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第二章 再会

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「ではさっそく練習に入りましょう。まずナギサ様は台本を出来る限り覚えてください。その間に一度通して練習しますので」
「いや、俺は台本見なくて大丈夫。今までみんなの練習を見てたしね」
「そ、それだけで覚えられますか……?」
「余裕じゃない?俺は一度で台本を覚えられるから。俺も一緒に練習するよ。先に言っとくけどもう完璧に演じられるから皆も全力でね」

 俺が役者をやってたことを知ってるアリスは平然としているけど、そのことを知らないクラスメイトは驚いてるみたいだねぇ。でも台本くらい一度で覚えられないと役者なんてやってられないから。他の役者は知らないけど、俺は酷い時で同時期に五作品以上演じたからね。

 それはつまり、同時に五種類の台本を覚えないといけないってこと。だからこれくらいの台本を覚えるなんて余裕だよー。

「あの、ひとつお伝えしておきますがナギサは………演技に関しては本当にすごいので、本物の天才なので吞まれないように気を付けてください」
「わ、分かりました」

 「光の王子と小さなガラスの靴」。つまりシンデレラは本来幼い子供が読む話。二十歳近くの学生が演じるにはあまりにも子供っぽい。だから年齢に合うように修正されてる。それでも台本通りの演技ではなく俺なりに少しアレンジした役を演じようと思う。
 物語の中の王子はとにかく正統派で心優しい人。そしてシンデレラに一目惚れする。でも現実世界で一目惚れと言うのは中々ない。物語の世界ではあるけど、ある程度現実的な要素も取り入れたい。

 だから俺が演じる王子は一見正統派で誰に対しても優しい王子だけど、本性は腹黒い部分があって人間不信気味な人。そのため一目惚れでもすぐに恋したことに気付けない。たまに黒い部分が見えるけど芯の通った一国の王子に相応しい人間。

「俺は俺なりに光の王子をアレンジさせてもらうね。だけど物語は壊れないようにするし、台詞はほとんど台本通りだから」
「はい」

 さぁ、久し振りに役者としての演技だね。ナイジェルとはまた別物だから。物語を壊さない、出来るだけ台本通りの台詞にすることが条件。俺は演技をするときに必ず自分なりの人物を作る。与えられた役を深く見るようにしてる。だから台詞が同じでも演じ方が同じでも、観客からは全然違って見える。

 そして何よりも────楽しむこと。これが一番大切だよね。
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