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番外編

アリスとイレーナの恋の話 ②

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 ナギサは表情から本心を読み取ることが出来る相手じゃない。言動は嘘や偽りで塗り固められているんだろうけど、意味のない嘘を吐く人ではない。ナギサが誰かに、それも親しい人に嘘を吐くときは事情があることが多い。だからほとんどの言葉は信じて良いんじゃないかなと思う。

 私はナギサの本性を知っているから表情のような表に出しているものを信じることは出来ないけど、言葉くらいは信じられるよ。ナギサもきっと本心を隠す代わりに言葉だけは出来る限り素直でいようとしているんじゃないかな?

「そうなの?」
「多分ね。それに私は勿体ないほどナギサに愛されている自覚があるから。愛情表現はしっかりしてくれるよ。いつもあっさり褒めてくるわけじゃなくて、恥ずかしそうにしてたり照れてる時もある。何より私に向ける目が優しいから。普通はこんなこと自分で言わないでしょう?それを自分で言うくらいだから本当に心配はいらないと思うよ」

 普通はもう少し謙虚になると思う。仲の良い友人でもそんなことないよって否定すると思うけど、否定できないくらいなんだよね。ナギサは執着してくるわけでも束縛してくるわけでもない。でも愛は重いんだって自分で言ってたかな。愛が重いのは家系的なものでもあるって聞いたけど……だとしたらナギサはその中でも愛情深い方だろうね。

 基本的にはあっさりなんだけど、その反動なのか何なのか時々爆発しちゃうのは困る。いきなり甘々になるからね。

「……熟年夫婦みたいよね」
「結婚もしてないけどね。まあ言葉があってもなくても、表情がどうであろうと愛されてるんだなとは思うよ」

 もちろん私も負けないくらい大好きだけど!元々、先に好きになったのは私の方だからね?ナギサの方が先みたいに思われることが多いけど、実際には私の方が先だったと思う。直接聞いたことはないから分からないのだけど。

「惚気話をありがとう。なんだか悔しいから私も頑張るわ!」
「応援してるよ~」
「まずはカフェの時の計画を立てないといけないわね。アリス、作戦会議よ!」
「はーい」

 絶対にセイン様に好きになってもらうの!と言って意気込むイレーナはまさに恋する乙女、って感じで素敵だなと思った。いつまでもとは言わないから少しでも長く、この幸せな時間が続くと良いな。
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