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第二章 再会

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 本当の黒幕は別にいると知ったのは本当に偶然だった。でも例え自分の命が尽きようと、どんな手を使っても全ての黒幕をこの世から消す。そう誓った時、その瞬間から俺はすでに動き始めているよ。

 そして今日の爆破事件未遂は俺が最初に誘導したこと。相手は前世であったような嘘っぽいやつじゃなくて本物の洗脳技術を持っているみたいだから今回はそれを利用した。手っ取り早く黒幕を捕まえる方法があるならそれが一番だけど、今回ばかりはそうもいかなそう。これまでで一番苦戦するだろうね。

 今日に限らずこれからも影で動いていくよ。黒幕がこの国にいるとは限らないから世界中に精霊を動かさないとね。

「ナギサが何を考えているかは分からないけど私は味方だよ。……たぶんね」
「たぶんって……」
「だってナギサ、時々とんでもないことをするから絶対に味方でいるとは言い切れないんだよ。出来る限り味方でいようとは思ってるから安心して!」
「あーうん。俺はアリスを巻き込むつもりはないから味方でもそうじゃなくても構わないよー」

 それくらいで嫌いになったりするほど俺の気持ちは軽くないからね。むしろ敵対するなら分かりやすく敵対してくれた方が助かる。味方と見せかけて実は敵だったってパターンが一番めんどくさいからさぁ。

 よく漫画で見る味方だと思ってたのに敵だったって言うの、現実にあるんだよね。俺が最後まで騙された経験はないから、大抵途中で自分側に立っていた敵を潰すんだけど。

「俺がアリスの、」
「あ、始まるね」
「……そうだね」

 一応アリスの釘を刺しておこうと思ったところで開演のブザーが鳴った。会場が暗転し、一人の女子生徒にスポットライトが当てられた。衣装からして恐らくヒロイン役の子。全然アリスに似ているとは思わないけど似せようとしているのは分かる。精霊王役は───黒髪に青眼の子かぁ。髪と瞳の色以外そんなに似てない気がする。あ、でも衣装は似てるね。ちょっと違うけど。

 約二十分間の演劇。演技より演出に力を入れているようで、演技はお世辞にも上手いとは言えないけど演出はしっかりしてるね。……演出に気を使ったところで完全にフィクションなんだけど、それはほぼ全ての演劇が同じか。

 エリオットくんは………あ、いた。照明だねぇ。アリスが言っていた通り裏方だ。裏方の仕事も楽しいよね。俺も前世でスタッフさんの中に混ざって仕事してみたことがある。一時間くらい混ざってたのかな?最後までバレなくて笑ったのを覚えてる。

『───僕のアリスを返せ!』
『はっ!返すわけないだろ。返してほしいならオレを倒すことだな!』

 …………あのさ、俺は絶対そんなこと言わないと思うんだけど。

「……ふふ」
「アリス……なに笑ってんの。って言うか、大根芝居すぎない?見てられないんだけど」
「もっ…お、おもしろ…!ナギサっ……!」

 俺の隣にいるお嬢さんはツボに入ったようです。チラチラと俺の方を横目で見ながら笑ってくるんですけど、どうにかならないかな?俺はあんなこと言ってないのに、俺が言った台詞みたくなあってるの最悪なんだけど?しかも俺の一人称「僕」じゃないから。
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