【第二章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで？

第二章 再会

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「よし、やるかァ」
「もう寝ちゃっていーい？めんどくさくなってきたー」
「完全に言い方が悪党なんだよね、お兄ちゃん。そしてナギサは飽きるの早すぎ」

　これから死闘が繰り広げられるとは思えないほど自由だよね、とアリスが言う。でも残念ながら俺はそこまでの覚悟はしてないよ。どうせ負ける───とは思わないけど、勝てる可能性がないわけじゃないけど雅に再起不能にされる前に何とかしたいとは思ってる。

「二人とも準備は良い？」
「うん」
「ああ」
「勝負──始め！」

　アリスの合図で一気に距離を詰める。雅は俺がどうするか分かっていただろうけど、雅に主導権を握らせたらダメだからね。

　でも……やっぱり、強い。ほんの少しの隙もない。

「強いな」
「良く言うよ」

　本当に強いのはどっちなのか、自分が一番分かっているだろうに。

「ねぇ……やっぱり空手以外も体術なら何でもありにしない？」

　負けることが分かっているからと言うより面白くない。俺は空手だけ、柔道だけ、とかより色々組み合わせて戦うのが一番得意なんだよ。普通はルールや技の違う競技を組み合わせるなんて、面倒な上に戦い辛いことはしないんだろうけど俺は実践もあったからねぇ。試合じゃなくて実践。本物の命の取り合い。そんなのルールがどうのこうのって言ってる場合じゃないでしょ。
　だからそんなことしてる内に組み合わせての戦闘が得意になってしまった。

「それなら…うわっ！容赦ないなっ」
「手加減したらっ、文字通り瞬殺されるからねー」
「それなら俺にハンデで魔法ありにしてっ、もらう。俺は父さんの血の方が濃い……からアリスよりは得意だぞ」
「良いよ。ルール変更、俺は魔法なしで徒手空拳ならなんでもあり。雅はそれに加えて魔法もあり。勝利条件は相手がリタイアするか、審判が続行不能と判断するまで。致命傷を与えるのは禁止。異論は？」
「ない」

　一見俺の方が有利に聞こえるかも知れないけど、俺は雅……エリオットくんが魔法をどれくらい使えるか知らないからね。全然使えないように見せかけて最後の方まで実力を隠す、なんてこともあるかもだし。

　こんな会話をしている間にも勝負は止まらず、すでに俺は二、三回やられかけている。雅お得意の回し蹴りはスピードと威力が尋常じゃないだけじゃなくて、めちゃくちゃ正確に当ててくる。しかも確実に当たるタイミングを見計らって。このタイミングって言うのが絶妙だから受ける側からしたら堪ったものじゃない。

　もちろん、普通の打ちも突きも蹴りも全部物凄い威力があるんだけど。ただその中でも回し蹴りは別格と言うだけ。いくら黒帯でも初段程度ならやられるまでに一秒もかかるかどうか。実際に一秒以内に試合を終わらせている所を俺は見たことがある。もう恐怖だからね、正直。