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第三章 黒幕と呪い

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「ルー?」
「はい。……えっ?こ、これはどういう状況ですか……?」
「あー、ちょっと色々あったんだよ。取り敢えずめちゃくちゃ癪に障ったから再起不能にしておいた。しばらくは降りて来られないと思うよー」
「ナギサ様の魔力を感じますけど」
「俺がやったからね。そりゃあ俺の魔力も感じるでしょ」

 すでに燃え尽きて消えちゃいそうになってるけど。っていうかさ、俺が言うことでもないんだけど世界が自分の管理する場所で生きるものに負けて良いわけ?絶対よろしくないよねぇ……それこそ秩序がどうちゃらこうちゃらってやつなんじゃないの?

「こんなにあっさり勝ってしまって大丈夫なのですか?」

 乱闘をしているわけでもなさそうでしたし……と続けるルー。たしかに騒いでいるような感じはしなかっただろうけど……

「あっさりでは…、ないんだよねぇ……」

 一応相手は俺を生み出した世界だからさ、無傷とはいかないんだよ。俺の圧勝に変わりはないけど一撃が重すぎる。
 俺も負けず劣らずって感じだろうけど、やっぱり適わない部分もあるのも事実なんだよー。

「ほんと、癪に障るやつ。わざわざ俺の弱点を攻めてくることなくない?」
「大丈夫ですか!?」
「うん」

 古傷だからか分からない。でも俺の鳩尾辺りにある傷、これだけは魔法も効かないし定期的に痛む。そのことを世界は知ってる。勝利のために手段を選ばないのは俺も同じだけどこれは辛いよー?
 時間差での攻撃。俺の弱点を内側から思いっきり抉ってきた。普通に激痛だし吐血したよ。攻撃に気付いた時はもう遅かったけれどすぐに治したから問題ない。最終的には俺が勝ってるし?

「別に、一撃入れられたことを悔しいとか思ってないし……」
「思っているやつじゃないですか、それ」
「言わなくて良いの!次、行くよ」
「分かりました」

 収穫はあった。世界をしばらくの間再起不能に出来たのは本当に良かった。腹癒せだけじゃない、俺の欠けていた記憶が戻り始めてる。世界の魔力を奪って消したからかな?俺の記憶は恐らく魔法で弄っていたんだろうねぇ……
 俺の予想以上に記憶を奪われていたみたいで、いきなり膨大な情報が脳に流れ込んでくる。情報量が多すぎて頭が痛いけど頑張って処理しないと。
 この欠けていた記憶の中に俺が黒幕に狙われている……恨まれている理由がありそうだし。ただ、完璧に処理しきるには時間がかかりそうだからそれまでは予定通り各地を調査しよっかな。

 代償は大きいけど早速大きな情報を掴めたかもしれないねぇ。

「でも、俺の記憶が欠けているってことは他の精霊たちも少しは欠けている部分はあるってことなんだよねぇ……」
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