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第二章 再会

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「良い?俺の手を離しちゃダメだよ」
「待って!怖い怖い!沈むよね!?」

 俺とアリスはいま砂浜にいる。それは昨晩、散歩に行く約束をしたから。ここまで来て何をするのかと聞いてくるアリスに海上を歩くと言ったらこの状況になった。

「じゃあ行くよー!」
「っ!」

 目を瞑って俺に抱き着いてくるアリスを抱き上げて海へ向かって走る。本当は手を繋いで行くつもりだったけど無理だったみたいだねー。
 まあ普通は海の上を歩けるなんて思わないから当然の反応だけど。

「アーリス。目を開けて」
「……え!?こ、これどうなって……」
「ここでアリスに問題でーす。精霊はそれぞれの属性にあった魔法を使うことができますが、その他にはどんな能力があるでしょう」
「魔法以外の能力…?わ、分からない」
「正解は自然を操ること。火属性の精霊なら火を、水属性の精霊なら水を操ることができる」

 これは言われたら分かるって感じかな。これも魔法の一種だと思ってる人が多いけど実は違うんだよねぇ。精霊にとって自然を操ると言うのは息をするのと同じくらいに普通のこと。それくらい操ることが多いってことじゃなくて、当たり前に使えると言う意味でね。

「あ、そっか!」
「でも操ることの出来る規模は強さによるよ。例えば水の下位精霊なら水を出したり消したり、中位精霊なら操ることのできる水の量が増える。大精霊なら池くらいは好きにできるかな」
「精霊王は?」
「そう、俺が言いたかったのが精霊王なんだけど、精霊王は自然そのものを操れる。具体的に言うなら、雨を降らせる海を操る、地震を起こす、とかかな」

 精霊王は地、水、火、風をただ操るだけじゃない。海も川も湖も好きに出来るし、山を作ることも溶岩を作ることも台風を起こすことだって。とにかく自然に関わることなら何でも出来るんだよ。

「精霊王の持つ力のうち、この自然を自由自在に操ることが出来るって言うのが一、二を争うくらいに大きな力かな。これなら水の上を歩けても不思議じゃないと思わないー?」
「そう、だね。精霊王って私が思っていた以上にすごいんだ」
「……近寄りがたく感じる?」
「ううん、そんなことはないよ。他の人から見たらそうかもしれないけど、私はナギサのことを良く知ってるからね。近寄りがたいって感じる要素は全然ない。むしろもう少し凄そうなオーラを出した方が良さそうなくらい!」
「まあ俺と仲が良い人に言わせるとみんなアリスと同じようなことを言うだろうねぇ。ランスロットくんとか威厳の欠片もないって言いそう」

 その光景が目に浮かぶんだけど。あの高圧的に接しようと無駄に頑張っていた時のように辛辣なところはあるからねー。でもそれがまたおもしろい。俺の周りにいる人は面白い人ばかりだからねぇ。

 俺が面白いものとか面白い人が好きだから必然的に一緒にいるのはそういう人になっちゃうんだろうけど。
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