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第三章 黒幕と呪い

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「君たちの情報収集能力って一体どうなっているのかな。驚きもするけどここまで来たら感心の方が勝るよ」
「はは……マズいな」
「逃げないでよ。契約魔法を使っているんだから殺されはしないんだし」

 致命傷にならない範囲でいたぶるなら契約違反にはならないけど。俺は別に人を殺したいわけでも、痛めつけたいわけでもないんだよ?最近はそうせざるを得ない状況になることが多いからそう見られてるかもしれないってだけで、俺だって不本意。人を痛めつけて楽しいと思うほど俺はクズではないつもりだから。

「そういう問題ではないだろう」
「俺の人生が壊された………俺の心が壊れた理由。ねぇ、君は知ってどう思った?正直に言うなら知りたくなかったでしょ?」
「そうだな。元々の性格なのかと思っていたが…っおい、話すか攻撃かどっちかにしろ」
「無理な相談だねぇ」

 だって本気で攻撃しているわけではないとはいえ、多少は回避できてるんだよ?俺も話したいからこれくらいにしておいてあげてる。その程度の怪我で済んでいるだけマシだと思ってほしいよね。

「チッ……俺もこのことを知った時はしばらく不快感で吐き気が止まらなかった。むしろよく自殺を選ばなかったな」
「俺は自分の感情だけで簡単に死ねるような環境になかったから。俺の闇を知っているんだから隠す必要がないだろうし話すけど。世界レベルの家柄の跡取りって、本当に重責なんだよ?自分の人生なんだから自分の好きなように生きれば良い、なんて普通の家庭に生まれて普通に育った人にだけ言える言葉」

 俺が桜井渚として生まれたその瞬間から俺の人生は決められていた。でも俺は自由を愛してるからね、限界まで抗ったよ。本来なら役者の仕事もモデルの仕事も出来なくて当然。それを決められた道筋が嫌だといって壊したのは俺だから、そのせいで自分が忙しくなる分には良いと思ってた。人に迷惑をかけるのは駄目だからねー。

 でも根本的なところは変わらない。生き方も死に方も、全部台本通りに。どんなにアドリブを入れても最後は必ず同じ結末になる。俺はまあ、溺死したわけだけど、それは異例だよ。

「自殺することが出来たらどんなに良かったか。あんなの、耐えられるわけなくない?俺の心はもう死んでるも同然なんだから、今更どんなに苦しんだとしても辛いとは思えない。俺は俺が心の底から辛いと思えることがない限り、元に戻れはしないよ。だから俺は俺が世界で一番大嫌い」
「自分自身が苦しんでいるのに、ざまあみろ、と。もっと苦しめ、と。そう思うのは心が壊されたからで、壊れた心を治したいからか?」
「そうだよ。性格の悪さは元々だけどね」
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