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第三章 黒幕と呪い

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 冬のまだ日が昇る前の寒い朝。俺はルーと二人で黒幕調査のために各地を巡ることになった。事前に情報を得られそうな場所の目途はついてる。調べはしたけど俺の調べた事すべてが当たっているとは思わないから時間がかかりそうなんだよねぇ。

「なんで早速不機嫌そうなのですか、ナギサ様は」
「そんな顔しないでくれるー?今回の調査が終わるまでの間、忙しくて寝る時間も好きなことをする時間もなさそうだからさぁ」

 仕方ないじゃん、と言うとやっぱり溜め息を吐かれた。ルーって俺に対して呆れすぎじゃない?そんなに呆れられるようなことをしているつもりも言っているつもりも、俺にはないんだけどねぇ。性格かな。苦労性ってやつ?

「精霊は眠る必要がないでしょう」
「俺は寝たいの。そもそも精霊が仕事してる時点でおかしいと思うんだけどねー」
「僕たちは遊んで暮らしているわけではありませんし、働くときは働きますよ?世間では精霊は働かないと思われているようですが」

 それは知ってるよ。俺だってたまに仕事してるし?ここ一年ちょっとくらいは常に誰かを追ってるし?それでもだらけたい!

「これが終わって帰ったら今度は会合があるし、学園でも何か行事があるらしいし。行事はまあ参加しなくても良いんだけど。じゃなくて、早く動かないと」

 こんな呑気に話してる時間は本当にない。ランにお願いしてクレアちゃんにアポを取ってもらってるからまずはシーラン家に行かないと。夜中に申し訳ないけど今回ばかりは仕方ないと思ってほしい。

 クレアちゃんは王宮魔法師団副師団長だからね、聞きたいことがあるんだよ。団長の王弟殿下でも良かったんだけどあの人には別の用事を頼んでるから。

「彼女に聞きたいことと言うのは、ご自分では調べられなかったのですか?ナギサ様が調べた方が断然早いと思いますが」
「さらっと調べたけど、自分で調べるのはちょっと面倒なくらい頑張って隠されてるんだよ。黒幕については手掛かりになれば良いなってくらいなんだけど、他にも聞きたいことがあるからついでにねー」
「ナギサ様でも面倒……?そんなに苦労するほど重要なのでしょうか?」
「知らないよ。質問ばかりしないで働こうよ。黒幕なんて曖昧な存在、さっさと暴いて倒すに限るんだからこの調査も早く終わるに越したことはないでしょ」
「……今後スムーズに動けるかと思って聞いたのですが?」
「それはお願い。だけど俺もまだ分かってないことが多いから答えられないこともあるんだよ」
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