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第三章 黒幕と呪い

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「へぇ……これは世に出せるものではないかもしれないね。王族に仕える魔法師だからこその仕事ってわけ?」
「これはナギサ様が把握していてもおかしくない内容ですね。過去の精霊王の時代だったからか、それとも記録はあるけど宮に保管されていないのか……ナギサ様、お心当たりはないのですか?」
「ないんだよね、それが。だけど本来精霊王も保管しているはずなんだよ、この内容だと」

 王宮魔法師団の機密情報をまとめられた書庫には、初代のアリサ様……戦乱の世の終わりくらいからの資料があった。精霊の力を借りた魔法だから当然だけど私利私欲に使用されたような記録はない。国王直属の魔法師が暗殺者から守るための殺傷に使ったとか、誰かのために使われてきたみたいだねぇ。一定のラインを超える魔力が必要な魔法を使用した場合にすべて記録されることになっているのかな?

 下位精霊でもかなり強い魔力を持っているか、中位精霊以上でないと魔力量的に発動できない魔法が記録されてるらしい。

 記録はそれだけではない。これは恐らく王族くらいしか見られない資料だと思うんだけど、相当な数の精霊が動いた出来事の記録なんかもある。これはさすがに俺も把握していることだけど資料は持ってない。ルーが言っているのはこのレベルの資料をなぜ俺が持っていないのかということ。人族の王が持っているのなら他の種族も持っていても不思議じゃない。むしろそれが普通だと思う。そうなると尚更なんで俺だけ知らないのって話になる。
 俺は精霊王だからね?頭に入っている情報量は分野問わず世界一だと自負してるんだよ。記憶力は良い方だから忘れているということもないんじゃないかなー。毎日のように新しい情報を手に入れているよ。必要かどうかは置いといてね。それなのになんで、俺だけ知らない情報があるのかな。神じゃないからすべてを把握することは無理だと理解してるけどさ、明らかに不自然なんだよね。そしてこんなことは今までも何度かあった。

「ナギサ様?」
「───……おい、世界。どういうことか説明しろ」
「え……?」
『ついに呼び出されたか。だいぶ前から勘付いていただろうに、よく今まで見逃してくれたものだと思うくらいには怒ってるね』
「当然。こっちはあんたと違って命に代えても守りたい人がいるわけ。そうじゃなきゃこうして自ら動くわけないだろ。無駄口叩いてないでさっさと説明しろ」
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