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第2章 亜麻色の光
35 精霊王に恨みを持つ者達
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◇
「───。精霊王の現在地を確認したぞ。地上に移ったようだ」
「地の宮と呼ばれる場所か?」
「ああ。精霊王の宮は特定できないが、地の宮にいることは確かだろう。宮を特定することはできなかったとしても、水中より戦いやすいのは間違いない。それから精霊王の恋人、だったか? その女は人族の平民だ。その女だけなら簡単に捕らえられそうだが」
「いや、あの精霊王がなんの対策もしていないということはないだろう。だが精霊王や精霊を手に掛けるよりは楽だろうな。すぐには動かない。上手く人を使ってこちらを悟られぬよう注意しつつ、引き続きティルアード王国を荒らせ」
「了解」
深い森の中にある大きな洋館。そこには二人の男が住んでいた。その二人は兄弟の関係にあり、八人いる兄弟の中でも一番上と一番下だ。
この二人は人間だが、ただの人間ではない。その身を隠して暮らす裏社会の人間。同じような家はいくつかあるが、その中でもトップクラスの強さを誇っていた家だ。今は精霊、そして精霊王によって一族を殺されたため、生き残りはこの場にいる二人のみだが。
この家には昔から超人的な才能を持つ者ばかりが生まれていた。その才能を使って裏の仕事を行っていたのだが、一代につき一人だけ例外がいる。
その例外は物理的な才能を持たない代わりに、生き物の精神に直接干渉することができる。その者は当主と呼ばれ、生まれた順番や性別関係なく、一族の長となることが決められていた。
この二人の場合、兄は超人的な才能を持つ者。一族の中でも桁違いの強さを持っている。そして弟の方は至って普通の戦闘力しか持たないが、生き物の精神に干渉できる能力がある当主だった。
一族を滅ぼそうとした精霊王に誰より恨みがある二人。どちらも分野は違うが異常なまでに強く、精霊王でも苦戦するであろう人物だ。
密かに裏で暗躍する彼らが今後二人にとって、ティルアード王国にとって、精霊王にとって、世界にとって、どのような変化をもたらすのか。この二人の暗躍によって世界が変化するのかしないのか。
それを知るのはこの世界そのものである『世界』にしか分からない。いや、世界ですら分からないかも知れない───
「また精霊王と顔を合わせる日が来るとはな。昔より強くなっているだろう。戦うのが楽しみだ」
「どうせ勝つのはこちらだがな。お前のその能力に敵う者は誰一人としていないだろう。俺も手伝うから、やるなら徹底的にやれよ」
「言われるまでもなく」
◇
「───。精霊王の現在地を確認したぞ。地上に移ったようだ」
「地の宮と呼ばれる場所か?」
「ああ。精霊王の宮は特定できないが、地の宮にいることは確かだろう。宮を特定することはできなかったとしても、水中より戦いやすいのは間違いない。それから精霊王の恋人、だったか? その女は人族の平民だ。その女だけなら簡単に捕らえられそうだが」
「いや、あの精霊王がなんの対策もしていないということはないだろう。だが精霊王や精霊を手に掛けるよりは楽だろうな。すぐには動かない。上手く人を使ってこちらを悟られぬよう注意しつつ、引き続きティルアード王国を荒らせ」
「了解」
深い森の中にある大きな洋館。そこには二人の男が住んでいた。その二人は兄弟の関係にあり、八人いる兄弟の中でも一番上と一番下だ。
この二人は人間だが、ただの人間ではない。その身を隠して暮らす裏社会の人間。同じような家はいくつかあるが、その中でもトップクラスの強さを誇っていた家だ。今は精霊、そして精霊王によって一族を殺されたため、生き残りはこの場にいる二人のみだが。
この家には昔から超人的な才能を持つ者ばかりが生まれていた。その才能を使って裏の仕事を行っていたのだが、一代につき一人だけ例外がいる。
その例外は物理的な才能を持たない代わりに、生き物の精神に直接干渉することができる。その者は当主と呼ばれ、生まれた順番や性別関係なく、一族の長となることが決められていた。
この二人の場合、兄は超人的な才能を持つ者。一族の中でも桁違いの強さを持っている。そして弟の方は至って普通の戦闘力しか持たないが、生き物の精神に干渉できる能力がある当主だった。
一族を滅ぼそうとした精霊王に誰より恨みがある二人。どちらも分野は違うが異常なまでに強く、精霊王でも苦戦するであろう人物だ。
密かに裏で暗躍する彼らが今後二人にとって、ティルアード王国にとって、精霊王にとって、世界にとって、どのような変化をもたらすのか。この二人の暗躍によって世界が変化するのかしないのか。
それを知るのはこの世界そのものである『世界』にしか分からない。いや、世界ですら分からないかも知れない───
「また精霊王と顔を合わせる日が来るとはな。昔より強くなっているだろう。戦うのが楽しみだ」
「どうせ勝つのはこちらだがな。お前のその能力に敵う者は誰一人としていないだろう。俺も手伝うから、やるなら徹底的にやれよ」
「言われるまでもなく」
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