109 / 230
第二章 再会
36
しおりを挟む
◇
「───。精霊王の現在地を確認したぞ。地上に移ったようだ」
「地の宮と呼ばれる所か?」
「ああ。精霊王の宮は特定出来ないが、地の宮にいることは確かだろう。特定できなかったとしても水中より戦いやすいのは間違いない。それから精霊王の恋人、だったか?その女は人族の平民だ。手を出すのはそう難しいことではない」
「いや、たしかにそうかもしれないがあの精霊王がなんの対策も練っていないなどと言うことはないだろうな。だが精霊王や精霊を手に掛けるよりは楽だろう。すぐには動かない。上手く人を使ってこちらを悟られぬよう注意しつつ、引き続きティルアード王国を荒らせ」
「了解」
深い森の中にある大きな洋館には二人の男が住んでいた。その二人は兄弟の関係にあり、八人いる兄弟の中でも一番上と一番下だ。
この二人は人間だが、ただの人間ではない。歴史ある家だが人々からは隠れて暮らす裏の人間。同じような家はいくつかあるがその中でもトップクラスの強さを誇っていた家だ。今は精霊王、精霊によって一族を殺されたため生き残りはこの場にいるたった二人。
この家は昔から超人的な才能を持つ者ばかりが産まれていた。その才能を使って裏の仕事を行っていたのだが一代につき一人だけ例外がいる。
その例外は物理的な才能を持たない代わりに人の精神に干渉することを得意としている。その者は当主と呼ばれ、年上でも年下でも男だろうが女だろうが関係なく一族の長となることが決められていた。
この二人の場合、兄は超人的な才能を持つ者。一族の中でも桁違いの強さを持っている。そして弟の方は至って普通の戦闘力しか持たない当主だった。
一族を亡ぼそうとした精霊王に誰より恨みがある二人。うち一人は精霊王でも苦戦するだろう相手。この二人の存在は不自然なほど完璧に隠されており、精霊王ですらその存在に気が付いていないだろう。
密かに裏で暗躍する二人が今後二人にとって、ティルアード王国にとって、精霊王にとって、世界にとって、どのような変化をもたらすのか。この二人の暗躍によって世界が変化するのかしないのか。
それを知るのはこの世界を創った世界にしか分からない。いや、世界ですら分からないかも知れない───
◇
「───。精霊王の現在地を確認したぞ。地上に移ったようだ」
「地の宮と呼ばれる所か?」
「ああ。精霊王の宮は特定出来ないが、地の宮にいることは確かだろう。特定できなかったとしても水中より戦いやすいのは間違いない。それから精霊王の恋人、だったか?その女は人族の平民だ。手を出すのはそう難しいことではない」
「いや、たしかにそうかもしれないがあの精霊王がなんの対策も練っていないなどと言うことはないだろうな。だが精霊王や精霊を手に掛けるよりは楽だろう。すぐには動かない。上手く人を使ってこちらを悟られぬよう注意しつつ、引き続きティルアード王国を荒らせ」
「了解」
深い森の中にある大きな洋館には二人の男が住んでいた。その二人は兄弟の関係にあり、八人いる兄弟の中でも一番上と一番下だ。
この二人は人間だが、ただの人間ではない。歴史ある家だが人々からは隠れて暮らす裏の人間。同じような家はいくつかあるがその中でもトップクラスの強さを誇っていた家だ。今は精霊王、精霊によって一族を殺されたため生き残りはこの場にいるたった二人。
この家は昔から超人的な才能を持つ者ばかりが産まれていた。その才能を使って裏の仕事を行っていたのだが一代につき一人だけ例外がいる。
その例外は物理的な才能を持たない代わりに人の精神に干渉することを得意としている。その者は当主と呼ばれ、年上でも年下でも男だろうが女だろうが関係なく一族の長となることが決められていた。
この二人の場合、兄は超人的な才能を持つ者。一族の中でも桁違いの強さを持っている。そして弟の方は至って普通の戦闘力しか持たない当主だった。
一族を亡ぼそうとした精霊王に誰より恨みがある二人。うち一人は精霊王でも苦戦するだろう相手。この二人の存在は不自然なほど完璧に隠されており、精霊王ですらその存在に気が付いていないだろう。
密かに裏で暗躍する二人が今後二人にとって、ティルアード王国にとって、精霊王にとって、世界にとって、どのような変化をもたらすのか。この二人の暗躍によって世界が変化するのかしないのか。
それを知るのはこの世界を創った世界にしか分からない。いや、世界ですら分からないかも知れない───
◇
86
お気に入りに追加
569
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
幼女に転生したらイケメン冒険者パーティーに保護&溺愛されています
ひなた
ファンタジー
死んだと思ったら
目の前に神様がいて、
剣と魔法のファンタジー異世界に転生することに!
魔法のチート能力をもらったものの、
いざ転生したら10歳の幼女だし、草原にぼっちだし、いきなり魔物でるし、
魔力はあって魔法適正もあるのに肝心の使い方はわからないし で転生早々大ピンチ!
そんなピンチを救ってくれたのは
イケメン冒険者3人組。
その3人に保護されつつパーティーメンバーとして冒険者登録することに!
日々の疲労の癒しとしてイケメン3人に可愛いがられる毎日が、始まりました。
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
伯爵家の次男に転生しましたが、10歳で当主になってしまいました
竹桜
ファンタジー
自動運転の試験車両に轢かれて、死んでしまった主人公は異世界のランガン伯爵家の次男に転生した。
転生後の生活は順調そのものだった。
だが、プライドだけ高い兄が愚かな行為をしてしまった。
その結果、主人公の両親は当主の座を追われ、主人公が10歳で当主になってしまった。
これは10歳で当主になってしまった者の物語だ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる