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第三章 黒幕と呪い

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「ナギサ様ぁ…お話中に申し訳ないけどそろそろ限界だよぉ……」
「魔法は本当に少ししか効いてないので魔力だけが減っていくのですが……」
「あ、ごめんね。もう良いよー」

 うーん……浄化しないと、なんだけどさ?流石に今この場で済ませないといけないと思うと始める前から憂鬱になるんだよねぇ。
 やるしかないし、早い内にどうにかしなきゃなのは分かってるんだけど。

「───よし、さっさと終わらせるよ。皆は離れて。ウンディーネは俺の祝福を持ってるよね?頑張って俺とアルフォンスくんに結界張ってて」

 魔力を抑えた状態ではとても浄化しきれない。だけど抑え込んでいた魔力を開放すると恐らくこの辺りは吹っ飛ぶ。

 体力も魔力も限界なのは見て分かるけど、俺も魔力を貸してあげる余裕はないから枯渇しない程度に頑張ってほしい。

「アルフォンスくんくらいなら俺も守れるから」
「わ、分かったぁ」
「ウンディーネ、無理はしないでくださいよ。支えるくらいなら僕も出来ますから」

 シルフの祝福は取り下げちゃったままだからねぇ……

 順番を間違えたら即アウト。爆弾の解体のようなものなんだよね、一度に呪いを浄化するのって。俺も初めての事だからちょっと緊張する。俺らしくもないけど大勢の命が懸かっているから。
 アルフォンスくんはもちろん、一度でも失敗したら俺も魔力が尽きて死ぬ可能性がある。そうしたら今度は同時に多くの精霊が死んでしまう。大変だよ、そんなことになったら。

「良いよ、ウンディーネ。結界張って」
「はぁい」
「…………行くよ」

 ウンディーネによって強固な結界が張られたことを確認し、少しずつ普段抑えている魔力を解放していく。いつぶりだろうね。扇もなしに魔法を使うのは。正確には魔法を使うわけじゃないんだけど。扇は魔力貯蔵庫のようなものだからね。普段移している分の魔力も一気に使うとなると制御が大変だけど……

 一度大きく深呼吸をしたナギサは寝台で眠るアルフォンスの隣まで移動して片膝を付き、アルフォンスの手を両手で握る。そして目を閉じ、少しずつアルフォンスの体に魔力を注いだ。普通の魔力ではなく、自分の体内で浄化した魔力だ。浄化魔法をかけるよりも浄化済みの魔力を注ぐ方が効果が確実。しかし、浄化魔法よりもナギサに負担が掛かってしまうのも事実だ。
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