【第二章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで？

第二章 再会

90

　◇

「やっと日常に戻ったって感じ？」
「そうですね。最近は学園祭の準備などで忙しかったですし、僕たちのクラスは学園祭とは別でも演劇をしましたから。ナギサ様が主役をしていた時も人気でしたが、案外ランスロットの方も好評でしたね」
「案外ってなんだよ」
「そりゃあ俺は付け焼刃のようなものだったし。ちゃんと練習していたランスロットくんの演技が好評なのは当たり前でしょー」
「ナギサは完璧すぎるから俺の方が現実的、って理由が多かったみたいだけどな。まあ俺は霞んで人気は出ないかもしれないと思っていたからそれでも十分だが」

　そんなことないと思うんだけどねぇ……俺は元役者だよ？元はプロだった俺がすごいと思ったんだから、他の人からしたらもっと評価高いはずだよ。この学園は一組から順に成績が優秀らしいけど、その判断基準に演技力も入っているんじゃないかと思う程にはみんな上手だった。たぶん記憶力が良いとか覚えるのが早いとかだろうね。

　優秀な人は皆ではないけどそういう人が多いから。俺も初めてやることは人並み以下なことが多いけど覚えるのは早いと思ってるし。

「そういえばみや……エリオットくん。最近は良くクラスメイトらしき人たちと一緒にいるのを見るけど、悪口とか嫌がらせはなくなったのー？」
「他クラスの人はなくなったわけではないが、同じクラスの奴らとは完全に和解したな。親しみやすくなったと良く言われる。他のクラスからも半分以下くらいにはなったしな」

　あーうん、それはエリオットくんの変化もあるんだろうけど、中身が雅だからって理由が大きい気がする。気を付けてはいるみたいだけどたまに雅の性格が表に出てきてるから……
　エリオットくんも雅も、正確に大きな違いがあるわけではない。でも何て言うか……雅はチャラい？軽い？感じが少しあるから。男子生徒から人気な性格してるし、容姿は女子生徒に人気そうだよね。あまり関わってこなかったから悪く言われていただけであって、お互いのことを知ったら思っていた性格とは違うってこと普通にあるし。

　アリスは前世から人たらしだったけど、雅もエリオットくんも負けてないからねぇ？人たらし度合いで言うとエリオットくんが勝っていて、でも雅はムードメーカー的な感じだと思うんだよ。

　中身が変わったのもあってか、最近は特に笑顔が多くて良いと思うし。今も楽しそうにセインくんたちと話している姿、男女問わずかなりの人数が見てるよー？間違いなく気付いてないけどさ。

「楽しく過ごせているみたいで良かったよ」
「そうですね」
「でもいつまで「日常」でいられるだろうねぇ……」
「どういう意味だ？」
「最近思うんだよ。あまり認めたくないって言うか、そうじゃなかったら良いなって願ってるけど……俺って結構トラブル体質な気が……」

　だって一年と少ししか経ってないのにどれだけトラブルに巻き込まれたか分からない。それだけ色々あったんだよ。俺……前世でも定期的に面倒ごとに巻き込まれてたんだよねー。
　そんなことないって信じたいんだけどさぁ、ここまで来たらもう認めざるを得ないって言うか。しばらくは黒幕のことで動き回らないといけないみたいだし。