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第三章 黒幕と呪い

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「本当、ナギサ様のすべてが謎です」
「んー?」
「頭が良い人は大抵何を考えているか分からないって言われますけど、ナギサ様ほど意味が分からない人もいないでしょうね」
「失礼な。俺が変人だとでも言いたいの?元々はルーが動けって言ったんでしょ」
「誰がこんなことになるなんて予想できるのですか」

 さっきまでの平和な休憩時間を返してほしい。ルーはこう言ってるけどさ、俺も分からないよ。なんで俺たちはまた戦ってるんだろうねぇ……

「……ナギサ様」
「めんどくさい。俺は原因を探るから頑張ってー」

 深い森の奥の奥。俺たちがなんでこんな所で戦っているのか、それは恐らく俺が黒幕に少し近づくことが出来たからだろうね。ほんの十分ほど前まで俺は海に突っ伏して休んでいたんだけど、それは調査にも一区切りついたから。簡潔に言うと黒幕までの道筋が見えたんだよねー。
 俺の周りでトラブルばっかり起こしているんだから普通に考えて俺の傍に敵がいると考えるのが自然。これはずっと思っていたこと。だけど隠し通すのが上手いのか全然分からなかったから一旦気にしないようにしてた。だけどやっと人数が絞れたんだよね。だから容疑者全員の人間関係や繋がりを洗ってみた。

 そしたらビンゴ。誰が裏切ったのかは調べてる途中だけど黒幕と裏切った奴の間にいる人達は分かった。全然俺と知り合いでも何でもないただ利用されているだけであろう人達だけど。

 なのにここまで問題発生。精霊ってさ、情報面においては本当に優れているんだよね?情報収集は得意中の得意。逆に言えば自分たちの情報の守りにおいても鉄壁なんだよ。俺が命じたことは何が何でも守ってくれるから仲介者的な立場にいる人物をマークできたことも絶対に知られることはない。それなのに潰しに行こうと森に入ったら逆に待ち構えられていた。

「おかしいでしょ。何をすれば精霊の情報網を潜り抜けられる?そしてどうやってこちらの情報を手に入れてるのかなー」
「この人たちは操られているのでしょう?原因とやらはまだ分からないのですか?この人達、異常なまでに強いですしどんなにボロボロになっても向かってくるのですが!」
「俺も頑張るからもうちょっと耐えて。俺の魔力、好きなだけ使っていいから」

 ルーの言う通り、明らかに異常。努力や才能で作り上げられた強さじゃなくて、精霊と戦えるだけの力を与えてそれを無理矢理ぶつけてきている感じ。操られてる、洗脳されているみたいってずっと言ってたけど魔力を感じないから魔法ではない。でも別に誰かを洗脳する能力を持っている人がいても不思議じゃない。この世界は前世と違っていろんな種族がいるからさ、隠れて生きているなら世間に知られていない種族がいてもおかしな話ではない。

 操られている以上、絶対にどこかしら黒幕と繋がりがあるはずだからルーが殺さないように戦ってくれている間に俺は彼らの体を覗かせてもらってる。でもおかしなところは今のところ何もないから全然分からないんだよね。

「───……ルー、この中で一番弱いのは?」
「弱い、ですか?……そこの赤髪黄瞳の男性だと思います」
「ありがと。俺はちょっとその人としてくるからもうちょっと耐えてて」

 ルーも殺さないように言ってるから大分やばそう。あまり持たないかもしれない。さっさとけりを付けたいところだけど……そう上手くいかないものだよねぇ、きっと。
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