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第二章 再会

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 地·水·火·風、それぞれを象徴する四つの魔法陣。似ているようで文字や模様の異なる魔法陣を描くのはすごく大変。それなのに細かいところまで再現され、最後に描き始めたのは俺の予想していた通りの精霊王を表す魔法陣。
 これが一番難しいのに手間取っている様子は一切ない。舞うように炎で五つの魔法陣を描き終わったサラマンダーの顔は達成感で溢れてる。

 これはまさかとは思ったけどやっぱりアレだね。風の宮、浄化の間にある五つの魔法陣。これは炎を纏っている魔法陣だけど、違いはそれくらいですごく丁寧に描かれていた。

 これにはクラスメイトの皆も絶句している。これまでは小さいながらも感嘆の溜め息とかが聞こえてきたけど、これは予想外すぎたんだろうねぇ。俺だってびっくりしてる。あまりにも綺麗だからこのまま保存したくなってくるねー。

「ふぅ。ナギサ様、どうだ?」
「ど、どうですか?」
「───すっごいね。とても綺麗だよ。俺でもここまで綺麗に描けるかどうか……」

 残念なことに俺って芸術に関してはそこまで才能ないからね。平々凡々なんだよ。だから余計にサラマンダーがこれを描き上げたことに驚いた。

 俺が生んだ精霊の画力がここまでとは思わなかったからねー。

「最後は俺だけど……どうしよっかな。君たちがすごすぎるからさ、俺の出る幕ないよね。この後で俺がやっても霞んじゃいそー」

 霞んじゃいそうって言うか、絶対霞むでしょ。舞い散る氷の薔薇に色とりどりの炎の花、燃える魔法陣。俺しか使えない魔法なら無系統魔法になるけど……

「ナギサ様、謙遜も行き過ぎると嫌味になりますよ」
「はーいはい」

 謙遜じゃなくてね?皆がすごすぎるんだよー。

「じゃあ期待外れだったらごめんね。俺がこれまでの人生で一番尊いなって思った景色」

 本当に大切なものは失ってから気付くって、その通りだと俺は思うんだよねぇ。日頃から大切なものは何か考えていれば良いと思うかもしれないけど、それが出来る人ってかなり少数なんだよ。口では何とでも言えるけどね、絶対誰でも一度は経験することだから、これ。

 俺が思い返して一番幸せだったなと思ったのはやっぱり前世の家族との何気ない一日なんだよ。ただ普通に話をして、笑い合って、たまに喧嘩して。それが一番楽しかったんじゃないかなと今では思う。……なーんて、良いこと言ってる風と言うか、悟りを開いた老人みたくなってるけどただ恋しくなっただけ。

 前世でも俺の産まれた環境が原因で血生臭いことはあったけどさ、今世ほどじゃなかったわけですよ。だから俺自身が癒されたいのもあって、この魔法を使った。

 幻惑───とは少し違うけど、俺が想像したものが景色のように見える。実体験とも違うんだけど、なんていえば良いのかな……まあ幻覚みたいなものだよ、うん。
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