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第三章 黒幕と呪い

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「ああ。それにお前は何を仕出かすか分からないからな。密かに人質に取られている家族でさえも俺に売ってしまうかもしれない。それはそれで面白いが精霊王を倒すにはあの男の傍にいることが多いお前の協力が必要不可欠だ。出来ることなら最後まで大切に利用させていただきたいところだな」
「僕より彼を知っている人もいますけどね」
「お前が一番ちょうど良いんだ。精霊王に近い者ほど守りも堅い。例の溺愛されている婚約者なんて昨日から彼女に危害を与える可能性のある者は近づけなくなっている。流石にあの守りに突っ込んでいくことは出来ないだろう?それに彼女の家族は俺でも躊躇うほどに強く、彼女自身も精霊王の祝福を受けている」

 それは当たり前だろう。あれだけ溺愛していてこの危険な状況の中、傍を離れることになったのだから彼女を誰よりも堅く守ろうとしない方がおかしい。彼はそういう人だ。

「貴方は精霊以外に危害を加えるつもりはなさそうですね?人の家族を人質にとって僕を協力させようとはしますけど、ある程度質問には答えてくださいますし傷ひとつつけられていません。なにか理由でもあるのですか?」
「俺たちの目的は精霊を……というより精霊王を殺すことだけだからな。精霊はあの男を狙うなら必然的に倒すしかないから仕方ないが、関係のない者を傷付けるつもりはないぞ。無論、精霊王と戦う際に巻き込まれた者はどうにも出来ないがな」

 無関係の者を自分から傷付けるつもりはないらしい。今まで精霊王に関することで起こした事件などについても聞いたが利用した者は相応の理由があった人だけだそう。そこまでして精霊王を殺したいのだから恨みでもあるのだろうがそれを聞いたところでどうにもならないのでわざわざ聞くつもりはない。

「出来れば僕の思考は操らないで頂きたいですね」
「まあそうだな、俺を裏切らないのなら別に構わないぞ?」
「分かりました。元よりその約束ですし」
「ああ。ただ、少しでも怪しい動きが見えたらすべてが片付くまで操らせてもらうからな」
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