【第二章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで？

第二章 再会

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「まあお前の人生だ。本心を隠すことで何かを得ようと失おうと俺が口出しできることではないな」
「俺は……」

　憎まれ口は叩くけど何だかんだ言って雅のことは大事で家族のようなものだと思ってるから、口出しされても別に良いんだけどね。口出しされたからと言ってその通りにしないといけないわけじゃないんだし、気にかけてもらえるのは結構嬉しいかなー、なんてね。

「なんだ？」
「いや、なんでもない」
「そうか」

　こう言うあまり聞かれたくないことを無理に聞いて来ようとしないのは雅の良い所だと思う。聞いても大丈夫そうだと判断した時は遠慮ないけど。

　それは良いとして……

「これ、いつ終わるんだ？」
「俺も思った」

　ちょうど俺が言おうとしたことを代わりに雅が言った。俺も雅も同じくらい攻撃が入ってるけどまだまだ続きそう。このままだと夜遅くまで勝負することになりそうなんだけど？

「あと五分。時間内に決着がつかなければ引き分けってことにしないか？」
「そうだね」

　残り五分と決まった途端、雅の動きが変わる。今までとは比べ物にならないほどのスピード。やっぱり本気はだしてなかったんだねぇ。

　雅はスイッチが入ったように重心を落とし、一気に踏み込んできた。

「っ！」

　上段蹴りで喉元を狙うように見えたけどそれはフェイクで、本命の回し蹴りを正面から受けてしまった。肺が圧迫され、思わず咳き込んでしまう。その隙にも攻撃を入れられそうになり、ギリギリで避けることになった。今度は俺が攻撃と攻撃の間を縫ってバク転することで距離を取りつつ、逆立ちの体勢になったところで雅の顔を全力で蹴った。

　せっかくの綺麗な顔に傷を付けるのは忍びないけどこれは勝負だから。それにあとで治癒してしまえば良いもんね。

「いっ…てぇな」

　それはお互い様でしょ。痛いと言いながらも容赦なく俺に攻撃してくるし。

　俺の左拳が雅の鳩尾に刺さる。中々重い一撃だったはずだけど顔を歪めたくらいで俺への攻撃の手を止めない。

「ゔ、あ……っ！」

　最後の最後、迂闊にも雅が魔法を使えることを忘れていた俺は風のナイフのような物で全身を貫かれた。風属性の魔法。無数の攻撃が刺さり体中が切り裂かれた時、アリスは終了の合図をした。ちょうど五分経ったらしい。短かったような、長かったような………

「ふぅ……大丈夫か？」
「……うん。あーあ、完全に忘れてたよ。雅、全然魔法を使わないからさぁ」
「まあそんな余裕がなかっただけで作戦とかではなかったけどな」
「あー痛い痛い。でも楽しかったよ。ほら雅、手を貸して」

　治癒するついでに恐らくほぼ使い切ったであろう雅の魔力を回復させてあげる。俺も雅も身体の傷どころか服まで元通りになり、改めて魔法の便利さに感心した。魔法を使ったのは俺自身だけどね。