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第二章 再会

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「……まあ勝負するのは良いけど。でも俺が勝つと思うよー」
「それなら空手で勝負しよう」
「空手だとおれに勝ち目ないんだけど」

 俺、空手だけは雅に勝てた試しがないんだよね。だって雅は最年少世界チャンピオンだよ?ニュースになってたからねぇ?その大会で俺は準優勝だったけど、手も足も出なかったわけじゃなくて割と接戦だったんだよ。でも接戦だったからこそ負けた時悔しかったんだよねー。手合わせした時とか、いっつも接戦だけど結局最後は雅が勝つ。

 練習も本番も合わせて、0勝371敗。悔しかったからしっかり覚えてるんだよ!そのうちの七割くらいは接戦で、三割くらいはボロ負け。引き分けですらない。ヤバくない?俺だって結構強いのにさぁ……

「やってみないと分からないよ?」
「空手以外なら勝てるのに……」
「どうする?嫌なら強制的に一緒に風呂だが」

 なんで俺に拒否権ないんだろうね。いくらなんでも強引すぎるでしょ。

「やるよ。何もせずに雅の望み通りになるのは嫌だし久し振りに手合わせしたい。でも俺、絶対弱くなってるよ」

 魔法に頼ることが多いから体術なんて使う機会ないし。俺が魔法なしで戦わないといけないくらい消耗させられる相手って今のところいないと思う。

「とか言って、あっさり勝ったりしてな」
「いや、期待させてるようで悪いんだけど本当に弱くなってると思う。あっさり勝つ、じゃなくてあっさり負ける、の方が確率的には間違いなく高いよ」
「まあ良いだろ。やるか」
「やめて。ここではやらないよ。俺の部屋だから」

 当たり前のように俺の部屋で戦う気だけど、俺の部屋の物を壊さないでほしいから絶対に移動するよ。直せるとしても手間だし。この調子だとお互いに本気でやり合うことになりそうだし、雅が本気出したら俺の部屋くらい余裕で半壊する。

「……にしても広い宮だな。迷子になりそうだ」
「アリスは迷子になったけどねー」
「あっ、ナギサ!それは秘密って言ったじゃない!」
「そんなこと言われてないし。それに雅は迷子になりそうって言った時にアリスの方を見てたからね?」

 チラッと横目で。まあそうだよねー。アリスの方向音痴は俺の料理並みに酷いからさ。

 前世では桜井の本家で何度か迷子になってるしねぇ。いっそ哀れなくらいだよほんと。なんでそんなに迷えるのか不思議なくらいだけど、俺も周りから見たら同じ感じなんだろうね。
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