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第二章 再会

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「それで、話が逸れたけど何を企んでたのー?」
「ナギサ様はこの学園に通うのは一年だけだと仰っていたでしょう?それなら少しでも多くの生徒に精霊王として以外のナギサ様を忘れないでいてほしいのと、様々な経験をしているナギサ様でも一生忘れられないような思い出を作って頂けたらと考えたのです」
「うんうん」

 企みの理由は分かった。たしかに皆より長く生きているからそれだけ色々経験してるし、これからも人間とは比べ物にならないくらいの時を生きる。前世も合わせたらさらに長いね。

「そこで、ランスロットから提案がありました」
「うん。嫌な予感しかしないねぇ」
「学園祭、二年一組の出し物である演劇「光の王子と小さなガラスの靴」の光の王子役はナギサがやったらどうか、と提案した。元々最有力候補はお前だったし、正直俺よりもナギサの方が王子役に合っていると思う」
「うーん…………本番はこの後だよ?俺は練習も何もしてないんだけど?」

 予想以上に嫌なやつだったけど、それよりも気になることが多い。

「アリスに聞いた。ナギサ、お前は演技が得意らしいな。今のクラスが終わってからも少し間が空いて始まるし、まだ二時間近くある。頑張れば間に合うだろ」
「……俺はそれで良いとしても。ランスロットくんは今日のためにたくさん練習してたでしょ。俺は人の努力を無駄にしたくないよ。それにいくら演技が得意でもみんなと合わせられなければ意味がない」

 これでも前世はかなり売れてた役者。ひとつの作品を作り上げることがどれだけ大変かは知ってるつもり。学園祭の演劇とはいえ、この学園は何事にも本気で取り組んでる。それこそこの世界の劇場で仕事として演じられるくらいにはどのクラスも頑張っていることを知ってる。そしてそれはこのクラスも同じ。

「それは大丈夫だ。学園長に事情を話してこのクラスだけ後日、もう一度観客の前で演じる。まあそれは学園の生徒だけになるが」
「ナギサ様の演技の傾向をお聞きして合わせられるようにも準備しています」
「ついでに衣装もナギサのサイズで用意されてるらしいよ」
「……俺に断らせる気ないね。皆それで納得したの?」

 すごい外堀を埋められてるんだけど。何が何でも俺に王子役をやらせようとしてるみたい。

「それはもちろん、皆で話し合って決めたことですから」
「…………分かったよ。これ以上断る理由もないし、ここで俺がやらないと言った方が大変そうだしねぇ。でもやるからには本気でやるよ?」
「問題ありませんよ!」

 そう………もう諦めた方が良いやつだよね。最終確認のつもりだったんだけど、すっごい意気込みだね。そこまでして俺に王子役をやらせる意味があるのかは分からないけど……もうやるしかないみたいだねぇ。
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