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第三章 黒幕と呪い
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「自由な奴だな……」
「さすが精霊王、強さも圧倒的だな。俺の気配には気付いていないようだったが」
「お前がその能力を使って気付く方が異常だろう。精霊王に唯一勝てる見込みのある力だぞ?」
「違和感は感じていたみたいだがな。このままでは負ける気しかしない。俺もだがもっと強くならないとな、レン兄?」
「命令か?」
「今のままでも十分過ぎるほどに強いが精霊王相手では手も足も出ないだろ?」
「まあな。ご当主様の御心のままに」
少し離れたところから連続して爆発音が聞こえた。恐らく精霊王が置いてきた配下の元に戻って奴らを倒したのだろう。
見た目と同様、派手な魔法を使うらしい。あの男の場合は「威力が強い方が戦闘が長引かなくて楽」とかいう理由な気しかしないが。
「それにしても、ちゃんとあの男を見たのは初めてだが相当歪んでるな。それも全てあの強烈な過去のせいか?」
「だろうな。ルイは十にも満たないあの幼さで耐えられるか?俺は絶対無理」
「俺だって無理だ。あればっかりは同情心しかない」
俺が当主である弟、ルイの人の思考に入り込むという特殊な能力で知った精霊王ナギサの過去。それは今すぐにでも殺してしまいたいほど精霊王に恨みがある俺たちですら、同情せざるを得ないような暗い闇に包まれたものだった。ルイの能力は例えば過去の話なら、思考に入り込んだ者が実際に体験したことや感じていたことなどが目の前で見ているかのように鮮明に知ることができる。こればかりは知らない方がよかった気もするが……
「さすが精霊王、強さも圧倒的だな。俺の気配には気付いていないようだったが」
「お前がその能力を使って気付く方が異常だろう。精霊王に唯一勝てる見込みのある力だぞ?」
「違和感は感じていたみたいだがな。このままでは負ける気しかしない。俺もだがもっと強くならないとな、レン兄?」
「命令か?」
「今のままでも十分過ぎるほどに強いが精霊王相手では手も足も出ないだろ?」
「まあな。ご当主様の御心のままに」
少し離れたところから連続して爆発音が聞こえた。恐らく精霊王が置いてきた配下の元に戻って奴らを倒したのだろう。
見た目と同様、派手な魔法を使うらしい。あの男の場合は「威力が強い方が戦闘が長引かなくて楽」とかいう理由な気しかしないが。
「それにしても、ちゃんとあの男を見たのは初めてだが相当歪んでるな。それも全てあの強烈な過去のせいか?」
「だろうな。ルイは十にも満たないあの幼さで耐えられるか?俺は絶対無理」
「俺だって無理だ。あればっかりは同情心しかない」
俺が当主である弟、ルイの人の思考に入り込むという特殊な能力で知った精霊王ナギサの過去。それは今すぐにでも殺してしまいたいほど精霊王に恨みがある俺たちですら、同情せざるを得ないような暗い闇に包まれたものだった。ルイの能力は例えば過去の話なら、思考に入り込んだ者が実際に体験したことや感じていたことなどが目の前で見ているかのように鮮明に知ることができる。こればかりは知らない方がよかった気もするが……
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