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第2章 亜麻色の光
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「ナギサ?」
「予想通り!」
「自慢気に言わないで!?な、なにをどうしたらこうなるのかな……?少しは上達しているかと思いきや、むしろ悪化してたみたいだよ。逆に関心する」
「言ったでしょ、俺が料理をすると大変なことになるって。俺はねぇ、全ての調理場に嫌われているんだと思うよー」
地の宮、厨房にて。現在この場所は文字通り地獄と化していた。どういうことかと言うと、まず俺がアリスの提案で一緒に料理をすることになったんだよねぇ。それで厨房に立ったんだけど、今日は煮込みハンバーグ?みたいなのを作ることになったんだよ。そこまでは普通なんだけど問題はそこからで。
アリスの指導の下、俺がメインで作ることになったから色々やり方を教えてもらったんだよね。でも流石は俺。食材を切ろうと包丁を握れば俺の手も含めてすべてがズタズタになり、焼こうとすれば何故か炭のように黒く固い塊が完成し。煮込もうとすればなんか蒸発した。おかしいなって思ってもう一度やれば今度は赤黒くなった。
諸々合わせて、最後に全体を見るとまさに地獄絵図になっていました。いやぁ、おかしいねー?俺も自分なりに頑張ったんだけど。アリスは普通に料理できるからどう考えても全ての原因は俺にある。
「でもここまで来ると自分の手が怖くなるねぇ」
「私も怖いな。前世でお母上に怒られたって聞いたけど確かにこれは怒られて当然だわ。私は面白いから良いんだけど、一時期暇さえあれば頑張ってたでしょう?ナギサが料理の後片付けが上達した理由も同時に分かっちゃった」
「母さんは普段穏やかな分怒ると怖いからねー。出来るだけ母さんがいない時を狙ってたのに屋敷内は裏切り者だらけだったみたい」
みんな母さんに報告しちゃうんだよ。何も言わなければまたやらかしたのかと、食材を無駄にするなと怒られることもなかったはずなのにねぇ。何歳になっても頭が上がらない相手はいるものだよね。父さんなら気にしないのに母さんに怒られると堪える。使用人もそれが分かっていてやってるんだから質が悪い。
「今だから言えること、聞きたい?」
「え、なに?怖いんだけど」
「あのね。ナギサ、料理した次の日に怒られることもあったんじゃない?」
「そうだね。誰もいない時間帯なのに何故か知られてるってことがあった。それはずっとなんでかなって思ってたんだよねぇ」
「あれね、私が報告してた。ナギサはいつも私に失敗報告をくれるから」
………わぁお。まさか一番身近なところに裏切り者がいたとはね。
「なにか報酬でもあったわけ?というか、そうであってくれないと何の理由もなく裏切られてたってことだからショックなんだけど」
「ナギサのオフの写真をもらってたの。寝顔とか着替えとか」
「……変態?」
「違うから!提案したのは私じゃないよ!」
いや…提案してなくてもしっかり取引はしてたわけでしょ?知らぬ間に俺のプライベートが流出してたんだ。
「予想通り!」
「自慢気に言わないで!?な、なにをどうしたらこうなるのかな……?少しは上達しているかと思いきや、むしろ悪化してたみたいだよ。逆に関心する」
「言ったでしょ、俺が料理をすると大変なことになるって。俺はねぇ、全ての調理場に嫌われているんだと思うよー」
地の宮、厨房にて。現在この場所は文字通り地獄と化していた。どういうことかと言うと、まず俺がアリスの提案で一緒に料理をすることになったんだよねぇ。それで厨房に立ったんだけど、今日は煮込みハンバーグ?みたいなのを作ることになったんだよ。そこまでは普通なんだけど問題はそこからで。
アリスの指導の下、俺がメインで作ることになったから色々やり方を教えてもらったんだよね。でも流石は俺。食材を切ろうと包丁を握れば俺の手も含めてすべてがズタズタになり、焼こうとすれば何故か炭のように黒く固い塊が完成し。煮込もうとすればなんか蒸発した。おかしいなって思ってもう一度やれば今度は赤黒くなった。
諸々合わせて、最後に全体を見るとまさに地獄絵図になっていました。いやぁ、おかしいねー?俺も自分なりに頑張ったんだけど。アリスは普通に料理できるからどう考えても全ての原因は俺にある。
「でもここまで来ると自分の手が怖くなるねぇ」
「私も怖いな。前世でお母上に怒られたって聞いたけど確かにこれは怒られて当然だわ。私は面白いから良いんだけど、一時期暇さえあれば頑張ってたでしょう?ナギサが料理の後片付けが上達した理由も同時に分かっちゃった」
「母さんは普段穏やかな分怒ると怖いからねー。出来るだけ母さんがいない時を狙ってたのに屋敷内は裏切り者だらけだったみたい」
みんな母さんに報告しちゃうんだよ。何も言わなければまたやらかしたのかと、食材を無駄にするなと怒られることもなかったはずなのにねぇ。何歳になっても頭が上がらない相手はいるものだよね。父さんなら気にしないのに母さんに怒られると堪える。使用人もそれが分かっていてやってるんだから質が悪い。
「今だから言えること、聞きたい?」
「え、なに?怖いんだけど」
「あのね。ナギサ、料理した次の日に怒られることもあったんじゃない?」
「そうだね。誰もいない時間帯なのに何故か知られてるってことがあった。それはずっとなんでかなって思ってたんだよねぇ」
「あれね、私が報告してた。ナギサはいつも私に失敗報告をくれるから」
………わぁお。まさか一番身近なところに裏切り者がいたとはね。
「なにか報酬でもあったわけ?というか、そうであってくれないと何の理由もなく裏切られてたってことだからショックなんだけど」
「ナギサのオフの写真をもらってたの。寝顔とか着替えとか」
「……変態?」
「違うから!提案したのは私じゃないよ!」
いや…提案してなくてもしっかり取引はしてたわけでしょ?知らぬ間に俺のプライベートが流出してたんだ。
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