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第二章 再会

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「…………」
「あ、おはよう」
「おはよ。俺に何してたの?」
「眠り姫を起こそうと思ってキスしたの。そしたら本当に起きた!」

 俺は姫じゃないんだけど。姫って言うならアリスの方が似合う言葉だしさぁ……俺は王子様の口づけで目を覚ます姫ってこと?

「起きた、じゃないよ。楽しそうだねぇ……」
「だって本当に起きるとは思わないじゃない?」
「人の寝込みを襲っておいて良く言うよ。起こそうと思ってしたんじゃなかったの?」
「起きたら面白いし、起きなくてもナギサを私の好きに出来て楽しそうだったからどっちでも良かったよ?最も、すでにナギサを好きなだけ愛でたあとだけどね!」
「そーですか。楽しそうで何よりですよ、アリス王子」

 アリス王子なら俺はナギサ姫?……いや、無理無理!自分で考えておきながら気持ち悪すぎて寒気がしたよ。俺がお姫様とか絶対無理!なし!

 でも王子って言われたアリスは嬉しそう。アリスは男装しても可愛いんじゃないかなー。それか凛々しいでしょ。絶対男装も似合うね。さすがは国で美少女と人気のある天使。俺、アリスが天使様とか言われてるの聞いたことあるからね。

「ナギサ、ちょっと鏡を見てみてよ。ふふっ」
「え……なにしたの?」
「それは見てからのお楽しみだよ」

 別に楽しみじゃないんだけど?アリスがこう言ういたずらっぽい表情してる時はね、地味に嫌なことがあるって俺は知ってるから。めちゃくちゃ嫌ってわけでも、嬉しいわけでもなく地味に嫌なんだよ。嫌な予感しかしないけどお願いだから当たらないでほしい。

 嫌な予感がしつつ、でも確かめないわけにはいかないから脱衣所の方に移動すると俺は猫になってた。

「……アリス」
「なあに」
「これ、なに?」
「見ての通り猫耳だよ?」
「うん、見たら分かるよ。でもなんで猫耳?」

 俺は長髪じゃない。だけど髪が長い部分ってあるでしょ?そこだけ取って猫耳になるように結ばれてた。こういうのを見たらアリスは器用だなって思うよ?でもそうじゃなくてね。

「なんで俺の髪で猫耳にしてんの?絶対アリスがやった方が似合うでしょ」
「絶対ナギサの方が似合うと思って。実際すごく似合ってたし?私じゃなかったら倒れちゃうくらい。ナギサってかっこいいけど可愛いのも似合うよねえ……さすがは国宝級のイケメン直人くんを超えるイケメン」
「どういうこと…?」

 国宝級を超えるイケメンってなに?……世界遺産、とか?いやそうじゃなくて、なんで俺の髪………

「まあ良いけど、これどうなってるの?戻し方が分からない……」
「私が直すよ。勝手に遊んでごめんね。嫌だった?」
「そんなことはないけどさ、俺の髪でやっても楽しくないでしょー?でもこれすごいね」
「大丈夫、楽しかったから!それにあまり難しくはないの」

 シュンとした落ち込んだ顔を見てしまったら嫌だったなんて言えないでしょ。嫌じゃないのは本当だけど。

 かわいそうになってサラサラな髪を梳くように撫でると気持ちよさそうにして猫耳のやり方を教えてくれる。この擦り寄ってくる感じ、アリスの方がよっぽど猫っぽいなと思った。
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