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第二章 再会

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 特に何の意味もない話をしながら歩き始めて約一時間。いつの間にか外に出ている人は多くなってきていた。のんびりしたいとか言っておきながらこんなにゆっくりできたのは久し振りかもしれない。人が少ない時間帯だと穢れも少なくて、心も体も安らいだ。しっかり「ナギサを癒そう、リラックス計画」を実行できてるねー。

「眠たい?」
「そんなことないよ。なんで?」
「無表情だったから。ナギサって眠気に襲われているであろう時は表情が消えてるんだよ?取り繕うことが頭から抜けているからだと私は勝手に思ってる」
「あー……」

 そうかもしれない。趣味だから寝るって時は別に眠いわけではないからねぇ。なんでアリスがそんなことを知っているのかは疑問だけど……

「ストレスが少し解消されたからじゃない?」
「安心したってことかな。……家のことがないのにそんなにストレスを溜めているの?」

 まあそうだね。生きているだけで疲れるし、その疲れがストレスになっているだけだと思う。黒幕のことは気になるけど最終的には俺が勝つと思うし、と言うより絶対に勝つよ。精霊に手を出されないかは心配だけどそれも何とかなるだろうし。

 強さに関しては絶対の自信があるナギサは、少し心配そうに顔を覗き込んでくるアリスの頭を撫でながら言う。

「アリスのおかげで元気になったから大丈夫だよ。アリスは俺を気にかける前に自分の心配をしようねー」
「?うん」

 前世の俺は重圧と精神的な疲れがストレスになって度々吐いてたけど今はそこまでじゃないから本当に大丈夫。だからアリスは過去より今を気にしてほしいんだよねぇ。俺が狙われているってことはアリスも高確率で狙われることになる。そうならないために、そうなっても大丈夫なように明日から俺は黒幕についての手掛かりを探すんだけど。

 どこのどいつが俺を手のひらの上で転がしてくれたんだろうねぇ……これだけ面倒なことにした上、あれこれ引っ掻き回してくれた奴───本当に覚悟してろよ。

 ◇

「ふっ、ついに精霊王が動き出すぞ」
「ようやくか。随分と余裕があるんだな」
「お前の力も俺の力も間違いなく一級品だ。俺達が本気を出せば並みの精霊では対抗できないだろう。だが相手は精霊王だ、気を抜くな」
「分かっている。精霊王は相当な食わせ者のようだ。俺達の策に踊らされているように見せかけているだけと言う可能性も捨てきれない。精霊王が自らの本心までも操れるのなら作戦は大きく狂ってくる。これは最悪のパターンだがあり得ないとは言い切れないな……」

 精霊王が二人の手のひらの上で転がされている、と自らを洗脳していたのなら。それは精霊王だから出来ることではなく、精霊王ナギサ個人の能力と言うことになる。その場合、精霊王に洗脳は出来なくなってしまうだろう。考えすぎの可能性もある。だが本当にもし、そんなことを可能とするのならそれは精霊王ですらない。生き物として、これ以上ない不良品だ。生き物の域を超えてしまっていることになる。万が一にもないだろうが、そんなことにならないことを祈るしかない。

 ◇
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