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第二章 再会

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「ただいまー」
「おかえり。大丈夫だったの?」
「うん。俺の仕掛けた罠に掛かってくれただけ」
「罠って……よくそんなこと思いつくね。どんな罠を仕掛けたの?」
「今日はね、爆破事件が起こる予定だったんだよ」

 そこまで言うとアリスはサッと青褪めた。まあ普通の反応だよね。今日爆破事件が起こるって言ったら普通にこの学園内で起こると考えるだろうし、それは間違ってないんだけど。

「だけど学園に入るには許可証がいるし怪しい人は入らせてもらえない。じゃあどうやって侵入したのかって話だよねー」
「まさか……」
「俺が隙を作った。爆破事件の方も俺がそういう行動に出るように誘導したんだよ」
「それは……どうやって?」
「……知りたい?」

 アリスは知らない方が良いと思うけど。

 事の始まりは昨年の夏、人身売買の事件。あの時、一応の黒幕は捕まえたけど後日何者かによって殺されたという情報が入った。次に精霊殺しの呪い。あれは人族、エルフ族、魔族のそれぞれ王族や重鎮が首謀者だった。その三人も俺の命令でもあって厳重な警備があったにも関わらず誰かに殺された。一生苦しませるつもりだったのに、俺の魔力が帰って来た時には怒りでちょっと暴れたね。大地震を起こしそうになったけど騒ぎになる前に精霊たちが気付いて止められた。
 そして不発だった精霊狩り。あれはわざと不発になるよう誘導されていた。その他も小さい事件から大きい事件、俺が関わったことから関わってないことから、ここ一年で起きたすべての事件の黒幕が同じ。

 俺ですら、精霊たちですら気付けなかった。すべては同じ人物が裏で糸を引いていたのだと分かった時、俺はそいつを絶対殺すって決めた。だって精霊殺しによる呪い、あれも結局その黒幕が関わっていたこと。今までの事件の犯人は上の方の立場だろうとそうじゃなかろうと一人残さず何者かによって殺されている。

 なんで俺が気付けなかった?精霊も同じく。なんで世界はなにも言わない?俺を試しているつもりなのか。

 ───許せない。

 これまでの事件に関わった全員を殺して自分たちは上手く隠れ、何かに向けて準備を進めている。俺は絶対許さない。本当の黒幕が何人いるかも、どんな能力を持っているかも分からないけど。それでも絶対にそいつを殺す。今度は世界が何と言おうと聞くつもりはない。

 やっぱり世界は俺を試しているよね。思えば呪いの件の時、あの三人を殺すなと言ったのはこれに関わっていたからかもしれない。

 精霊王は全知全能の神ではないよ。俺だって知らないことはあるし出来ないことだってたくさんある。だけど俺、狙った獲物は何が何でも逃がさないからさ。どんな手を使っても絶対に逃がさない。これだけ色々やられて黙っていろと言う方がおかしい。どうかしてる。

 目的を果たすためならどんな手だって使うよ。俺は全知全能ではないけど、それでも。仲間はたくさんいるし、なにより精霊王の一番の味方は自然だから。自然に敵うものはないと思うよ。
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