【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜

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第3章 動き出す思惑

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「前にあった精霊殺しの呪い、あの時の黒幕を俺は殺そうとした。本当の黒幕は別にいたみたいだけど、あの時殺すのを禁じた理由は?俺が相当な恨みを持っていると分かっていて命じたんだから相応の理由があるんだろうね?」
『そこからか……ここは我が統治する世界だが、いくつかルールが存在する。あの時はそのルールが適応されたというだけの話だ』
「それが本当の黒幕にも繋がっていると?」
『簡単に言えばそうなる』

 ふぅん……ならそのルールっていうのはあの時の話で言うと、洗脳された三人が起こした事件だから世界の秩序守るために殺させなかったってことになるのかな。一般人なら好きにさせてくれていたかもしれないけどあの三人はそれなりの地位があった人だから?いや、何か情報を持ってる可能性の方が高い。世界にとって身分なんてどうでも良いことだろうから。

「本来精霊王である俺が知っていて当然のことを知らなかった、ということが今までに何度かあったのはなぜ?他の人が知っていて俺だけ把握できていないことなんて、普通ならありえないよ」
『そなたのミスだとは考えないのか?』
「うん。例え俺が精霊王じゃなかったとしても情報戦にはかなりの自信がある。それは前世も関係しているし、この世界に来ていろんなところでパイプを作ってきた。まさかとは思ってたけど今日ここで話をしたことでほぼ確信したことがあるんだよねぇ」
『…………』
「お前さぁ……俺の記憶を弄ってたでしょ。この世界に転生したころから」

 そうじゃなきゃ今までのことに説明がつかない。ずっと前から違和感はあったんだよ。転生前の記憶が少し欠けているしねぇ。

『我がそのようなことをする時があったと思うか?』
「少し前まで結構な頻度で俺に会いに来てたよねー?十中八九その前後と、俺が眠っている間だろうなって考えてるんだけど。俺に気付かれないよう、少しずつ。絶対に違和感を覚えられることのないように。小賢しいなぁ。俺が大っ嫌いな手口だよー」

 だってこういう慎重なタイプが一番面倒だから。それに自分自身に似たところを感じるし?同族嫌悪ってやつだねぇ。同じようなことを考えてる奴は何を企んでいるのか手に取るようにわかるけど、それも絶対ではないし。たまに自分が相手の思うように動かされていたことが分かるとそれこそはらわたが煮えくり返りそうになる。やられっぱなしって言うのは本当に嫌いなんだよねー。

『そんな顔をするな。そなたが無表情だと目元の冷たさが際立って寒気がする。視線ひとつで人を凍らせることが出来そうだな』
「人を煽ってる暇があるとは、余裕そうだねぇ。殺せないのが残念無念。不快だからしばらく再起不能になれ」

 視線で人を凍らせることが出来るのなら冷蔵庫も冷凍庫もいらなくない?すごく便利だよね。比喩表現であっても魔法が使える俺はそれを実行できるからねー。目に魔力を持っていけば良いだけの話だから。

 痛い目に合わされるのがお望みのようだから偽の人の姿を取っているとはいえ、膨大な魔力が宿っているその体から魔力をすべて奪って消し、魔力の根源となっているところに俺の体内にある三分の一くらいの魔力を注いだ。
 そうすることで俺の魔力を世界の偽の体内で暴走させることが出来る。俺の三分の一の魔力、これは世界にとって猛毒にもなる。

「安心して、少なくとも一ヵ月は俺の魔力が暴走し続ける。魔力回復は以ての外、どんどん衰弱していくだろうね。良かったねぇ、大好きな子供の手によってずっと死にかけの状況を味わえるよー」
「………、っ……」

 世界は死なない。死ねないから苦しみ続けるしかないんだよ。魔力暴走の恐ろしさを世界は誰よりも理解してるよね?

「それじゃ、頑張って!体だけは死ぬだろうから俺が燃やしておいてあげる」

 すでに世界は言葉を発することも出来なくなっている。聞きたいことは聞けたから俺は満足かなー。
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