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第三章 黒幕と呪い

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「それは申し訳ありません」
「君が悪いわけではないんだからね。謝らなくて良いんだよ」

 軽く頭を撫でつつ、勧められるままにベッドの端に座らせてもらうと少し嬉しそうに笑みを見せてくれた。やっぱり計算高い大人ばかり見ていると、王太子とはいえまだまだ純粋な子供は癒される。

「お話はあとでゆっくりしようね。まずは体を見させてもらいたいから横になってくれる?」
「分かりました」
「あ、俺は医学には詳しくないけどその道のプロを昔から傍で見て育ったから安心して。体には触れないし」
「?はい」

 って言っても分からないか。精霊に育つもなにもないからねぇ………まあ知識があろうとなかろうと、俺は基本的に魔法しか使わないから心配はいらないと思う。魔法だけは絶対に誰にも負けない自信があるからさ。

「…なんか………」

 変な感じがする。魔力って結構万能で、人の体内で巡らせると体調不良の原因とかが分かったりするんだけど……なんだろうね。魔力が循環してない気がする。前に呪いで倒れてた時にも診させてもらったけどその時とは違う。僅かな穢れを感じるし、結構辛そうなのに病気とも違う。

「んー……ちょっと待ってね。診終わったら治してあげるから」
「ただの風邪ではないのですか?」
「どうだろう」

 あ、これ。………ちょっとヤバいやつかもしれない。

「ウンディーネ、シルフ」
「はい」
「はぁい?ナギサ様に呼ばれたの久しぶりかもぉ」
「これさ……マズくない?」
「そう…だねぇ。でもこんなことあり得るのぉ?」
「僕たちも確認しましたし……」

 アルフォンスくん、俺との初対面は精霊殺しによる呪いで倒れている状態だった。だけどもう完全に浄化し終わってた。それは間違いない。僅かにも呪いは残ってなかったんだよねー?

「ルー、ちょっとジェソンさんと一緒にこっち来て」

 執務室の方に残っているルーに声をかけ、この部屋に来るよう指示する。

 治癒魔法が使えて病気や怪我に詳しいウンディーネ、浄化魔法が使えて呪いに詳しいシルフ。そして精霊王である俺。あの日、アルフォンスくんを王城に帰した日、俺たちは本当に呪いを全て浄化できているか何度も確認したんだよ。本当は俺一人で十分だけど念のために。だからこそこの状況はおかしい。

「ごめん、君は少し眠ってて」
「え、ナギサ…さま………」
「ナギサ様、浄化はできないのでしょうか?」
「試してみるよ」

 原因は分からない。分からないけど何故かアルフォンスくんの体内には以前俺が浄化したはずの呪いがあった。
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