動き出す思惑

41

しおりを挟む
 ねぇ……ちょっと許せないことがあるんだけど。いい加減にしてほしい。彼らは悪くないけども。

「腹を括ってください。男でしょう」
「……いくらなんでも酷くないですか?昨日の今日ですよ?」

 そう、俺は彼ら───クレアちゃんとミシェルさんに物申したいことがある。俺の行動範囲が広がるかなと思って作り上げたナイジェル・シーランという人間だけど、社交界に全然出ていかないから色々と噂されているらしく。だからね、俺は短時間だけ社交の場に出ようと思ったんだよ。それで昨日彼らと話し合っていたんだけど……俺、参加することになったシュリー家の夜会がいつあるのか聞き忘れていたんだよねー……

 たしかに聞き忘れた俺が悪かったよ?だけど日程くらい教えてほしかったかなー。

「精霊王ならあらゆる情報の最先端を行っていると思っていましたが違うのですね」
「……嫌味を言わないでください。私は興味のあること以外すぐに忘れてしまうんです」

 だから興味を持ったことを極められる。『興味がある』と『必要』は別だからね。忘れてはいけない必要な情報でも興味がなければ高確率で記憶から消える。それが俺の脳だから。……全然自慢にはならないんだけどね?

 まあつまり、話に聞いていたシュリー公爵家主催の夜会というのは今日あるらしい。言われてみればだいぶ前にそんな情報が耳に入ったような気がしないでもない。

「ナイジェルはなぜ夜会が嫌いなのですか?」
「人酔いするんですよ。それに外面をしなければならないなんて面倒じゃないですか。堅苦しいのはあまり好きじゃないんですよね」
「典型的な社交嫌いですね……」
「ほら、嫌いでもなんでも良いからさっさと行くよ。絶対に遅刻できる立場ではないんだからね」
「はい。………めんどくさ」
「本音もしっかり聞こえてるよ」

 小声で言ったつもりなんだけど耳良いねー。まあいいよ、今日は爪痕残して代わりにしばらくは社交なんてしないから。何をするかについては二人にも言ってない。きっと面白いことになるだろうなぁ……その点では楽しみかも。
 体調が回復したばかりで申し訳ないけど、快く了承してくれて助かったよ───ウンディーネ。

 ◇

『ウンディーネ』
『なぁに?』
『お願いがあるんだけど、体調は大丈夫そう?』

 海で自分の属性の精霊と戯れていたウンディーネに声をかけると可愛らしい笑顔が返ってくる。こうして遊びまわっている時点で不調ということはないだろうと思いつつ、一応確認を取った。ナギサが頼もうとしている内容だと激しく動くようなことは恐らくないはずだが、体調が悪いと大変かもしれない。

『大丈夫だよぉ。お願いって?』
『今度ナイジェルとして夜会に参加しようかなって思ってるんだけど、パートナーとして一緒に参加してくれない?俺として参加するわけじゃないからアリスは無理だからさ』
『夜会……?良いよ。だけどなんでわたしなのぉ?』
『ちょっとやりたいことがあってね、抜け出したことに気付かれないようにするなら注目を集める人がいいかなって。精霊も他の種族と関わることが増えたけど、それでも大精霊はまだまだ雲の上の存在って感じだから注目を集めるには十分でしょー?』
『……暴れないでねぇ?わたしでは止められないからぁ』
『努力はするよ』

 ◇
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

異世界転生~目指せ!内乱を防いで、みんな幸せ♪

紅子
ファンタジー
いつの間にかこの国の王子に転生していた俺。物語の世界にいるなんて、想定外だ。このままでは、この国は近い未来に内乱の末、乗っ取られてしまう。俺、まだ4歳。誰がこんな途方もない話を信じてくれるだろうか?既に物語と差異が発生しちゃってるし。俺自身もバグり始めてる。 4歳から始まる俺の奮闘記?物語に逆らって、みんな幸せを目指してみよう♪ 毎日00:00に更新します。 完結済み R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

知らない異世界を生き抜く方法

明日葉
ファンタジー
異世界転生、とか、異世界召喚、とか。そんなジャンルの小説や漫画は好きで読んでいたけれど。よく元ネタになるようなゲームはやったことがない。 なんの情報もない異世界で、当然自分の立ち位置もわからなければ立ち回りもわからない。 そんな状況で生き抜く方法は?

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

魔境育ちの全能冒険者は異世界で好き勝手生きる‼︎ 追い出したクセに戻ってこいだと?そんなの知るか‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
15歳になり成人を迎えたリュカは、念願の冒険者ギルドに登録して冒険者になった。 そこで、そこそこ名の知れた冒険者Dランクのチームの【烈火の羽ばたき】に誘われる。 そこでの生活は主に雑用ばかりで、冒険に行く時でも荷物持ちと管理しかさせて貰えなかった。 それに雑用だけならと給料も安く、何度申請しても値段が上がる事はなかった。 ある時、お前より役に立つ奴が加入すると言われて、チームを追い出される事になった。 散々こき使われたにも関わらず、退職金さえ貰えなかった。 そしてリュカは、ギルドの依頼をこなして行き… 【烈火の羽ばたき】より早くランクを上げる事になるのだが…? このリュカという少年は、チームで戦わせてもらえなかったけど… 魔女の祖母から魔法を習っていて、全属性の魔法が使え… 剣聖の祖父から剣術を習い、同時に鍛治を学んで武具が作れ… 研究者の父親から錬金術を学び、薬学や回復薬など自作出来て… 元料理人の母親から、全ての料理のレシピを叩き込まれ… 更に、母方の祖父がトレジャーハンターでダンジョンの知識を習い… 母方の祖母が魔道具製作者で魔道具製作を伝授された。 努力の先に掴んだチート能力… リュカは自らのに能力を駆使して冒険に旅立つ! リュカの活躍を乞うご期待! HOTランキングで1位になりました! 更に【ファンタジー・SF】でも1位です! 皆様の応援のお陰です! 本当にありがとうございます! HOTランキングに入った作品は幾つか有りましたが、いつも2桁で1桁は今回初です。 しかも…1位になれるなんて…夢じゃ無いかな?…と信じられない気持ちでいっぱいです。

異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?

澤檸檬
ファンタジー
旧題 努力=結果  異世界の神の勝手によって異世界に転移することになった倉野。  実際に異世界で確認した常識と自分に与えられた能力が全く違うことに少しずつ気付く。  異世界の住人はレベルアップによってステータスが上がっていくようだったが、倉野にだけレベルが存在せず、行動を繰り返すことによってスキルを習得するシステムが採用されていた。  そのスキル習得システムと異世界の常識の差が倉野を最強の人間へと押し上げていく。  だが、倉野はその能力を活かして英雄になろうだとか、悪用しようだとかそういった上昇志向を見せるわけでもなく、第二の人生と割り切ってファンタジーな世界を旅することにした。  最強を隠して異世界を巡る倉野。各地での出会いと別れ、冒険と楽しみ。元居た世界にはない刺激が倉野の第二の人生を彩っていく。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...